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「ダレット元年 事業戦略記者発表会」レポート:2.5次元アバターの3Dコミュニティ「ダレットワールド」とそのビジネスモデル
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今回発表されたダレットワールドは,稲船氏によると「コミュニティポータルをゲーム屋が作るとどうなるか」という発想で企画されたとのこと。ゲーム制作で培ったノウハウを活かし,「インターネットを,もうちょっとおもしろく」というコンセプトを持っており(関連記事),以下の特徴が挙げられる。
ペーパークラフトのような町並みと2.5次元アバター
プレイヤーの分身となるアバターキャラクターをはじめ,町並みはペーパークラフトのような3Dグラフィックス(2.5次元)で表現される。世界初のアバターサービス「フォトアバター」
服やアクセサリーといったキャラクターのアバターアイテムに画像を適用できる。他企業とのタイアップによるアイテムの提供や,プレイヤー自身がアイテムを任意に作成する機能などが実装される予定。会場では,実際に壇上の稲船氏が着用していた服と同じデザインのアイテムをキャラクターにも着せるというパフォーマンスを披露した。なお稲船氏によれば,将来的にはユーザーが作成したアイテムをダレポ(コミュニティ内通貨)を使って売買できるようにしたいとのこと。気ままにコーディネートできる「マイルーム」
額縁を模したデザインで,絵画や写真のように表現される一風変わったユーザーの個人スペース。フレンドを招き入れてチャットなどができるほか,背景や家具などを任意に設置可能。この家具などには,上記のフォトアバター機能が適用される。誰もが気軽に「あそべるコミュニケーション機能」
チャットやメール以外に,魚の形をした便箋にメッセージを書いて放流し,ほかの誰かに釣り上げてもらう「メッセージ魚」機能を実装。当初は“アラカワくん”という専用NPCを介する機能だが,将来的にはユーザーが釣竿を入手し各自で任意に行えるようにしたいとのこと。稲船氏は,このシステムを使った企業広告の可能性も示唆していた。そのほか「あそびの中のマーケティング」と銘打ち,各種のビジネスモデルを展開。具体的な内容としては,ダレットワールドへの出店,広告の掲載,アイテムの販売などを企業から募集し,手数料を徴収するなど。ダレットの関連企業であるカプコンとドワンゴをはじめ, NTTドコモ,ソフトバンク,ソニー・ミュージックエンタテインメントなどといった20社以上が賛同企業/サービスとしてすでに名乗りを挙げている。
また発表会では,ツタヤオンラインが運営する「TSUTAYA online」の作品データベースと連携した気軽にレビューを書ける機能を実装する予定と発表された。
稲船氏は従来のインターネット上のコミュニティに遊びや面白みが少ないことを指摘し,さらに「ダレットは,ダレットワールドを実現するために設立した」とも発言しており,サービス開始にかける意気込みや自信のほどが伺えた。ダレットワールドの今後の展開予定は以下のとおり。
・1月17日 第1回限定テスト(1次クローズドβテスト)テスター募集開始
・2月上旬 第1回限定テスト実施
・2月下旬 第2回限定テスト(2次クローズドβテスト)実施
・3月中旬 ダレット会員参加可能テスト(オープンβテスト)
・4月上旬 正式サービス開始
事業戦略のもう一つの柱となるオンラインゲームタイトルとしては「ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション」(以下,SFO),および「サドンアタック」のサービス開始が発表された。サドンアタックについては,すでにゲームヤロウによるサービスが実施されているが,ダレットでもそれに続き,1月下旬から正式サービスが開始される予定。
「ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション」
プレイフィール
