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Core 2
  • Intel
  • 発表日:2006/07/27
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45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
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印刷2007/10/29 09:00

レビュー

45nmプロセスルール採用,Penryn世代CPUの可能性を探る

Core 2 Extreme QX9650/3GHz

Text by 宮崎真一

»  Intelから間もなく登場となるPenryn世代のCPU。45nmプロセスルールで製造される新モデルは,L2キャッシュ容量の増加など,ゲームパフォーマンスを左右する変更が少なくないが,果たして既存のCore 2ファミリーと比べて,どれだけの違いがあるだろう? 正式発表前となるこのタイミングで,可能性を探ってみたい。


Core 2 Extreme QX9650
画像集#002のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
 いよいよ,45nmプロセスルールを採用した「Penryn」(ペンリン,開発コードネーム)世代の新しいCore 2ファミリーが登場する。
 Intelは,2007年第4四半期中に,開発コードネーム「Yorkfield」(ヨークフィールド)と呼ばれていたデスクトップPC向けクアッドコアCPUの最上位モデル「Yorkfield XE」を発表予定だ。今回4Gamerでは,「Core 2 Extreme QX9650」(以下,QX9650)と名付けられたYorkfield XEのサンプルを正式発表に先駆けて入手したので,ゲームにおいてどれぐらいのパフォーマンスアップが望めるのか,そのポテンシャルをベンチマークにより検証してみたい。


L2キャッシュは従来比1.5倍に増強

オーバークロックでは空冷で4GHz動作を実現


「CPU-Z」(Vesion 1.41)の実行結果。Core 2 Quadとして認識されている
画像集#007のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
 QX9650は,既存のCore 2 Quadと同様に,2個のデュアルコアCPUダイを一つのCPUパッケージにまとめたMCM(Multi Chip Module)構成を採用する。それを踏まえて,従来の最上位モデルとなる「Core 2 Extreme QX6850/3GHz」(以下,QX6850)と比較した表1を見てほしい。最大のポイントは,プロセスルールの微細化と,デュアルコアCPUダイの共有するL2キャッシュ容量が1ダイ当たり6MBと,従来比1.5倍に強化されていることだ。

画像集#010のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 テスト環境は後述するが,グラフ1は,システムベンチマーク&情報表示ソフト「Sandra 2008」に用意される「Cache and Memory」テストを,CPU以外は同一の環境で実行した結果をまとめたものである。
 L1キャッシュ容量を超える256KBでグラフが落ち込み,さらにL2キャッシュの容量を超える16MBでさらに落ち込むという全体的な傾向は同じ。しかし,16MBのスコアに注目すると,QX9650のほうが高い値を示している。ちなみにこのときのスコアはQX9650が16228MB/s,QX6850が7662MB/sだが,これは,QX9650のL2キャッシュ容量が効いていると見ていいだろう。

画像集#011のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 表1に戻ると,QX9650では新しい拡張命令セット「SSE4」への対応が果たされている。SSE4は,データフォーマットのコンバージョンに特化したもので,ムービーなどのエンコードソフトではその恩恵を受けられるものの,ゲーム用途ではあまり関係がないと思われる。そのほかのスペックはCore 2 Extreme QX6850に準じており,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)も130Wで変わっていない。なお,表には入れていないが,QX9650のTCaseは64.5℃となる。

CM2X1024-9136C5D
“PC2-9136”(DDR2-1142)動作するハイエンドモデル
メーカー&問い合わせ先:Corsair Memory実勢価格:5万円前後(1GBモジュール2枚セット,2007年10月29日現在)
画像集#003のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
 さて今回は,このQX9650を用いて,DDR2 SDRAM環境とDDR3 SDRAM環境のそれぞれでQX6850とパフォーマンス比較を行うことにした。テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション4.1準拠だが,スコアがGPU性能に強く依存した結果となる,解像度1920×1200ドット設定と「高負荷設定」は省略し,1024×768/1280×1024/1600×1200ドットにおける「標準設定」で測定する。
 テスト環境は表2に示したとおりで,マザーボードはいずれもASUSTeK Computer製の「Intel X38 Express」搭載製品になる。どちらもQX9650を利用するにはBIOSのアップデートが必要で,さらに省電力機能である「Enhanced Intel SpeedStep Technology」(拡張版インテルSpeedStepテクノロジー,以下EIST)をBIOSレベルで無効化すると,パフォーマンスが向上しないという制限があった点は付記しておきたい。

