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[COMPUTEX 2007#19]Intel,新世代チップセットを正式発表。X38ではオーバークロック機能を搭載
ミドルレンジ向けのディスクリート(グラフィックス機能非統合)チップセット「Intel P35 Express」や,エントリー向けのグラフィックス機能統合チップセット「Intel G33 Express」は,すでに搭載マザーボードが出荷,販売開始済み。また2007年第3四半期には,最上位となるハイエンド向けの「Intel X38 Express」,そしてIntel G33 Expressよりもグラフィックス機能の性能が高い「Intel G35 Express」など,5製品の出荷が控えている。
また,すでに[COMPUTEX 2007#11]のレポートでお伝えしているとおり,最上位モデルのIntel X38 Expressのみ,世界で初めて第2世代のPCI Express(PCI Express Gen2)をサポートするという特徴がある。
ノースブリッジ(MCH)側で16レーンのPCI Expressを2系統用意するため,PCI Express x16接続のグラフィックスカードを2枚同時に(ボトルネックを発生させることなく)利用可能だ。また,DDR3対応チップセットのうち,Intel X38 Expressだけが,デュアルチャネルDDR3-1333に対応するのも特徴である(残る2製品はDDR3-1066まで)。
Intelでチップセット事業を指揮するRichard Malinowski(リチャード・マリノウスキー)氏は,「今年(※2007年),この惑星上で最強のチップセットになる」とIntel X38 Expressを紹介し,性能と機能の両面で,絶対の自信を覗かせている。
■X38とP35ではOCツール&OCメモリをサポート
■NVIDIA SLIサポート実現はありやなしや?
Intel Extreme Tuningは,CPUやメモリのオーバークロックをWindows上から行うツールで,動作クロックや動作電圧を手動で設定できるだけでなく,ユーザーの手を煩わせずに自動でオーバークロック設定を行うようなモードも用意される。これまで,こういったツールはマザーボードベンダーが独自に用意していたのだが,Intelが純正ツールの提供を開始すれば,状況は変わってくるだろう。
メモリモジュールには,メモリタイミングや動作電圧などの情報が書き込まれたSPDという情報が保存されているのだが,Intel Extreme MemoryではこのSPD情報を拡張し,オーバークロック時における適切なレイテンシ&電圧設定をあらかじめ用意しておく。これにより,メモリオーバークロックのハードルを低くし,さらには動作互換性を高めようというわけである。
……ここまで説明した時点で,ピンときた人もいると思う。そう,これはNVIDIAとCorsair Memoryが提唱するEPP(Enhanced Performance Profile)と同じアプローチだ。
ちなみにIntel Extreme Memory対応製品は,EPPの主幹企業であるCorsair Memoryと,Intelとの関係が深いKingston Technologyなどから,順次市場へ投入される見通しであるという。
ただし,先に[COMPUTEX 2007#11]のレポートで少しだけ触れたが,グラフィックスカードベンダーの関係者は,「Intel X38 ExpressでSLIサポートが行われるはずだ」と口を揃える。また,その後の取材で,NVIDIAと密に協業している複数のベンダーの関係者から「正式な合意はされていないし,口約束もないが,Intel X38 ExpressでのSLIサポートに向けて,IntelとNVIDIAが前向きに交渉を開始した」という話を聞くことができた。
「Designed by NVIDIA」のマザーボードに注力するなど,チップセットビジネスを重視するNVIDIAが,そう簡単にSLIサポートを許すとは思えない。しかし,PCI Expressの第2世代でIntel X38 Expressが当分の間リファレンスプラットフォームとなるのも確かで,この事実をNVIDIAは無視できないはずだ。Intel X38 Expressに対してのみ,SLIライセンスが供与される可能性は,少なくともゼロではないようである。(ライター:本間 文)
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