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[CES 2016]カスタマイズ性重視のSteelSeries製マウス「Rival 700」フォトレポート。注目の振動機能はプレイを邪魔しないソフトな揺れ方だった
CES 2016に合わせて同社は,会場近くのホテルにプライベートブースを設け,限られた関係者だけにこの新マウスを披露していた。本稿では,そこで撮影してきた写真をメインに,Rival 700をあらためて紹介してみたい。
なお,製品の概要は製品発表時に掲載したニュース記事に詳しいので,そちらも合わせて参照してもらえれば幸いだ。
SteelSeries,ハイエンドのゲーマー向けマウス「Rival 700」。振動機能と有機ELサイドパネル搭載で,センサーなどの交換にも対応
ボディ形状はシンプル。左サイドの縦長ボタンは親指で操作する
まずは外観全体から見ていく。Rival 700は右手専用のマウスで,右側面がゆるやかなカーブを描いて外側に出っ張ったような形状をしている。もっとはっきりいえば,従来のRivalシリーズと同じような形状だ。
ボタン類は,左右メインとセンタークリック機能付きスクロールホイール,ホイール手前×1,左サイド×3というレイアウト。基本的にはオーソドックスなボタン配置なのだが,左サイド奥側にあるボタンの下に,縦長の台形をしたサイドボタンを備えているのが,下位モデルにはない特徴である。
この左サイド3つめのボタンは相当に奥まったところにあるため,「かぶせ持ち」でもない限り使えないような気がしたのだが,製品担当者いわく「僕は『つかみ持ち』派だけど,問題なく使えているよ」とのこと。従来のRivalシリーズ同様,特定の持ち方に最適化した製品ではなく,ボタン配置もそのコンセプトに基づいているという。
ちなみに,左側面に小さなオレンジ色のドットが2つ,前後に並んでいるのだが,これはキーボードのホームポジションを示すキートップの突起と同じように,右親指の定位置を示すための突起だそうだ。イメージイラストだとLEDイルメーションっぽかったのだが,単なるプラスチックで,光ったりはしない。
それほど大きな突起ではないので,短時間触った程度では,今ひとつ効果がよく分からなかったが,馴染んでくると違うのかもしれない。
注目の振動機能は,しっかりと揺れを感じるが操作は邪魔しない程度
さて,Rival 700で一番の注目ポイントは,振動機能「tactile alerts」が使い物になるのかというところだろう。多くの人が,手に持つ入力デバイスの振動機能といえば,ゲームパッドのそれをイメージするのではないだろうか。そして,「マウスがあんなにガタガタ揺れたら,ゲームの邪魔にしかならないのでは?」と考えるかと思う。
結論からいえば,振動でゲームを邪魔される心配はなさそうだった。デフォルトの振動設定での揺れ方は,たとえばFPSにおけるエイムを邪魔するほど強いわけではないが,パームレストに触れた手の内側に「あ,揺れてる」と伝えられる程度に抑えられているのだ。ソフトだが間違いなく気がつくレベルの揺れといったところである。
振動機能に対応する「Counter-Strike: Global Offensive」の場合,敵の攻撃を受けると振動するようになっていたのだが,見えない位置の敵から銃撃を受けたとき,Rival 700がブルブルと震えて,右手に振動を伝えてくれる。その一方で,とくにエイムの操作が邪魔されたように感じたことはなかった。
SteelSeriesは,この機能を実装するに当たって,同社がスポンサードしているプロゲーマーやゲーム実況者にさまざまなテストをしてもらい,「揺れをしっかり感じる一方で,操作は決して邪魔しない揺れ方」を研究したそうだ。その成果が現れているのだろう。
FPSで狙撃手を担当するときに,ささいな振動でも絶対にあっては困るという人はともかく,この程度の揺れ方であれば,ゲームの邪魔にはならないという人がほとんどではないかと筆者は感じた。言葉や写真ではうまく伝えられない要素なので,日本市場に登場したら,PCにつながったデモ機で確かめてみることをお勧めする。
ちなみに,振動機能をゲームで利用するには,ゲーム側での対応が必須になるという。今のところ,上述したCounter-Strike: Global Offensiveのほかに,「Dota 2」や「World of Warcraft」などが,振動機能に対応するとのこと。自作のゲームに振動機能を組み込むためのソフトウェア開発キットの提供や,振動機能のオープンソース化も予定しているそうだ。