※1 オーバークロックテスト時以外はDDR2-800動作
※2 DDR3-1333MHz動作
画像集#012のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 QX9650が正式に発表されるころには対応BIOSも出揃っていると思われるが,場合によってはユーザー側でBIOSアップデートが必要になる可能性もある。

画像集#004のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
Maximus Formula Special Edition
DDR2メモリに対応するゲーマー向けモデル
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:4万1000円前後(2007年10月29日現在)
画像集#005のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
P5E3 Deluxe/WiFi-AP
DDR3メモリ対応のハイエンドボード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:4万3000円前後(2007年10月29日現在)

333×12=4GHz動作を実現したQX9650。今回のテスト環境では,12倍設定時にベースクロックを引き上げると,一部のテストが完走しなかった
画像集#008のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
 さらに,今回はQX9650のオーバークロック耐性についても調べてみた。「Maximus Formula Special Edition」を用いて,動作倍率とベースクロック,CPUコア電圧をBIOSから上げていったが,コア電圧を定格(※マザーボード付属のユーティリティ「PC Probe」でチェックする限りは1.22Vだった)から1.3750Vまで引き上げたとき,ベースクロック333MHzの12倍,動作クロック4GHzで,レギュレーション4.1で採用するすべてのテストが問題なく動作することを確認できたので,この状態のスコアも並べることにする。45nmプロセスへの微細化で,耐性はかなり向上していると考えてよさそうだ。
 ちなみに今回のオーバークロックテストでは,Themalright製CPUクーラー「SI-128 SE」に,Xinruilian Electronics製120mm角ファン「RDL1225S」(回転数1700rpm)を取り付けた状態のものを利用した。

 なお,これはお約束だが,オーバークロック設定はメーカーやショップの保証外となる行為であり,4GHzというクロックも「あくまで筆者が試したテスト環境での結果」に過ぎない。オーバークロックを試した結果,CPUやPCに深刻なダメージを負ったとしても,すべては実行した人の自己責任となる。今回の記事を参考にオーバークロックを試みた結果,何か問題が発生したとしても,Intelや販売店はもちろん,筆者や4Gamer編集部も一切の責任を負わないので,くれぐれもご注意を。


L2キャッシュ容量の増加は

確実な性能向上をもたらす


 前置きが長くなったが,テスト結果の検証に入りたい。以下グラフ中,「with DDR3」表記のないものがDDR2 SDRAM環境,あるものがDDR3 SDRAM環境となる。

 グラフ2,3は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)のテスト結果だ。前者は総合スコア,後者はCPU Testの結果だが,いずれにおいてもQX9650のほうがスコアは若干高い。これは明らかにCPUの違いが生んだスコアであり,まず間違いなくL2キャッシュの容量差による違いだ。
 また,DDR2 SDRAM環境とDDR3 SDRAM環境を比較すると,後者のほうがわずかに高いスコアを示している。

画像集#013のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
画像集#014のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 続いて「3DMark05 Build 1.3.0」(以下,3DMark05)のテスト結果だが,3DMark06と同様の傾向ながら,QX9650とQX6850の差は縮まっている(グラフ4)。これは,3DMark05のほうが負荷が低く,処理するデータも少ないぶん,L2キャッシュ容量の違いが影響しにくくなっているというわけだ。

画像集#015のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 実際のゲームにおけるパフォーマンス検証に移ろう。まずはFPS「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」(以下,S.T.A.L.K.E.R.)における平均フレームレートをグラフ5にまとめた。
 今回のテスト方法において最もCPU性能がスコアを左右しやすい(=最もGPU負荷の低い)1024×768ドットの値に注目すると,同一クロックで動作するQX9650とQX6850の間にやや大きめの差がついており,L2キャッシュ容量の影響が見て取れる。一方,DDR2メモリとDDR3メモリでは,ごくわずかながら後者のスコアが上だが,それほど変わらないともいえそうだ。

画像集#016のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 同じくFPS,「Half-Life 2: Episode One」(以下HL2 EP1)の結果をグラフ6に示す。HL2 EP1もS.T.A.L.K.E.R.とほぼ同じ傾向を示しており,1024×768ドットにおいてQX9650とQX6850の違いは明らかだ。メインメモリの違いによるスコアの変化はS.T.A.L.K.E.R.よりさらに小さくなっている。

