ニュース
[G★2006#62]Bill Roper氏が語る「Hellgate:London」第3のクラス「Hunter」の魅力
これはタイトル単位で考えると,G★中もっとも密度の濃いアピールのしかただといえる。そしてその光景は,カジュアルゲームが隆盛を極めるG★においても,数少ない欧米産タイトルとして異彩を放ち,ほかと比べて決して引けを取っていない。Hanbit Softブースでの韓国人ユーザーの「Hellgate:London」に向ける熱い視線をじっと見ていると,時代の流れなど余裕で跳ね返すだけの勢いのようなものを感じた。
Hellgate:Londonの開発スケジュールは,もう間もなくクローズドβが開始されるといわれているが,それがなかなか現実的な形として見えてこない。いわゆるBill Roper氏が関わるタイトルのお約束的な状態だ。そんな折りにG★に合わせて公開された第3のクラス「Hunter」について,Bill Roper氏本人に直接話を伺ってきた。時間も限られ慌ただしい中のインタビューであったが,貴重な話をいくつも聞けたので,ぜひとも最後まで読んでもらいたい。
■新クラスHunterとマルチプレイ機能を実装したバージョンをG★に出展
4Gamer:
今日はよろしくお願いします。G★も本日で3日目になりますが,出展にあたりどのような感想をお持ちですか?
Bill Roper氏:
G★は大好きなイベントです。Hellgate:Londonではこれが2回目の出展になりますが,いつも大勢の人たちがきてプレイしてくれて本当に嬉しく思っています。彼等の声をゲームへしっかりフィードバックさせて,もっともっと楽しんでもらえるゲームにしたいですね。
4Gamer:
Hellgate:Londonはこれまで沢山のゲームショーに出展してきましたが,韓国の人達の反応は他国と比較してどのように感じましたか?
Bill Roper氏:
韓国の人達は,ゲームにとても詳しく,情熱的だと思いました。
4Gamer:
なるほど。次に,東京ゲームショウで出展していたバージョンから,G★にかけて大きく変わったところを教えてください。
Bill Roper氏:
全体的にかなり違っていますよ。ゲーム内に登場するアイテムやエリア,それにモンスターの数はかなり増やしています。それらのなかでも最も大きな違いは,新職業であるHunterと,マルチプレイ機能の追加です。
4Gamer:
現在のマルチプレイの仕様について,改めて詳しく聞かせてください。
Hellgateのマルチプレイにおける人数規模はかなり大きく,見方によってはMMOに近いかもしれません。キャラクターを作成すると最初はコモンステーションへと降り立ちます。ここはいわゆる拠点エリアに相当し,そこでグループ編成やショップでの売買といった準備を整えたうえで,インスタンス生成の冒険エリアへと出発する。これが基本的なゲームの流れですね。
Hellgateのインスタンスはとても柔軟にになっています。例えば,8人によるグループで冒険している途中で,仮に人が抜けたとしても,問題なく冒険を続行できます。なぜかというと,グループのメンバー数によって,リアルタイムで難度が調整される仕組みになっているんです。また,冒険中にグループメンバーを加えることもできますよ。
4Gamer:
インスタンスによる冒険エリアでは,最大で同時に何人で遊べるのですか?
Bill Roper氏:
そこは現在調整中ですが,少なくともエリアによって一度に参加できるプレイヤー数は違います。
4Gamer:
G★に出展されていたものをプレイした際,一人で冒険エリアに出たと思ったところ,そこでは別のプレイヤーも戦っていたのに驚きました。ちょっと再確認しておきたいのですが,Hellgateのプレイスタイルは結局,MO的なのでしょうか,それともMMO的なのでしょうか?
Bill Roper氏:
MOとかMMOの定義は人によって異なるので,なかなか答えるのが難しい質問ですね。ただ,私はHellgateはMMOだと思っています。シングルプレイモードもありますが,オンラインモードでは一般的なMMOが持っている要素,ギルド,オークションハウス,コミュニティ,エコノミーなどが同様にありますので。
4Gamer:
シングルプレイとマルチプレイのキャラクターは同じものを使うのでしょうか?
Bill Roper氏:
いいえ,それは違います。マルチプレイ用のキャラクターは,セキュアな環境のサーバーで管理されます。仮にシングルプレイ用のキャラクターでマルチプレイを行えると,どうしてもチートの問題は避けられないですし。
4Gamer:
マルチプレイモードでプレイを始めると,どの場所に現れるのですか?
Bill Roper氏:
本当に一番最初はキャラクターを作る必要がありますが,キャラクターを作った後はアンダーグランドステーションの一つに現れます。ここではチャットなどが行える,いわゆるロビー的な役割を担っています。
4Gamer:
ひとつのアンダーグランドステーションに入れる人数はどれくらいですか?