カスタマイズ要素を重視。センサーは標準の光学式のほか,レーザーセンサーも別売りで用意
Rival 700におけるもう1つの特徴は,ユーザーによるカスタマイズを重視した設計にある。
カスタマイズ要素は多岐にわたるが,最も重要なのはセンサーモジュールの交換だろう。発表時のニュース記事にもあるとおり,底面に装備したセンサーモジュールは,簡単に取り外して,別売りのセンサーモジュールと交換できるようになっている。
センサーモジュールを交換できる機能は,Mad Catzが2015年に発売した「R.A.T. PRO X」で先鞭をつけており,カスタマイズ性を重視したマウスでは,こういった機能を採用するものが,これから増えていくのかもしれない。
さて,標準装備のセンサーは,PixArt Imaging(以下,PixArt)製の光学センサー「PMW3360」だと公表されているが,SteelSeriesでは,PixArt製のレーザーセンサー「ADNS-9800」を採用するモジュールを販売する予定だという。
マウス本体につながっているケーブルを交換できるのも,珍しいカスタマイズ要素といえるだろう。ブースに展示されていたのは,長さ1mのラバーコートケーブルだけだったが,長さ2mの布巻きケーブルも付属する。
ケーブルの取り付け部分は,底面方向に力を入れて引っ張らないと抜けないようになっていたので,ゲーム中に意図せず抜けてしまう心配はなさそうだ。
従来製品と同じように,本体手前側のゴム製パーツだけでなく,パームレスト部も取り外して交換できるようになったのも,重要なカスタマイズ要素だ。
標準のパームレストはつや消しタイプのプラスチック製部品だが,製品の発売後,SteelSeriesの直販サイトから,つや有りタイプの交換用パーツを販売する予定だと,説明担当者は述べていた。担当者によると,パームレストはユーザー側で自作できるよう,3Dモデルデータを公開する予定もあるそうだ。
モノクロ有機ELパネルに過度な期待は禁物
従来製品の本体底面からRival 700で左側面奥側先端部へ移動した,小型のモノクロ有機ELパネルもチェックしておこう。
「Sensei」など,これまでのSteelSeries製フラグシップマウスでは,あくまでも設定変更用ということで,プレイ中には見ることのできない場所にあった有機ELパネル。それがRival 700ではいつでも見られる場所へ移動したことを受け,ゲームのスタッツ(stats,統計)データをチェックしたり,簡単なアニメーションを表示したりできる新機能を獲得している。
ただ,現実問題として,これが従来の有機ELパネルと比べて使い勝手が上がった印象は受けない。いつでも見られるとはいえ,そもそも視野には入りにくい場所であるうえ,“魅せる機能”として使うにしても,マウスという,動きの激しいデバイスで,小さな有機ELパネルに情報を表示できたとしても,それが効果的だとはあまり思えない。
CPI設定など,マウスの各種設定を確認したり調整したりするためのものとしては,従来同様便利なので,モノクロ有機ELパネルには過度の期待をしないのが,幸せになる秘訣のように感じた。
ともあれ,機能てんこ盛りということで,Rival 700が気になる人は少なくないだろう。説明担当者は,2016年第2四半期に世界市場で発売になると述べていたが,なるべくズレのないタイミングで日本市場に登場することを期待したい。
●Rival 700の主なスペック
- 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤードタイプ(※センサーユニット交換可能)
- 標準搭載センサー:PixArt Imaging「PMW3360」
- ボタン数:7(左右メインボタン,センタークリック機能付きスクロールホイール,ホイール手前×1,左サイド×3)
- 最大トラッキング速度:300IPS(≒7.62m/s)
- 最-大加速度:50G
- 画像処理能力:未公開
- フレームレート:未公開
- CPI設定:100〜16000(※刻み未公開)
- ポーリングレート:1000Hz(※詳細未公開)
- データ転送フォーマット:未公開
- 公称本体サイズ:約68.46(W)×124.85(D)×41.97(H)mm
- 公称重量:約159g(※ケーブルを含むかどうかは未公開)
- ケーブル長:約1m(ラバーコート)もしくは約2m(布巻き)
- マウスソール:未公開
SteelSeriesのRival 700製品情報ページ(英語)
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