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[TGS 2007#10]アニメ&MMORPG「ドルアーガの塔」制作記者会見レポート
先ほどもお伝えしたとおり,このプロジェクトは1984年にナムコがアーケード向けにリリースし,以降も複数の派生作品を生んでいる「ドルアーガの塔」(以下,原作)を,テレビアニメとMMORPGとして生まれ変わらせようというもの。スーパーバイザーには,原作のゲームデザインとグラフィックスデザインを手がけた遠藤雅伸氏が就任している。
2006年3月の時点で,GDHがドルアーガの塔のアニメ化およびPC用オンラインゲーム化権を,ナムコから取得したというニュースをお伝えしたことがあるが,今回ついに,正式なお披露目に至ったというわけだ。
登壇者は,
・遠藤雅伸氏
・千明孝一氏(アニメ監督)
・賀東招二氏(アニメシリーズ構成/脚本)
・GDH代表取締役社長の石川真一郎氏
・ゴンゾロッソ代表取締役社長の守屋秀樹氏
・キューエンタテインメント代表取締役CEOの内海州人氏
・キューエンタテインメント プロデューサー小島弘和氏
・バンダイナムコゲームス ライツ部 ゼネラルマネージャー 杉山学氏
の8名。
このプロジェクトがスタートするきっかけについて石川氏は,同社がアニメのみならずオンラインゲーム事業を始めることになったとき,「アニメと一緒にやれる,エポックメイキングなもの」を考えた結果,ドルアーガの塔をオンラインゲーム化することにしたと語った。
ちなみに石川氏は,「コンテンツ産業に身を投じたのは『ドルアーガの塔』をプレイしたのがきっかけ」とのことで,このプロジェクトへの意気込みにもなみなみならぬものがある様子。
プロジェクトの過程でスーパーバイザーに就任した遠藤氏の元へは,スタッフが足繁く通い,原作開発当時の話などを聞いているという。こうした熱意を受けて遠藤氏は,「オリジナルの世界観にのっとった新しいストーリーを作りたいという情熱に溢れた作品になるのではないかと期待しています」とコメントしていた。
石川氏「ゆくゆくは最初のドルアーガの塔をハリウッドで実写映画化できるぐらいまで育てていきたい」 |
遠藤氏「原作に忠実にするのではなく,テイストを生かして,現代の皆さんに楽しんでもらえるものを作ってほしい」 |
千明氏「ゲームのドルアーガの塔では(難しくて)上の階まで行けませんでしたが,アニメではきちんと上まで登りたいと思っています」 |
賀東氏「今まで書いている分では,相当面白くなっている自信がありますので期待してください」 |
守屋氏「このタイトルはゴンゾが今までで一番総力を結集してアニメを作っているので,ゴンゾロッソとしてキューエンタテインメントと一緒にそれに負けないゲームを作っていきます」 |
内海氏「日本発の作品として,国境を越えて遊ばれるゲームにしたい」 |
小島氏「オープン後も細かくアップデートしていき,長期間遊んでもらえる作品にします」 |
杉山氏「石川社長の思いがドルアーガの塔のように立ち上がり,最強の制作スタッフをご用意いただきました。楽しみにしています」 |
アニメ版ドルアーガの塔は,MMO的な視点の物語に
神もいない。
悪魔もいない。
英雄も奇跡も見たことない。
残ったのは,
塔というシステムだけ……。
という字幕のあと,砂塵を巻き上げながら白い樹木のような塔が空高く伸び,その様子を少年が見つめているというもの。リリースによるとストーリーは,
アヌの夏ー。
数年に一度だけ訪れるこの時期は,天上のアヌ神の加護により,
塔内の魔物は皆ひとしくその力を失ってしまう。
ギルガメス王により建国されたウルク国は,北方に「塔」の復活を確認すると,
出現した魔物の征討を理由に「塔」内部への侵攻を開始。
以来このアヌの夏の到来を見計らい,上層階への進撃を目標に塔内に拠点を作り続けてきた。
嘗て,ドルアーガの塔を彩った勇者ギルと巫女カイの物語が
伝説として伝承された数十年後の世界……。
ついに三度目のアヌの夏が訪れようとしている。
塔内第一階層に最初に建設された拠点「塔内都市メスキア」は,
塔と共に復活を遂げたと目されるドルアーガ討伐の為,
三度目の出征に備えるウルク国軍と,
塔最上階に眠るという伝説の秘宝「ブルークリスタルロッド」の噂を聞きつけた
冒険者たちで賑わっていた……。
というものになるようだ(リリース中は“数十年後”となっているが,会見中は“80年後”と語られていた)。
新たな“塔”のデザインは,千明氏が発案した「大きな世界樹のような,真っ白な樫木のイメージで,怖い感じ」と小林氏に提案した結果,生まれたものだそうだ。
また賀東氏によるとこのアニメは「MMO的な視点の物語」になるとのこと。
原作のファンなら,ギルやカイが登場するのかも気になるところだろう。これについては当初,石川氏が口を滑らすような形で「出る」と語った後,賀東氏も「出ます」と断言していたので,原作のファンはどんな形でこの二人が登場するのか楽しみに待とう
なお,アニメの放送開始は2008年春の予定となっている。
カーヤ |
ジル |
MMORPG「ドルアーガの塔」は原作を踏襲しつつ新たな物語に
一方,MMORPG「ドルアーガの塔 〜the Recovery of BABYLIM〜」は,キューエンタテインメントが開発を担当。原作の世界観を踏襲しつつ,原作とアニメを結ぶ時代がMMORPGという形で描かれるようだ。
記者会見で上映されたプロモーションムービーには,
神は叫び,
悪魔は囁いた。
混沌の大地は英雄と奇跡を待つ。
世界の行く末は,
その塔に委ねられた……。
という文字が躍っていた。アニメでは,神も悪魔もいないとのことだけに,果たしてこの世界で何が起きるのか,非常に気になるところ。
原作の世界観を踏襲した街やダンジョン,モンスターなどが登場。システム的には,フィールド上はMMO,塔の中はMOタイプのプライベートダンジョンとなる,
ドルアーガの塔といえば“謎”がつきものだが,本作でももちろん,難解で緻密な謎は用意されている。やはりMMOということで,パーティで協力しながら謎を解くといった要素が盛り込まれるそうだ。
本作のプロデューサーを務める小島氏は,「原作のファンのみならず,アニメをきっかけにゲームを始めようと思う人のために,オンラインゲーム初心者に分かりやすいユーザーインタフェースを提供したい」と語っていた。
サービススケジュールは,11月にクローズドβテスト,12月にオープンβテスト,そして2008年1月に正式サービスとなっている。
本作を少し触った感じでは,ドルアーガらしさ云々の前に,ごくごく真っ当なMMORPGであるという印象だ。グラフィックスやシステム面で,まだ開発途中であることがうかがえる点も多々あったが,クローズドβテストが予定されている11月までに,どこまで作り込まれていくのか大いに期待したい。
今回,ドルアーガの塔がテレビアニメとオンラインゲームになることが高らかに宣言されたわけだが,石川氏によるとほかにもさまざまな展開を企画しているようだ。記者会見の終盤,「賀東さんに小説を書いてもらいます!」と発表した石川氏に対し,賀東氏が「まずはシナリオで,余裕があったらがんばります」と冷静に返す一幕もあったが,何にせよさまざまな企画が進行しているのは間違いないだろう。
20年の時を超え,世紀をまたいで復活するドルアーガの塔が,今後どのような発展を遂げることになるのか,注目していきたい。
- 関連タイトル:
ドルアーガの塔〜the Phantom of GILGAMESH〜
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