Bill Roper氏:
それはアンダーグランドステーションの規模によります。色々な種類のステーションがあり,小さいものだと30〜40人,大きいものだと100人くらいになる予定です。
もしひとつのステーションの許容人数がオーバーすると,そこには別のレイヤー(ギルドウォーズにおける“District:地区")ができます。ただしギルドウォーズのDistrictとは違い,グループメンバーがバラバラになることはありません。
4Gamer:
今回の出展バージョンで最大のトピックといえば,やはり「Hunter」の登場だと思います。このHunterのプレイにおける魅力を教えてください。
Bill Roper氏:
Hunterは近未来テクノロジーをフル活用した,様々な遠隔攻撃を得意とします。もしFPSが好きなプレイヤーであれば,まっさきにお奨めしたいクラスですね。
4Gamer:
FPSプレイヤーに対してアピールする要素は,豊富な遠距離武器のほかに何かありますか?
Bill Roper氏:
銃器にはホーミング等によって自動的に狙いを定めてくれるタイプだけでなく,自分自身で照準の狙いを定めるタイプも選択できます。aiming要素もたっぷりあるので,FPSプレイヤーならきっと気に入ってくれると思いますよ。
4Gamer:
遠隔攻撃面に関しては大体イメージ通りですが,「Drone」の存在は少々意外でした。このシステムについて詳しく教えてください。
Bill Roper氏:
DroneはHunterにとって,遠隔攻撃と同じくらい重要な要素です。これは機械的なペットともいうべき存在で,自分が使わない武器や防具を,Droneに与えることでパワーアップしていきます。ほかのクラスだと,使わないアイテムは処分するしかないですが,Hunterだと別の利用法があるわけです。
与えるアイテムの種類によって,Droneの成長する方向性は違ってきます。パワフルな武器を与えれば強力な火力を持つDroneへと成長しますし,ほかにも回復や支援に長けたタイプに育てることができます。
4Gamer:
様々なDroneタイプを作りたくなると思うのですが,一人のHunterは何体のDroneを所持することができるのでしょうか?
Bill:
複数のDroneを育てながらゲーム中に入れ替えすることはいつでもできますが,一度に呼び出せるのは一体のみです。
4Gamer:
往年のBlizzardファンにとって,Droneと聞くと思わず「StarCraft」の作業用ユニットを連想してしまいます。あのDroneのように,自分自身が他のものに変化したりはするのでしょうか?
Bill Roper氏:
ああ,そういえば確かに居たよね(笑)。今回は“奴隷”という意味合いでこの名前にしただけで,直接StarCraftとの関連性はないですよ。
4Gamer:
それにしてもDroneのシステムは奥深そうです。ゲーム全体の中では,HunterはいわゆるMMORPGにおける“ペットクラス”に相当すると考えてよいのでしょうか?
ペットをメインに使うスタイルにも2種類があって,ひとつのDroneをじっくり育てていくタイプと,幅広く育てていくタイプに分けられます。Hunterでプレイするときにこれらのペットばかり活用するといったスタイルであれば,いわゆるペットクラスに近いと思います。
でも,Hunterは銃器をメインに使っていくスタイルでもプレイ可能なので,クラス全体として見ると一概に言い切れないですね。
4Gamer:
一人のHunterは,Droneを最大で何体まで所持できるのでしょうか?
Bill Roper氏:
Droneにはいくつかのカテゴリーがあって,それぞれにつき一体づつ所持できます。現在実装されているカテゴリー数は3〜4種で,たとえば空を飛べる“Flyed Drone”や,武器を一切使わずに成長させる“Medicated Drone(回復系)”といったユニークなものもあります。ただし,Droneのシステムはバランス調整の作業中なので,今後名前も含めて変わる可能性はあるでしょう。
4Gamer:
育成要素はたっぷりとあるわけですね。そうやって自分が育てたDroneを,友達に分け与えたりトレードしたりといった事はできますか?
Bill Roper氏:
DroneはHunterのパーソナルペットなので,人に渡すことはできません。パワーレベリング等の問題もありますし,ゲームバランス的にもそれが妥当だと考えました。
4Gamer:
もしDroneのマスターであるHunterがダメージを受けると,Droneもダメージを受けたりしますか?
Bill Roper氏:
それはありません。DroneとHunterが同士討ちしたりすることもないですが,この部分はバランシングに大きく関わってくるので今後変更されるかもしれません。
4Gamer:
何種類のパーツを足せるのですか?
