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ノートPC向けGeForce 8の最上位モデル「GeForce 8700M GT」発表
“8700”が冠されたのは,デスクトップ向けGPUを含めても,今回のGeForce 8700M GTが初めてだが,下に示した表を見てもらえれば分かるように,スペック的にはこれまでの最上位モデル「GeForce 8600M GT」(G84コア)をベースに高クロック化した製品という理解で問題ない。
ただ,上の表を見ると,GeForce 8700M GTのメモリインタフェースのところに,「Dual-rank」とあるのが分かる。何となくデュアルチャネルインタフェース風の名前がついているが,これは,メモリコントローラ内のバッファを使って,あたかもデュアルチャネルのように動作させる手法のこと。メモリコントローラそのものは128bit幅のまま変わらないため,メモリバス帯域幅が向上するわけではない。
どういうことかというと,ノートPCでは,グラフィックスメモリの実装に面積的な制約がある。例えばノートPC用拡張カードのデファクトスタンダードであるMXMの場合,小型ノートPC向けのMXM-I(70×68mm)だとメモリチップは最大4個しか搭載できない。大型ノートPC向けのMXM-II(73×78mm)でも8個だ。
半面,最近ではノートPCのディスプレイ解像度も高くなっており,高解像度ビデオのニーズもあるので,グラフィックスメモリ容量は多いほどいい。また,より高速なグラフィックスメモリを使えば,より高解像度&高リフレッシュレートでの表示も可能となる。
そこで比較的安価な,粒度の低いメモリチップをデュアルチャネル構成で搭載することにより,コストを抑えつつ,グラフィックスメモリの大容量化を図ろうというのが,Dual-rankというソリューションだ。もっといえば,容量512MBを実現するとして,512Mbit×8よりも256Mbit×4×2(Dual-rank)のほうが,コストでは圧倒的に安価なうえ,高速タイプの選択肢も多い,という理屈である。
肝心のパフォーマンスだが,NVIDIAによれば,DirectX 10世代のノートPC用GPU最速であると同時に,DirectX 9世代GPUとして見た場合,GeForce 7のミドルハイクラス製品,「GeForce 7900 GS」よりもベンチマークスコアは高くなるとのこと。GeForce 8600MベースのGPUであるため,描画負荷が高まるようなケースでは,NVIDIAが示すような結果にはならないと思われるが,大まかな目安にはなるだろう。
同製品の詳細は別記事を参照してほしいが,ゲームに使えそうなモバイルGPUを搭載したノートPCの第1弾が,国内の大手メーカーから出てきたことは,なかなか感慨深い。GeForce 8700M GTの登場を機に,3Dパフォーマンスを武器にしたノートPCの市場がさらに活気づくことを期待したいところだ。(佐々山薫郁&ライター:本間 文)
- 関連タイトル:
GeForce 8M
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