テストレポート
ゲームによってはGTX並み! 衝撃の「GeForce 8800 GT」パフォーマンス速報
今回4Gamerでは,発表直前のタイミングで,PINE TechnologyのXFXブランドによる搭載製品「PV-T88P-YDFP」を販売代理店のシネックスから借用できたので,果たしてポテンシャルはいかほどか,そして,GeForceファミリー初のPCI Express 2.0対応カードとして意義はあるのか,まずはパフォーマンスプレビューとして,そのあたりをチェックしてみたいと思う。
カードはリファレンスクロックで動作
実力をPCI Express 2.0/1.1環境でチェック
GPUクーラーを取り外すと,GeForce 8800シリーズとして初めてダイが剥きだしとなったGeForce 8800 GTチップと,Qimonda製のGDDR3 SDRAMメモリチップ「HYB18H512321BF-10」×8が姿を見せる。このメモリチップは1.0nsで,規格上は2GHz相当での動作が可能だから,PV-T88P-YDFPのメモリスペックには若干の余裕があるといえるだろう。
さて,テストのセットアップだが,今回はPCI Express 2.0をサポートする「Intel X38 Express」搭載マザーボードを用意。下位モデルなどとの比較も行いたかったが,時間の都合で,本稿では既存のGeForce 8800シリーズのみを比較対象とする。また,PCI Express 2.0動作時とPCI Express 1.1動作時の違いを見るべく,PV-T88P-YDFP(=GeForce 8800 GT)だけは,「Intel P35 Expresss」搭載マザーボードに差した状態でのテストも行うことにした。
そのほかテスト環境は表のとおりで,グラフィックスドライバは,NVIDIAからレビュワー向けに配布された“GeForce 8800 GT対応版”の「ForceWare 169.01 Beta」を利用する。
テスト方法はベンチマークレギュレーション4.1に準じるが,やはりここでも時間的制約から,対象は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下3DMark06),「Half-Life 2: Episode One」(以下HL2 EP1),「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下ロスト プラネット),「Company of Heroes」の四つに絞らざるを得なかった。この点もあらかじめお断りしておきたい。
なお,以下文中とグラフ中ともに,とくに断りがない限りカード名ではなくGPU名で表記するほか,グラフ中はスペースの都合で,[PCIe 2.0]/[PCIe 1.1]の表記によってGeForce 8800 GTの接続インタフェースを区別する。
Maximus Formula Special Edition DDR2メモリに対応するゲーマー向けモデル メーカー:ASUSTeK Computer 問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp 実勢価格:4万1000円前後(2007年10月29日現在) |
P5K Premium/WiFi-AP ハイエンド指向P35マザーの定番 メーカー:ASUSTeK Computer 問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp 実勢価格:3万3000円前後(2007年10月29日現在) |
EN8800GTS/HTDP/640M グラフィックスメモリ640MB搭載のハイエンド メーカー:ASUSTeK Computer 問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp 実勢価格:5万9000円前後(2007年10月29日現在) |
PV-T80G-GHF9 4万円で購入できるリファレンスモデル メーカー:PINE Technology(XFX) 問い合わせ先:シネックス(販売代理店) info@synnex.co.jp 実勢価格:3万9000円前後(2007年10月29日現在) |
ゲームによってはGeForce 8800 GTXに
近いパフォーマンスを発揮
早速テスト結果に移ろう。まずグラフ1,2は3DMark06の結果をまとめたものだが,GeForce 8800 GTのスコアは非常に良好だ。描画負荷の低い「標準設定」では,GeForce 8800 GTXに迫るところまで来ており,さらに,ストリームプロセッサ数で16基上回るGeForce 8800 GTS(※GTは112基,GTSは96基)に対しては,4x AA&16x AFを適用した「高負荷設定」でも大差を付けている。