Bill Roper氏:
いまのところウェポンとアーマーの2種類です。ひょっとしたらもっと増えるかもしれません。炎系の武器を与えると,強い炎系のダメージを与えられるドローンになるといったように,与えるウェポンやアーマーによってDroneはカスタマイズされていきます。
4Gamer:
Droneの外見は何タイプがありますか?
Bill Roper氏:
現行バージョンでは1種類のみですが,Droneのタイプによって変わるようにします。
4Gamer:
まさか無いとは思いますが,念のため聞いておきます。このクラスはHunter単体でも面白く,Droneをつけても面白いとおっしゃっていましたが,両方をあわせると,ほかのクラスより強くなりすぎませんか?
Bill Roper氏:
新しいクラスを追加するたびに,そのクラスが強いっていわれますね(笑)。こういったバランスの問題は,βテストなど多くのプレイヤーが遊んだ段階を通して調整していきます。最終的なバランスはきっちりと取るので安心してください。
■……で,いつ遊べるの?
4Gamer:
日本語版についてですが,ローカライズの仕様はもう完全に決まっているのでしょうか?
Bill Roper氏:
東京ゲームショウの際は,出展に間に合わせるため一時的なローカライズを行いました。現在はローカライズ仕様の部分はほとんどできているといえます。ただ,この辺りは各販売地域におけるパブリッシャとの兼ね合いがあるので,私からはお答えできない部分もあります。バンダイナムコゲームズのスタッフはローカライズに本当に力を入れてくれていて,言葉のチェックなどはかなり細かく行ってくれています。
4Gamer:
以前にも聞きましたが,日本人ユーザーにとって非常に重要な部分なので再度確認します。アイテム等の固有名詞を完全に翻訳してしまうと,他の言語圏のプレイヤーとコミュニケーションが取りにくくなってしまう問題について,何らかの対処は行いますか?
Bill Roper氏:
現時点ではアイテムの名前を英語にして,その詳細説明欄では翻訳するといった方法を考えていますが,最終的な仕様は完全に決まってはいません。他国とのコミュニケーション面も含め,ユーザーがもっとも遊びやすい形にしますよ。
4Gamer:
アジア圏の国々では「基本プレイ無料+アイテム課金」のビジネスモデルがもやは定番となっています。Hellgate: Londonは販売する国によってパブリッシャが違いますが,それらの間でビジネスモデルが異なるといった可能性はありますか?
Bill Roper氏:
ビジネスモデルに対するニーズは国によって大きく違いますね。その事は私たちも実感しており,販売する各地域によって課金プランを変える可能性はあります。一応,技術面にはどのプランにも対応は可能です。
4Gamer:
よく聞かれる質問だとは思いますが,現在の完成進行度は何%程度ですか?
Bill Roper氏:
ええ,よく聞かれますがいつも答えるのに苦労している質問ですね(笑)。ゲームの中身という部分に限って言えば,75から80%といったところだと思います。
4Gamer:
なるほど。となると,βテストの日程はもうそろそろ決まりそうですか?
Bill Roper氏:
関係者の友達や家族で行う,本当に小さな規模のテストを,年末から年明けにかけてサンフランシスコあたりで行います。その後は状況によって変わってきますが,6月末頃にオープンβテストに移行できればいいな,と考えています。
4Gamer:
期待していますよ。今日はありがとうございました。
インタビュー内容を振り返ると,最初にHunterの仕様を聞いた時点では,銃器を得意とするFPSプレイヤー向きのクラスという印象であった。だが,実際にはDroneというペットの存在も同じくらい重要のようだ。この二つの要素へのパワー配分が大きなポイントとなるのは明らかで,そういった意味では現時点におけるHunterというクラスのポジショニングは,例えるならば世界観こそ違うものの「World of Warcraft」のHunter,あるいは「ギルドウォーズ」におけるレンジャーに近い。
Droneの方向性については「ファイナルファンタジーXI」における“からくり士”用のオートマトンに通じる部分もある。だが,独創的なアイデアがあまりにも多く詰め込まれており,現時点ではちょっと的確な例えが見つからない。Bill Roper氏は今後Droneの仕様が変わる可能性も示唆していたものの,いままでにないプレイ感覚を得られるのは,間違いないと見てよいだろう。
ベータテストの日程や規模が,以前に聞いた際からさりげなく遅延/縮小している点については,残念ではあるものの想定内いったところだろうか。Hellgate: Londonに関しては,首を長くしてというよりは,すでに達観しているファンも多そうだ。とはいっても,1日でも早くスケジュルを提示して,ファンを安心させて欲しいところだ。(ライター 川崎政一郎 Photo by Kiki)
- 関連タイトル:
HELLGATE
- この記事のURL:
Copyright (c)2010 HANBITSOFT INC. All Rights Reserved. Developed By T3 Entertainment Co., Ltd. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.