“紳士”こと森本竜英氏。会場には氏の家族もやってきていた
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東京では春本番を思わせる暖かさとなった2008年3月16日,AMDの日本法人である日本AMDは,秋葉原でエンドユーザー向けに
「AMDの春一番!『AMD 780チップセット』お披露目イベント」を開催した。
その名のとおり,イベントは
3月4日に発表されたグラフィックス機能統合型チップセット
「AMD 780G」および
「AMD 780V」がテーマ。AMDの森本竜英氏がAMD 780チップセットのメリットを語ったほか,パートナー各社が製品をアピールしていた。
左:森本氏のセッションでは,AMD 780とATI Radeon HD 3450のHybrid Graphicsを「ATI Radeon HD 3450 X2」と紹介していた。これは「Hybrid CrossFireを採用するPCベンダーがスペックを記載するとき大変だから,略式表記を認めただけ」(AMD関係者)だそうだ。“HD 3450 X2と呼ばれることもある”くらいの認識が正解のようである
右:イベントでは,AMD 780Gマザーボードがすでに発売済みであることが再三アピールされた。写真はECS製品「A780GM-A」
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新リビジョンのAMD 780Gは3月下旬以降に?
RS780Dは第2四半期へ
関係者の発言を裏付けるように,ASUSTeK Computerとエムエスアイコンピュータージャパンは,いずれもAMD 780G搭載マザーボードの販売が3月下旬から始まるとセッション中に紹介していた
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さて,AMD 780Gといえば,気になるのは
3月4日掲載のテストレポートでお伝えした“リビジョン問題”だ。簡単にまとめると,「ENG」の文字が刻まれた(エンジニアリングサンプルと思われる)AMD 780Gチップセットについて,森本氏が「製品版マザーボードは,問題を解決した新しいノースブリッジを搭載する」という内容の発言を行ったが,店頭に並んだのはENG刻印入りのチップセットを搭載するマザーボードだった,というものである。
これについて複数のマザーボードベンダー関係者は,
3月下旬以降に出荷するマザーボードから,新しいリビジョンのノースブリッジを採用すると口を揃える。ENG刻印に関してだけは「基本的に,消えるはず」「ENGの刻印がないものは見たことがないので,新リビジョンでも刻まれているのでは」と意見が割れているが,新リビジョン版AMD 780Gの市場投入スケジュールは,かなりの確度で3月下旬以降といってよさそう。AMD 780Gのパフォーマンスに期待している自作派ゲーマーのうち,“リビジョン問題”の解決を待っている皆さんは,もう少しの辛抱かもしれない。
ASUSTeK Computerのスライドには「3月中旬」という文字も見受けられたが,同社は日本向け製品を製造している工場が火災に見舞われたことを明らかにし,AMD 780Gマザーボードを含む同社製品全体の出荷が遅れ気味になっていると来場者に説明していた
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ASUSTeK Computerはイベント会場にATXマザーボード「M3A-H/HDMI」を展示。MSIはmicroATXボード「K9A2GM-FIH」の実動デモを行っていた。先に販売が始まっているAMD 780Vマザーボード「K9A2GM-F」ともども,3コア版Phenomに完全対応すると,エムエスアイコンピュータージャパンはアピールする
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CFD販売は,Jetway製のAMD 780G搭載マザーボード「PA78GT3-HG」がショップによっては1万円程度で購入可能と謳う
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もう一つ,AMD 780Gの上位モデルとして,グラフィックス機能における動作クロックの引き上げとATI CrossFireXのサポートが行われると見込まれるチップセット,
「RS780D」(開発コードネーム)については,JetwayおよびDFIの販売代理店としてセッションに参加したCFD販売の野崎牧人氏が
「DFIが“次期チップセット”のマザーボードを用意している」と発言して会場を沸かせた。
氏のいう次期チップセットがRS780Dであろうこと,そしてマザーボードとは具体的に
CeBIT 2008のレポートでお伝えした
「LANParty DK 790GX-M2R」であろうことは容易に想像がつくだろう。なお,関係者の発言を総合するに,登場は2008年第2四半期中の予定で,少し先の話ということになりそうだ。
ところで最後に,AMD 780チップセットからは少し離れるが,
「ATI Radeon 8.3」の新機能
「アスペクト比を保持しながらの画面拡大」をサポートするGPUについて,日本AMDの広報担当者から公式見解を得られたので紹介しておきたい。
担当者によれば,対応GPUは「ATI Radeon X1000シリーズ以降」。ATI Radeon HD 2000/3000シリーズはもちろん対応となる一方,ATI Radeon Xシリーズや同9000シリーズはサポート外とのことだ。非対応のGPUを使っている人達にとっては残念なニュースとなってしまうが,アスペクト比固定拡大機能についていろいろ試していたATI Radeonシリーズのユーザーは,ようやく枕を高くして眠れそうである。