連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第253回「矛盾」
思ってもないことを言ってみたり,意地を張って本意ではない行動を取ってみたり。ほかの動物に比べて,なまじ考えることができちゃうからね。本能だけで生きているわけではないから,何が本当で何が嘘か分からない。なんなら,自分自身ですら自分が思った通りに生きられているのか分かっていなかったりする。だから面白いのね,人間って。
例えば,私の場合。一応プロレスラーという,人に見られる仕事を生業にしている人間なんだけども,私は決して目立ちたいわけではないのよ。普通に考えたら,人に見られるのが仕事な以上,有名になったほうが商売的には何かと都合がいいケースが多いわけ。でも私としては,インドア派で他人とのコミュニケーションが苦手だから,他人から放っておいてもらいたいと思っている部分が多分にあるわ。
私自身,人間観察が好きっていうのもあるんでしょうね。私が観察される側に回ってしまうと,観察しようと思っている人が気を遣って本来の姿を隠してしまうことも多いわけで,それもイヤなのよ。だから,あんまり有名っていうか,気を遣われる存在になりたくない。とはいえ,一方で私が行っている活動を多くの人に楽しんでもらいたいという気持ちも持っている。
ほら,矛盾してるでしょ? これっておそらく昔から人間が抱えているものだと思うんだけど,人間は結局矛盾だらけの世の中と,うまく折り合えるポイントを探して生きていかなければならないんでしょう。
ちなみに,今現在上記の件に関しての私の落としどころは,とりあえず自分のヤりたいことを見失わない程度に名前を上げていこうかな,ってところかしらね。私の基本姿勢としては,ヤりたい男とヤりたいゲイムをヤり続けながら生きていくってことだから,それで食っていくにはもうちょっとだけ有名になったほうが楽なのね。お金は,なるべく甘いものを食べられて,欲しいゲイムを悩まず買える程度あればそれで結構。まあ,それが難しいんだけどな。
宮沢賢治的に言うと,ホメラレモセズ,クニモサレズ,ソウイウヒトニワタシハナリタイ。だから,男の尻もゲイムへの考察も自分なりに掘り続けようと思う次第であります。うまいこと言うたった。
……で,いきなり矛盾した話を今から展開するんだけど,数にはとても大きな価値があると私は思っているわ。この連載でもちょこちょこ言ってるんだけどね。民主主義ってそういう制度で,数が多い考え方が通念となる世の中なの。で,今この日本は民主主義で,一人一人に幸せになる権利が与えられているわけ。でも一人一人が自分勝手に幸せを追求しようとすると,必ず利害が衝突してしまう。そういうときに,数の多い側が有利になりやすいのよね。
それとは別の話なんだけど,エンターテイメントの世界もそうで,多くの人を楽しませるものほど,価値が高いとされているわ。要するに,売れたもんが正義。
そこで私の中で矛盾が生まれてしまったって話なの。どういうことかというと,「FIFA」シリーズを取り上げるとすると,どうしてももう一方のサッカーゲイム「ワールドサッカー ウイニングイレブン」(以下,ウイイレ)シリーズとの比較になってしまうわけですよ。それはもうどうしようもない。私がもっと大人の精神力を持っていたら,比較なんて野暮なことをしないで,片方だけを語ればいいんでしょうけど……。
一応,今のサッカーゲイムの市場について素人の私がネットで調べた結果を説明しますとですね,現在,ウイイレシリーズとFIFAシリーズって,毎年新作が発売されているのね。で,日本で売れているのは,ウイイレ。でも,世界規模で見るとFIFAが大人気である,と。
この時点でもうややこしい。より多くの人の手に届いているのはFIFA。しかし我が日本ではウイイレ。売れているほうが正義! みたいなことを簡単には言えない状況なわけ。
しかも内容についてはプレイヤー一人一人で好みが分かれるような感じだから,これまたややこしいのよ。少なくとも私は,両者に圧倒的な差はないと思うの。
