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ついにベールを脱いだ! Funcomの新作MMORPG「The Secret World」は,現代に起こる怪奇現象がテーマ
Funcomといえば,英雄コナンの世界観をテーマにした2008年登場のMMORPG,「Age of Conan: Hyborian Adventures」で知られるメーカーだ。また,遡れば2001年にローンチしたSF系MMORPG「Anarchy Online」は現在も稼動中だし,さらに古参のゲーマーには,傑作アドベンチャーである「The Longest Journey」(1999年)や「Dreamfall: The Longest Journey」(2006年)のデベロッパだといえば分かりやすいかもしれない。
「The Secret World」公式サイト
そんなFuncomの新作となるThe Secret Worldは,MMORPGとしては珍しく現代社会を舞台にしたローファンタジーで,現代に息づく古代神話や秘密結社,さらにはオカルトや都市伝説といったテーマが次々に登場することになる。
本作のクリエイティブ・ディレクターであるラグナー・トーンクイスト(Ragnar Tornquist)氏によると,ゲームのスターティングエリアとなるのは,ロンドン,ニューヨーク,そしてソウルの3都市であり,プレイヤーはテンプラー(Templar),イルミナティ(Illuminati),もしくはドラゴン(Dragon)のどれかのファクションに加わって,現代世界に侵食し始めた影の勢力と戦うことになるという。
さて,今回のプレゼンテーションで公開されたクエストは,アメリカ東海岸,メイン州にあるという静かな街,「Kingsmouth」を舞台にしたものだ。デモは,さまざまなNPCがプレイヤーに語りかけるカットシーンをつなげた,ホラー映画風の演出が施されたムービーで始まった。ハンター風の初老の男性,気弱そうな母親,心配な面持ちの牧師,そして状況を把握しきれていない警官といった人物が次々と登場し,Kingsmouthで何が起こっているかが説明されていく。
彼らの話を総合してみると,「ある夜,この静かな町に突然濃霧が立ち込め,その霧が多くの人々を連れ去っただけでなく,墓場の死体を生き返らせるようになった。また,連れ去られた人々も,狂暴化して住民達に襲い掛かってくる。今も時折,集団で押し寄せてくるが,政府は隠蔽を図るためか,外との交通や情報を遮断してしまった」というようなものだ。
ゾンビを殺すこと自体は住民達にとっても難しくはないようだが,いくら倒しても,しばらくすれば立ち上がってくる。そのため,特殊な能力を持つプレイヤー達にその根源である霧の秘密を探ってもらわないと,やがて弾丸と食料が尽きて町の人々は死んでしまうというわけだ。
ゲームでは,これらのNPC達と会話して情報を探り,この町の住民を救うためのクエストをこなしていくことになりそうだ。トーンクイスト氏によると,このThe Secret Worldのストーリーは,MMORPGながら終わりのあるものになるとのことだが,そのあとの展開も考慮し,意図的にストーリーに穴を開けておくというようなことをするらしい。
いずれにせよ,トーンクイスト氏を始めとしてThe Longest Journeyシリーズの開発メンバーの多くが本作にも参加していることから,本作がストーリーを重視するゲームになっているのが予想できる。2010年以降のMMORPGでは,「Star Wars: The Old Republic」が,音声や映画的なカメラアングルなどを利用することで,よりパーソナルなストーリーをMMORPGに適用しようとしているが,このあたりが最近の欧米MMORPGのトレンドなのかもしれない。
The Secret Worldでは,キャラクターにレベルやクラスの概念はなく,相手と戦うことで経験値を得て,そのポイントで「パワー」と呼ばれる特殊スキルを購入していくというシステムになっている。リードデザイナーのマーティン・ハーシャイム・ブルスガード(Martin Harsheim Bruusgaard)氏によると,パワーはゲーム中に数百種類も用意されており,プレイヤーは自分の好きなものを購入し,クエストの内容に合わせてそれらのパワーをあらかじめ組み合わせておくという,「Guild Wars」を連想させるシステムになっている。
プレイヤーキャラクターが,一度に利用できるのは,七つのアクティブパワーと七つのパッシブパワーで,パッシブパワーとは,セットするだけで常に効果を与え続けるタイプのもの。つまりこれが,キャラクタークラスのような役目を担うことになる。また,ホットキーにアサインして利用するアクティブパワーは,剣やライフルなどの武器向けのものと,火炎や電撃といった魔法攻撃向けのものがあるが,アクティブパワーには短いインターバルのタイマーが付いており,連続使用できないようになっている。
今回のミーティングでは,実際に3人のプレイヤーがKingsmouthの町でミッションに出掛けるというムービーも紹介された。
3人のキャラクターは,野球帽を逆さにかぶった,ちょっとマッチョなキャスタータイプを主人公に,剣を持ったアジア人の女性,そしてアサルトライフルらしきものを持ったスーツ姿の黒人男性という構成である。
彼らはゾンビのほかに,廃車の並ぶジャンクヤードで,まるでスクラップでできたような「Zoo Golem」という巨大なボスモンスターと戦った。さらに,海岸には「Draug」というクリーチャー達がおり,砂浜には「Draug Lord」という名前の,H.P.ラヴクラフトのクトゥルー神話に登場するモンスターを連想させる,巨大な生物も登場する。トーンクイスト氏に聞いてみたところ,町を襲った霧は山や海の動物達にも影響し,さまざまな形のモンスターが生まれているとのことだった。
The Secret Worldでユニークなのは,「States System」と名付けられたコンビネーションシステムだろう。これは,ゲーム側がプレイヤーのパワーや仲間の構成,さらには敵のタイプなどを判定し,それによってパワーの効果を自動調整するというものだ。今回のデモでも,キャスターの火炎魔法と,ヒーラーの持つ時間差攻撃を組み合わせて,ゾンビ達を普通よりゆっくり焼き尽くすというシーンが見られた。
紹介されたのは,3人のプレイヤーがパーティを組んで協力するタイプのクエストものだったが,これはアドベンチャー・ゾーンという公共型クエストの例とのこと。実際には,ソロでプレイするタイプのクエストのほうが分量的に多くなるらしく,そちらはインスタンスゾーンで行なわれるという。
今回のプレゼンテーションでは詳しく語られなかったものの,The Secret WorldにはPvPモードも用意されている。前述の三つのファクションは敵対関係にあるという設定になっており,ゲームには「Hollow Earth」と呼ばれるPvP専用エリアが用意され,Animaという稀少物質をめぐって,Cabal(本作におけるギルドやクラン)同士が戦うという内容になるらしい。
発売時期および日本での運営については,現在のところ発表されておらず,ゲーム内容もまだ不明なところが多い本作。キャラクタークラスやレベル上げの概念を捨てることで既存のMMORPGのカラを破り,独特の味付けをしているところは期待が持てる。オカルトや都市伝説といったテーマもユニークで,ちょっと変ったMMORPGをプレイしたい人にとって,気になるゲームであるのは間違いないだろう。
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