画像集#017のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 TPS「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下ロスト プラネット)における「Cave」のスコアをまとめたのがグラフ7である。
 ロスト プラネットでも,QX9650の優位性は目に見える形で確認可能だ。また,動作クロックの高いDDR3メモリ環境のスコアが,DDR2メモリ環境よりも明らかに高く,この点はこれまでと若干異なる傾向を見せている。

画像集#018のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 続いてはRTS「Company of Heroes」のテスト結果だが,ここでもQX9650はQX6850に対して安定して高いスコアを出している(グラフ8)。メインメモリの違いに関していうと,S.T.A.L.K.E.R.やHL2 EP1のテスト結果に近い。

画像集#019のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 最後にグラフ9はレースシム「GTR 2 - FIA GT Racing Game」(以下GTR2)の結果だ。ここでも,QX9650のほうがQX6850よりスコアが高く,DDR2とDDR3だと後者のほうがスコアは高いものの,違いはわずかという点で,ロスト プラネット以外に表れた結果を踏襲している。

画像集#020のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載


45nmプロセスルールは伊達じゃない

秀逸なQX9650の低消費電力


 一般に製造プロセスの微細化は(トランジスタの動作電圧が下がるので)消費電力の低減につながる。となれば,45nmプロセスルールを採用するQX9650の消費電力低減には期待できそうだが,表1で示したとおり,同製品のTDPはQX6850から変わらずの130W。この点が気になっている人もいると思う。

EIST有効時
画像集#009のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
 そこで今回も,システム全体の消費電力から,CPUの消費電力を比較してみたい。
 OS起動時30分間放置した直後を「アイドル時」,MP3エンコードソフトベースのCPUベンチマークソフト「午後べんち」を30分間実行し続けた直後を「高負荷時」として,システム全体の消費電力をワットチェッカーで測定した結果をまとめたものがグラフ10である。なお,アイドル時については,EISTの有効/無効それぞれでスコアを取得している。

 結果は一目瞭然,QX9650の消費電力は明らかに低い。EIST有効時こそ大きくは変わらないが,EISTを無効化したアイドル時に30W,高負荷時には40Wの違いが生じている。CPUコア電圧を引き上げ,さらに4GHzまでオーバークロックした状態がQX6850の定格動作時とほぼ同じというのは,かなり衝撃的だ。
 なお,DDR3 SDRAM環境では――マザーボードの違いがあるため一概にはいえないものの――総じて消費電力が低くなる傾向が見て取れる。

画像集#021のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載

 さらに,グラフ10の状態におけるCPUコア温度を,モニタリングツールである「CoreTemp」で測定し,高負荷時の温度が最も高いコアのスコアを抽出した結果がグラフ11である。室温20℃の環境において,PCケースに組み込まないバラックの状態で計測したスコアだが,Intelのリファレンスクーラーを用いたときQX6850は高負荷時に80℃を超えてしまうのに対し,QX9650は60℃台の中ほど。扱いやすさの向上は明らかだ。
 なお,QX9650を4GHz動作させたときの温度が低いのは,前述のとおり,これのみクーラーが異なるからである。

画像集#022のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載


QX9650が現時点の最速モデルなのは疑いない

Yorkfield/Wolfdale世代の低価格モデルにも期待


画像集#006のサムネイル/45nm時代到来。Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650」レビュー掲載
 以上,45nmプロセスへと移行した新Core 2ファミリーの可能性を探るべくテストを行ってきたが,L2キャッシュ容量の増加は,ゲームパフォーマンスに明確なメリットをもたらすと断じてよさそうである。とくに最新世代の“重い”3Dゲームタイトルにおけるスコアの伸びには目を見張るものがある。消費電力&コア温度が低く,これまでよりぐっと扱いやすくなり,さらにオーバークロック耐性が高い点も魅力的だ。
 価格は明らかになっていないので何ともいえないが,最近のExtremeモデルは長らく999ドルなので,おそらくそこを大きく逸脱することはないのではなかろうか。絶対的なパフォーマンスのためならコストは無視できるという人には,間違いなくオススメである。

 ただ,さすがにこのクラスが万人向けではないのも確か。“XE”の付かない下位モデルのYorkfieldや,Penryn世代のデュアルコアCPU「Wolfdale」(ウルフデール,開発コードネーム)といった,より安価なモデルの早期デビューにも期待したいところだ。
  • 関連タイトル:

    Core 2

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    Intel 3

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