もっとも,一番分かりやすい差としては,選手データの違いを挙げられるわ。FIFAはその名が示す通り,FIFAのライセンスを取得しているから,実名選手のデータ量が半端じゃない。日本代表は収録されていないけど,欧州の主要クラブに所属する日本人選手は収録されている。一方のウイイレは,欧州の一部クラブが実名で,あとは実名じゃない。ただ,日本代表は実名で収録されている。これまたややこしい。
今,このサッカーゲイム大戦争の現状はこうなっているの。で,それを踏まえた上でFIFA 14 ワールドクラスサッカーの紹介へとしゃれ込むとするわ。ゲイムショウのときから気になっていたから,今回ちょっくらプレイしてみたのよ。
ケツ論から言うと,やっぱり面白い。何が面白いって,リアルな感じが面白い。これは私の持論なんだけど,エンターテイメントという人に見せる商売の場合,どこかで演出しなきゃいけない部分があるのね。それはゲイムでもそう。この場合はサッカーという題材をどうゲイムに落とし込むか,そのアプローチがサッカーゲイムの面白さにつながってくるわけ。
で,このFIFA 14,というよりはFIFAシリーズに関しては,よりリアル志向なアプローチでサッカーをゲイムに落とし込んでいる。具体的には,選手と選手のボディーコンタクトの駆け引きが,より重要になっているから,選手の存在感をリアルに感じられるわけね。ま,この辺はプレイしないと分かんないだろうから詳しくは説明しないけど。
重要なのは,リアルなアプローチのサッカーゲイムだと,プレイする我々に何がもたらされるのかってこと。率直に言って,サッカー経験者や,サッカーを好きでよく見ている人にとって,まるで本物のサッカーをプレイしているかのような気分をもたらしてくれるのよ。
私はサッカー好きだから,もはやサッカーに興味のない人がプレイしてどう思うか,その気持ちは分かんない。けど,サッカーが好きな私から言わせてもらうと,このFIFA 14はよりサッカーをしている気になれる。
毎年同じことを言ってる気もするけども,毎年どんどんそういう気持ちが増していくんだから仕方がない。サッカー好きでゲイム好きなら,たまらんでしょうな。
これも毎年言っている気がするけど,ロード時間中にトレーニングプレイができるのも時間が無駄にならない感じで好感を持てるわ。
とくにウイイレシリーズをプレイしているけど,FIFAシリーズは未プレイという人は,ぜひプレイして私と同じ気持ちを味わってほしいわね。
……こう書くと「ウイイレからFIFAに乗り換えおったか!」って思われるのかもしれないけど,そうじゃなくて。ウイイレもFIFAも同じくらい面白いんだから,食わず嫌いじゃもったいないから一度プレイしてみてから決めりゃいいじゃない! っていう話なのよ。
好きなゲイムを応援したい気持ちは分かる。市場的に二強となってるジャンルだったらとくに。でもね,よくよく考えたら,お互いが売れたほうがよくない? どちらかがつぶれるんじゃなくて,両方が面白くて両方をプレイする人が増えたほうがいい。この考え方は,決して矛盾ではないと思うんだけど。そして,FIFA 14 ワールドクラスサッカーは,ちゃんと面白かったわ。
さて,そんなこんなで人間の奥に潜む矛盾について語ったようで語ってないのですが。矛盾って難しいのよね。理想と現実があって,理想通りにいかないのが現実であって。理想と現実との差こそが,自己矛盾の主成分なのかなって私は思うわ。
有名になりたくないけど有名になりたい。そもそも,有名になりたくてもなれるとは限らんという,厳しい現実が待っているのだけども。
ただ,声を大にして言いたいのは,数に大きな価値がある世の中で,数だけを追い求めていく姿が必ずしも高い価値のものとも限らないってこと。数が少ないからこそ価値があるっていうか価値が眠っているものもある。これもまた矛盾だけどね。ソウイウヒトニモワタシハナリタイ。マタライシュウ!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「FIFA 14 ワールドクラスサッカー」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「モンスターハンター4」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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