また今回の大きな目玉となったSFOについては,先ほど報じたとおりだが,発表会後,短い時間ではあるが会場に設置された試遊台で実際にSFOをプレイできたので,そのプレイフィールをお伝えしよう。
まずプレイヤーは,自分の使用するキャラクターを設定する。キャラクターはシリーズお馴染みのリュウとチュンリーのほか,新しくヒコ(男性)とテイラン(女性)が加えられる。新キャラクターはいずれも中国の人気武侠小説家,金 庸氏の作品の登場人物をモデルにしており,得物を使った必殺技が特徴だ。稲船氏は,発表会で世界進出を視野に入れており,そのさいは中国という存在を無視できない。中国におけるSFOの展開を見据えたことも含めて,金氏作品の起用したと述べていた。
SFOで面白いのは,キャラクターがそれぞれ頭部/腕/胴体/脚の4つのパーツに分けられており,それそれ組み替えてカスタマイズできる点だ。すなわち,顔はリュウだがそれ以外はチュンリーといったような組み合わせもできるし,4か所すべてを違うキャラクターのパーツにすることも可能だ。
それぞれのパーツにはスキルという形で必殺技が付けられているので,一見特異なネタ寄りの外見でありながら,じつはかなり強いという組み合わせもあるかもしれない。
操作はマウスで行う。マウスを左右に動かせばキャラクターも左右に動き,上に動かせばジャンプとなる。画面上には導線が表示され,キャラクターがどの方向に動いているか分かるようになっているので,初心者でも比較的プレイしやすいだろう。
攻撃はマウスクリックで行う。右ボタンと左ボタンを交互に押していればパンチやキックが繰り出せる仕様だ。上中下段といったような使い分けはできないようだが,左右交互にテンポよくボタンを押しているだけで攻撃できるので,非常に明快かつ快適に格闘ゲーム感を楽しめる。なお,必殺技はマウスホイールでスキルを選択し,ドラッグ&ドロップで発動させる。慣れれば昇龍拳や波動拳,スピニングバードキックなどお馴染みの必殺技も自在に繰り出せるようになるはずだ。ちなみに,「真空波動拳」「千裂脚」といった技を確認できた。
時間の都合上,筆者は数回しかプレイできなかったのだが,稲船氏が発表会で述べたとおり,「2D格闘ゲームをカジュアルゲームに落とし込んだ」作りになっているように感じられた。個人的な希望をいうなら,やはり男女のパーツを組み合わせることには見た目的にも心情的にも若干抵抗があるので,同じ(または似た)スキルのついたパーツを,男女それぞれに用意してほしいところ。こちらは今後の展開に期待したい。
また本作の動作スペックについてだが,推奨環境はPentium 4/2.5GHz以上,グラフィックスカードがGeForce 6以降でDirectX 9.0c以上に対応と,カジュアルゲームにしてはやや高い。とはいえ,会場で試遊機として用意されていた富士通の小型ノートPC「LOOX U」でも問題なく動作していた。動作保証されるわけではないが,Intel 945Gクラスの内蔵グラフィックス機能でも動いていたことから,推奨環境を満たしていなくてもプレイできる可能性は高そうだ。
なお,SFOのクローズドβテストは2月下旬に開始予定で,その募集は1月中に実施されるとのこと。
過去20年に渡ってカプコンの人気シリーズに携わり,まだ「ゲームにできることはたくさんある」とし,そのノウハウを活かして「インターネットをもうちょっと面白くしたい」と述べる稲船氏。さらには,ダレットワールドはカプコンのゲームはもちろん日本のゲーム,そしてインターネット全体を内包する可能性を持っていると発言し,その構想と期待の大きさを感じさせた。
BtoBについては,他社が展開してきたコミュニティポータルとどう差別化を図り,成功に導くかが気になるところ。じつは賛同企業の中には,筆者が長年に渡って愛用しているマニアックかつ極めてマイナーなアパレルブランド(かつてカプコンとタイアップしたことがある)も含まれていた。ゲームメーカーとは接点があまりない異業種の企業が,ダレットワールドに賛同しているのは個人的にも興味深い。ダレットワールドを通じてそうしたブランドの商品の情報を得たり,購入できたりする日も来るのだろうか? そうした部分も含めて今後の展開に期待したい。
