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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第693回「『信長の野望・新生』への期待」
正確に言うと,居場所問題ってのは世代を問わず存在します。これすなわち,今の自分に居場所がない,もしくは適正な場所ではないように感じられるって問題のことなのだけれど。
先に私が出したケツ論を述べておくと,居場所問題に関しては「自分がどう思うか」の問題であって,生きている以上,居場所自体はあるのですよ。ただ,自分が今いる場所に納得できているかどうかってだけの話。
だから,物心ついたばかりの子供でも10代の多感な時期でも20代のもがいている時期でも,居場所問題は常に存在します。まだ私は経験してないから経験者のようには語れないけど,おそらく50代には50代の,60代には60代の,70代や80代以上でも居場所問題があるのでしょう。
ただ30代後半〜40代後半の,いわゆる中堅〜ベテランにかけての時期は,よりその問題を意識してしまう気がする。20代や30代前半,もしくはキャリアの再起を含めてスタートしてしばらくは,自分の居場所,ポジションを得たり安定させたりするために働きます。自分の能力や経験を土台に変える時期なのですね。それも一つの居場所問題ではあると思います。居場所を作る,という意味での。
ただ,30代後半から40代にかけては,変わってくるのですよ。20代で頑張って作ったはずの自分の居場所が本当に有効に機能しているのか,分からなくなる時期が来ます。それもそのはず,組織から求められる“働き”が,20代に求められてきたものとは違うからです。で,20代の頃に作った居場所と40代で今いる居場所の違いが,違和感を生じさせるケースが出てくる。
プロレスで例えましょう。キャリアのスタートは,ただ上を目指して,勝とうが負けようが頑張る。それそのものが居場所なのです。言い方を変えると,一生懸命頑張ることで居場所自体は作りやすい。絶対にできるとは言いません。頑張り方を間違えたり,ほかの人のことを考えなかった結果として,居場所を失う場合だってあるから。ただ,この場合でも居場所自体はあるんだけどね。自分の理想とは違うだけで。例えば,いくら頑張っても罪を犯してしまった場合は,刑務所が自分の居場所になります。ただ,刑務所は多くの人にとって望まない居場所だよね? でも,居場所ではある。極端なことを言うと,そういうことです。
話を戻して。20代もしくはキャリアのスタート時や再スタート時は頑張ることで居場所が固まってくる。ただ,中堅になると今いる居場所をアップデートする必要が出てくるのですよ。居場所自体はある。けど,機能してない可能性も出てくる。
これまたプロレスで例えると,頑張っている若手に,頑張ってもいいと思ってもらえるだけの環境を作らなければならない。具体的に言うと,試合という商品に対して意味づけをしなければならないのですよ。頑張るだけじゃなくて,自分はどういう商品でどのようなものをお客さんに提供するのか。若手は頑張っている。頑張りを見せるのが商品。
でも,中堅からは技術であったり人間性であったりキャラクターであったりパワーであったりの,商品価値を見出さなきゃいけない。そしてそれを武器に若手に立ちはだかる必要がある。
で,キャリアを重ねるごとに,その都度,自分の商品価値を整理しなきゃいけない。結果,居場所がないように感じることもあるし,自分が組織にとって機能していないように感じることも出てくる。
私はファミコンの時代,コーエーテクモゲームスがまだ光栄だった時代から,このシリーズを遊んでおります。戦国時代のシミュレーションゲイムですな。私がコーエーテクモのシミュレーションゲイムシリーズを好きな理由は,毎作テーマがあるからなんです。今作で16作目なんだけど,シリーズのキャリアを重ねていくごとに,シミュレーションゲイムとしての立ち位置を少しずつ修正しているのですね。その姿が愛おしくて。
「信長の野望」(1983年発売),「信長の野望・全国版」(1986年発売),「信長の野望・戦国群雄伝」(1988年発売)。ここら辺は,国取り合戦としての地位を固めるべく,シミュレーションゲイムの面白さを突き詰めています。いわゆる頑張る時期なんですかね。
「信長の野望・武将風雲録」(1990年発売),「信長の野望・覇王伝」(1992年発売)。この辺までは,家宝だったり武将だったりの追加要素が増えていきますが,まだシミュレーションゲイムとしての完成度を突き詰めている最中かなという気がする。
「信長の野望・天翔記」(1994年発売),「信長の野望・将星録」(1997年発売),「信長の野望・烈風伝」(1999年発売),「信長の野望・嵐世記」(2001年発売),「信長の野望・蒼天録」(2002年発売),「信長の野望・天下創世」(2003年発売),「信長の野望・革新」(2005年発売)。この辺でハードウェアの性能が向上した影響が出ます。箱庭ゲイムだったり,国取りゲイムだったり,リアルタイム制になったり。徐々に洗練はされてきているものの,作品によってゲイム性がけっこう変わったりしている時期です。
「信長の野望・天道」(2009年発売),「信長の野望・創造」(2013年発売),「信長の野望・大志」(2017年発売)。この時期はもう自信と自覚が見え隠れします。「信長の野望」がシミュレーションゲイムの王として存在するのは当然として,ジャンルの中というよりは自身がどうあるべきかを突き詰め,その上での新しさを上積みする作りになった気が。
で,最新作ですよ。ビジネスなんで当たりはずれはあるでしょう。もちろんプレイヤーにとっても。同じシリーズの中でも,好きなタイトルもあれば,そうでもないタイトルだってある。でも,毎回ゲイムとしての個性を見直しているという意味で,最新作が何を提供してくれるのか。
事前情報では選んだ主人公の,配下武将のAIが自分で考えて行動するとのこと。自分はここにいる。もちろん自分で考えなきゃいけない。もちろん敵にも意志がある。さらに今回は配下にも意志がある。多くの人がそれぞれの意志で動く世界。その中で自分はどう振舞えばいいのか。まさに45歳,本職ではベテランとなった私に刺さりそうな作品だなと,予約段階では思っております。
「信長の野望」は新生しようとしている。私はどうだろうか。これから新しく価値を生み出すことができるのか。ひとまずは今週木曜を楽しみにしようと思っております。ではまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 5:「eFootball 2022」
Nintendo Switch:「モンスターハンターライズ:サンブレイク」
iOS:「ロードモバイル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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