GeForce 8800 GTの接続インタフェースで比較すると,PCI Express 2.0環境と同1.1環境でスコアはあまり変わらず。(少なくともシングルカード構成においては)PCI Express 1.1のバス帯域幅で必要十分な可能性を指摘できそうだ。
続いて,FPSであるHL2 EP1の結果をグラフ3,4にまとめた。標準設定だとGeForce 8800 GTのスコアは高解像度になってもGeForce 8800 GTXとほぼ互角。高負荷設定では置いていかれるが,それでもGeForce 8800 GTSよりはかなり高いスコアだ。一方,GeForce 8800 GTの接続バスインタフェースによる違いはやはり見られない。
レギュレーション4.1の採用タイトル中,最も描画負荷の高いロスト プラネットでは,さすがにGeForce 8800 GTXに大きな差を付けられるGeForce 8800 GT。しかしそんな状況にあっても,テストしたすべての条件でGeForce 8800 GTSを上回っている(グラフ5,6)。PCI Express 2.0とPCI Express 1.1のスコア差はここでも無視できるレベルだ。
最後にRTSであるCompany of Heroesの結果をグラフ7,8にまとめた。同タイトルはGPUの演算性能がスコアに影響しやすいが,ここでは動作クロックの高さが効いてか,GeForce 8800 GTのスコアは,描画負荷の低い条件から高い条件までのすべてにおいてGeForce 8800 GTXにあと一歩の位置をキープし続けている。対GeForce 8800 GTSのスコアは圧倒的だ。
また,高負荷設定時には,若干ながらPCI Express 2.0環境のほうがスコアは高くなっている。
65nmプロセスルール採用で消費電力が低減
GPUクーラーは性能不足を露呈
別記事にあるとおり,GeForce 8800 GTの製造プロセスは65nmで,90nmだった従来のGeForce 8800シリーズから微細化が進んでいる。NVIDIAは,GeForce 8800 GT搭載グラフィックスカードの消費電力を105Wとしているが,90nmから65nmへの微細化が,消費電力にどれだけのインパクトを与えるか,実に気になるところだ。
というわけで,いつものようにワットチェッカーでシステム全体の消費電力を測定してみたい。ここではPCI Express 1.1環境でのテストは省略し,システムの統一性を確保した状態で,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,3DMark06の総合テストをループさせて30分間連続実行し,最も消費電力の高かった時点を「高負荷時」として,各時点における消費電力をスコアとした。
それをまとめたのがグラフ9だ。アイドル時/高負荷時とも,GeForce 8800 GTの消費電力はGeForce 8800 GTSを確実に下回っており,65nmプロセスルールを採用した効果は確実にある。
これは,GPUクーラー(=GeForce 8800 GTリファレンスクーラー)の冷却能力が不足気味であるがゆえと見るべきだろう。使い勝手(≒汎用性)を考慮して1スロットタイプのクーラーを採用したと思われるが,冷却能力的には完全に裏目に出たといわざるを得ない。実際の運用時には,グラフィックスカードに風が当たるようケースファンを設置するなど,ユーザー側でケース内のエアフローに気をつける必要がありそうだ。
なお,一つ付け加えておくと,このGPUクーラー,電源投入直後の数秒間は最大回転でファンが動作し,騒音はかなり大きい。システムが起動すると幾分マシになるが,少なくとも静音仕様ではないのでご注意を。
8800GTXクラスの性能が3万円台で!
コストパフォーマンスの高さは間違いなし
そんなグラフィックスカードの予想実売価格が3万円台半ばから後半で,PV-T88P-YDFPに関していえば3万5000円前後なのだから,コストパフォーマンスの高さに疑いの余地はない。別記事で指摘されているとおり,DirectX 10.1のサポートはないものの,ようやくDirectX 10世代のゲームが揃い出してきた状態なのを踏まえるに,この制限はほとんどマイナスにならないはずだ。
ただし,リファレンスカードが搭載するGPUクーラーの性能不足は否めない。GPUクーラーの交換など,何か手を打たないと,少々扱いにくいカードというのも,正直な感想である。
(断言はできないが)GeForce 8800 GTS対応クーラーなら利用できるものもあると思われるので,換装を試みるのも手だろう。自作スキルに自信がないなら,カードベンダーが独自の冷却機構を用意したりするまで待つのも一計と思われる。
いずれにせよ,今回はあくまで速報だ。あらためて近日中にレビューをお届けする予定なので,楽しみに待っていてほしい。
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GeForce 8800
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