さて,発表会のあと,ダレット 総合戦略局 局長の波多氏,コンテンツプロデューサーの内田氏,テクニカルディレクターの三澤氏の3名に,短い時間ながらSFOについて話を聞くことができた。今回,SFOが,従来シリーズとは異なり,マウスを使った(というかマウスだけの)操作方法を採用したことに驚いた読者も多いことだろう。今後の展開などの話もちょっとだけ聞けたので,ぜひ読んでほしい。
4Gamer:
本日は,ダレットワールドとSFOの発表おめでとうございます。
ありがとうございます。無事に発表できてほっとしています。
4Gamer:
早速ですが,質問にうつりたいと思います。先ほどの発表会,目玉はやはりSFOだと思います。今回,ああいった形で“ストリートファイター”というIPに思い切ったアレンジをしたわけですが,
内田氏:
最初に,このゲームは対戦格闘ゲームなのか,カジュアルなアクションゲームなのかという判断が議論されました。勝ち負けを追求するのが格闘ゲームだとは思うんですが,そういうのはやりたくなかったんですよ。やっぱりプレイヤーで差は出てしまうし,アイテム課金という形だと,お金を払って強いアイテムを勝った人が有利になりがちですよね。
ただ,ゲームとして考えた場合,そんな形にはしたくないというのがありました。勝ち負けじゃなく,笑いながら遊べるものにしよう,と考えていたら,SFOに行き着いてしまいました(笑)。
4Gamer:
開発にはどのくらいかかったのでしょう?
波多氏:
構想を含めて約3年といったところでしょうか。実際に現在の形で制作にかかったのは1年間くらいですね。
4Gamer:
現在の形ですか? 最初はどんな感じだったんですか?
波多氏:
最初はすごくライトな感じだったんです。それこそ「ストリートファイターII」をオンライン化したような。ただ,実際に作り込んでいったら,「これではだめだ」ということになって,何度も作ってはやり直して,という感じでした。
内田氏:
最初はそれこそマウスも使わず,キーボードで操作するという感じだったんです。それに現在のパーツ交換ではなく,着せ替えができるアバター要素が入っただけで。
4Gamer:
そこからフィギュアのような“パーツ交換”という思い切った方向転換することになったのはどんな理由からですか?
三澤氏:
フィギュアのパーツを組み替えて,違うキャラのパーツに交換したりするのって楽しいじゃないですか。着せ替えじゃなくていっそのことパーツごと交換したらどうだろうというアイデアが出たんです。
内田氏:
その前に,着せ替えのみのバージョンで提案をしたとき,「ふんどし一丁までならいいよ」という話だったんです。当時はアイデアに煮詰まっていた時期だったので,ちょっと冒険してみました(笑)。そこからが大変でしたが……。最終的には稲船からのGOサインも出て,現在の形で実現の運びとなりました。
4Gamer:
そのパーツですが,発表会で上映されたムービーには,リーゼントやサカナ頭といった,いわゆるネタ系のパーツが見受けられたのですが,ストリートファイターシリーズのキャラ以外のパーツも,最初から用意されるんですか?
三澤氏:
最初は一部で,徐々に増やしていく予定です。
4Gamer:
パーツをプレイヤーが作れたりはしないんですか?
内田氏:
SFOはカスタマイズ性を重視しようと考えているんです。パーツの組み合わせしかり,セリフやカットインの編集しかり。そのほかにも,自分だけのステージを作れたりとか,ムービーを保存できたりとかいった要素がそれにあたります。それをどこまで突き詰めていくかによりますが。将来的にそのあたりまで踏み込めたら面白いですよね。
4Gamer:
なるほど。では最後に,SFOがサービスイン時点でどのくらいの規模を目標にしているかを教えてください。
内田氏:
目標は30万人! ……の登録会員数でしょうか。同時接続数については,MHFと同じくらいかそれに近い数を達成したいですね。
4Gamer:
本日はお忙しい中ありがとうございました。
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