ニュース
動乱の三国時代を生き抜けるか? 新作三国志RTSの初期βを入手!
2006年3月31日にわずか数行のニュースでその存在をお知らせした「制覇三国」だが,早くもパブリッシャー向けのデモを入手できた。あまりにも情報が少ない本作について,さっそく触ってみた感触をお届けしよう。
制覇三国は,タイトル名から想像がつくように,三国志をベースとした歴史RTSだ。武田信玄シリーズで知られるカナダのMagitech社の開発した作品で,ゲームエンジンも「武田信玄2」と同じものを使っていると思われる。このため見た目もゲームシステムも,同作と非常によく似ている。
■キャンペーンの流れ
ゲームは“Tactic Mode”から始まる。ここでは合戦前のさまざまな戦略を練ることになるが,まずはあらかじめ用意された部隊に武将の配属をしていくことからだ。それぞれの武将は得意な兵科も能力も異なるので,武将の詳細を確認したうえで,もっとも活躍できそうな部隊に配置していく。武将のいない部隊は合戦に参加できないので,序盤など武将の数が充分に揃っていない場合は,陣形(後述)が完成しない場合もある。
なお最近のRTSのお約束だが,一部の武将には特殊な能力を有するものもいる。これは兵の士気を一時的に高めたり,逆に敵に恐怖心を与えて士気を削いだり,一定の範囲内にいる兵の体力を回復させたりといったものだ。こうした特殊な能力も,Tactic Modeで武将の詳細を見れば確認できるようになっている。
そして武将の配属が終わったら,軍全体の攻撃態勢をAggressive(攻撃的),Predefend(準防御),Defend(防御体制)から選択する。もっともこれは,合戦時に部隊ごとに適宜変更することになると思うので通常はデフォルトのままで構わないだろう。
Tactic Modeでの準備が整ったら,いよいよBattle Modeでの合戦となる。いわゆる一般的な“RTS”とは違い,制覇三国では,個々のユニットを操作するのではなく,武将を選択して最大80ユニットから成る部隊を動かすことになる。
そのせいか,良くも悪くも操作はかなり大雑把な印象を受けた。前述の通り部隊単位での指揮であるうえに,攻撃目標も部隊単位なので,例えば槍兵と弓兵の混成部隊を攻撃するときなど,弓兵を先に片付けたいと思っても弓兵にばかり攻撃をしてしまうといった具合である。もっとも,攻撃や防御などで状況に応じて適宜有効な陣形に整える必要があり,その点だけは結構忙しい。しかし,世の中一般のRTSと比較すれば,かなりゆったりとプレイできる部類ではないかと思う。
■陣形が非常に大きな要素となる合戦
画面を見れば分かるように,戦場は3Dで描画されている。視点の移動・ズーム・高低の調整・回転が調整でき,どの場所をどの角度からでも見られるようになっているので,プレイの合間に迫力のある合戦が見られるのは嬉しい。しかし兵士などのユニットは,2Dでさまざまな角度から描かれたものが座標上に配置されているに過ぎず,完全な3D描画となっているわけではないようだ。もっとも,こうした擬似3Dでありながらもかなり挙動の重い部類に入るゲームだと思われるので,さらに大きな負荷となる完全3D描画にできないのもうなずける。
戦場におけるさまざまな条件は,軍に影響を及ぼす。例えば気象条件では雪や雨は弓兵の視界に影響を及ぼし,木々や河川,丘陵といった障害物は,兵の進軍スピードに影響を及ぼすといった具合だ。
さて先ほど言葉だけは登場したが,本作で特徴的なのは,やはり「陣形」だろう。軍全体の陣形と,部隊ごとの陣形(隊形と呼ぶべきだろうか?)があり,それぞれが戦術における重要なポイントとなる。ただしプレイヤーは軍全体の陣形を変更できないようで,各部隊の陣形のみが適宜変更できる。
部隊ごとの陣形は,局地的な戦闘において効果を発揮する。例えば敵の部隊がいるところで正面突破を狙う,敵の部隊を分散させる,殲滅する,あるいは敵の攻撃に対する防御をする……など,それぞれ有効な陣形は異なっているので,こちらの損失を最小限に抑えるにはこまめに陣形を整える必要があるだろう。
野戦における大人数での戦闘も圧巻だが,城門戦はさらにディテールにこだわった白熱の戦闘が見られる。雨のように矢が飛び交う中,城壁に梯子をかけて兵がよじ登り,倒れた兵が城壁から落下したり,あるいは梯子が倒されたりもするなど,視覚的にもかなり楽しめるものとなっている。
合戦はいずれかの陣営の軍を打ち破るか,本陣の旗を切り落とせば終了となる。戦闘に勝利しミッションを終えると,武将は立ち振る舞いに応じてレベルアップしていく。これによりボーナスポイントが得られ,戦闘能力・指揮能力・知性を強化できる。また敵の武将の首を討ち取れば,特殊なアイテムが手に入ることもあり,これを装備した武将に何らかの効果を付加できる。特殊アイテムとは,例えば武将の技量にボーナスを与えたり,治癒能力を付加したりといった感じのもので,武将のさらなるパワーアップとなる。
こうしてミッションを繰り返してキャンペーンは進行していく。キャンペーンは戦の連続で,内政はバッサリ切り捨てられているようだ。基本的には三国志のストーリーに基づいて進行するのだが,要所要所で重要な選択を迫られる場面がある。この選択によっては,本来とは異なった独自のストーリー展開となる点は注目すべきだろう。つまり一本道のキャンペーンではないわけだ。
■期待十分! 完成版が待ち遠しいタイトル
以上ザッと紹介したが,このタイトルはまだまだ開発途中にあり,とてもレビュー記事として評価できる段階のものではなかった。キャンペーンがどれくらいのボリュームになるのか,あるいはマルチプレイが実装されるのか,といったことも現時点では定かではない。とはいえ合戦の迫力や,陣形に重きを置いた戦闘,RPG的な要素を盛り込んだ武将の成長システムなど,完成に大いな期待を抱かせる部分は少なくない。
内政をいさぎよくすべて切り捨てているので,これまでいわゆるコーエーなどの“三国志モノ”を多くプレイしてきた三国志ファンのプレイヤーには,物足りない部分があるだろう。しかし本作は,より純粋なRTSなのだ。そう思えば,不満もなく楽しめることだろう。
何にしても,早く完成版をプレイしてみたいタイトルであることには間違いない。今後の進化が楽しみだ。(虎武須(Kobs))
- 関連タイトル:
制覇三國
- この記事のURL: