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「homage」は,1次CBTからどこまで進化したのか? RocWorks Koreaでプレイしてきた内容をレポートしよう
そんな本作だったが,12月18日に2次クローズドβテスト(以下,2次CBT)の実施が発表され,残りの種族を含めた4種族すべてが選択できるようになる。また,プレイヤーの意見,要望に応えた,改善点の変更や追加要素が実装されているという。
今回,韓国にあるロックワークスの子会社RocWorks Koreaにおいて,前回のクローズドβテストから改善や要素の追加が行われたバージョンをプレイする機会があったので,どのように変わっていたのかを軽くレポートしよう。また,RocWorks KoreaのVice President Yangmin Seo氏,同CTO Eunsang Cho氏に話を聞いたので,そちらも確認してほしい。
なお今回のテストプレイでは,2次CBTで使用されるバージョンではなく,利用できる種族は2種族のままである。そのため,レポートの内容が,2次CBTで体験できる内容とは異なる場合があることをあらかじめご了承いただきたい。
まず,プレイしてすぐに気がついたのは,操作性の改善だった。前回のクローズドβテストでは,移動時の歩き出しの反応が悪かったり,W/A/S/D操作では,1プッシュによる移動量が決まっているのか,キーを離しても移動がすぐに止まらないなど,対人戦がメインコンテンツとなる本作では,厳しいと言わざるを得ない操作性だったのだ。
しかし今回のテストでは,ちゃんと細かく操作に反応し,快適に移動できるようになっていた。以前のレポートでも,これら操作性の改善は急務としていただけに,これは素直に嬉しいところである。
以上のような操作性の改善を含めて2次CBT以降のバージョンでは,大小さまざまな改善,追加が行われているのだが,今回はその中から,新しく生まれ変わった「神聖物スキルシステム」,ギャンブル要素となる「神の涙」,中〜高レベル向け「インスタンスダンジョン」の三つについてレポートする。
大きく変わった神聖物スキルシステム
具体的な変更点は,まずNPCから購入という形で習得できるスキルがすべて廃止されており,攻撃/支援といったスキルは神聖物をスロットにはめ込むことでのみ使えるようになる。各神聖物にはスキルの種類とレベルに加えて,体力や筋力といったステータスボーナスが付与されており,これら神聖物を16個のスロットに組み入れることで,プレイヤーはより自由度の高いカスタマイズができる。これに加えて,ある一定の神聖物の組み合わせでしか出現しない,セットスキルもあるそうだ。どんな組み合わせなのかは公表されない予定なので,プレイヤーが様々な神聖物を集めて研究してほしい。
神聖物一つ一つには,レベルとスキル名やステータスボーナスが設定されている。スキルによってはセットできない種族,職業もあるので,神聖物のプレイヤー間取引は活発に行われるだろう |
スキルには,アクティブ/パッシブに加えて,ある一定の神聖物を組み合わせたときにだけ現れるセットスキルがあり,3番目のタブに表示される |
レアアイテム入手の可能性も,ギャンブル要素「神の涙」
もう一つのまったく新しいシステム「神の涙」は,不要アイテムを使ってちょっとした運試しができるというものだ。モンスターからのドロップや使わない装備品を,村近辺のフィールドにある「祈りの祭壇」に捧げると,一定の確率で「神の涙」というアイテムに交換してもらえる。この神の涙とゲーム内通貨を消費して,ギャンブルに挑戦することが可能になるのだ。
プレイヤーは,ウィンドウに表示される「?」アイコンから一つ選択し,「×」を選んでしまうと失敗となり,神の涙はそのまま消滅する。「○」を選べば成功となり,四つのアイテムが表示され,そこからランダムで一つのアイテムが獲得できるのだ。アイテムには防具やアクセサリ,神聖物のほか,通常の狩りでは出にくいレアアイテムも含まれている。また,アイテムを受け取らずに連続しての挑戦もでき,その場合は成功報酬のランクがより高くなる仕組みだ。
実際に試してみたところ,最初の神の涙をもらえる確率はさほど高くない印象。またギャンブルの報酬自体がランダムゆえに,必ず欲しいものや自分の種族で使用可能なアイテムが手に入るとは限らず,レアアイテムを入手するためには結構な数の貢物が必要になるだろう。
なお,本要素はオープンβテスト以降の実装となるとのこと。
高レベル向けのインスタンスダンジョンが登場
最後に中級以上のプレイヤー向けの,高難度インスタンスダンジョンを紹介しよう。適正レベルは35以上で,パーティでなければクリアは難しいという。その分,経験値やドロップアイテムが美味しいのだが,このインスタンスダンジョンに入るためには,まずダンジョンのあるエリアを自分に種族の勢力下におくという条件がある。そのため,ダンジョンの利権を巡っての対人戦も盛んになるのではないだろうか。
上級プレイヤー向けのダンジョンが出来たことで,それに合わせて装備品のバリエーションもだいぶ増えている。ごく一部ではあるが新装備のグラフィックスをお見せしよう。
このほか,クローズドβテストでは5個しかなかったマップを,2次CBTでは14個(オープンβテスト以降に29個)まで拡大し,夜と昼では,アイテムドロップ率が変化する地域も存在するとのこと。細かい修正点としては,エリアマップの導入,クエストの遂行状況が一目で分かるミニマップ,神になるメリットを説明したチュートリアルムービーなどが2次CBTで実装される予定だ。
行動可能なエリアも狭く,出来ることには限りがあった前回のクローズドβテストだが,エリアの拡大だけでなく,さまざまな新システムが実装される2次CBTでは,homageらしい遊び方というものがきちんと体験できそうだ。神様一番乗りをひそかに狙っているプレイヤーは,2次CBT,そしてオープンβテストの開始まで,あとちょっとだけ待っていてほしい。
RocWorks Korea Vice President&CTO
ミニインタビュー
homageテストプレイ終了後, RocWorks KoreaのVice President Yangmin Seo氏と,同CTOEunsang Cho氏へのインタビューの時間をもらうことができた。取材時点での開発状況や今後の展開について聞いてみたので,お伝えしよう。
4Gamer:
homage最新バージョン体験プレイの時間をいただき,ありがとうございました。まずは日本で行われたクローズドβテストからの主な変更点と,開発の進捗状況などを教えていただけますか。
日本で行われた8月のクローズドβテストですが,これはどちらかといえばサーバーなどのストレステストがメインでした。骨組みしかまだ出来上がってない状態で,コンテンツについて評価していただけるほどの内容がなかったのです。
4Gamer:
つまり,クライアントはαバージョンに近いものであったということでしょうか?
Eunsang Cho氏:
そうなります。現在はコンテンツを増やす方向で,スキルのモーションやエフェクト,アイテムなどを中心に充実させています。プレイヤーが選べる種族も2種族から4種族に増え,それに伴い当然マップも追加されます。
しかし,それだけではあっというまに出来ることがなくなってしまう可能性がありますので,上級者向けの装備やアイテム,イベントなどもあわせて企画を進めています。
また,キャラクターの成長バランスについても,よりシンプルで分かりやすいものにしました。
homage最大の特徴はご存知のとおり,プレイヤー自らが神になるというところにあります。神になるための段階別の目標設定,それを実現するためのコンテンツ実装,こういったことを8月以降に進めてきたわけです。
4Gamer:
なるほど。日本では,とかくCBTの段階でそのクオリティが判断されることも多いので,ちょっと心配していました。
スキルといえば,神聖物スキルシステムは根本的な部分が変わっていて驚きました。そこまで大胆に変えねばならない,と思われた理由はどのあたりにありましたか。
Eunsang Cho氏:
開発当初は既存のMMORPGによくあるスキルシステムと,神聖物スキルというものを何とかうまく融合させようと考えていました。ところが,そのシステムがいざでき上がってみると,あまりにも複雑すぎてプレイヤーが混乱するだろうと予測できたのです。そこで,ほかのMMORPGとの差別化を考え,オーソドックスなスキルシステムではなく,プレイヤーがスキルを考えて組み合わせるという今の方向性に落ち着きました。
4Gamer:
スロットに入れる神聖物の組み合わせで,手に入るスキルというのは面白いなと思いました。
ほかのMMORPGとの差別化ということですが,本作の特徴といえば,プレイヤーが神になれるというシステムが興味深いのです。しかし,いまだに神になればどんなメリットがあるのか,という部分について把握しきれていません。もう少し詳しく教えていただけますか。
メリットについてお話しする前に,まず神という存在ですが,レベルさえ高ければ誰でも神になれるわけではありません。たとえばプレイヤーが100人いるとして,一定の割合で神になるチャンスが与えられ,そこで厳しい条件を満たすことができたプレイヤーキャラクターだけが神になれるのです。
そのメリットは,神になれば自分の作った神聖物を同じ種族の特定の人物に譲ったり,周囲のプレイヤーに祝福を与えたりといった機能を手にできるといったものです。そのほか,神だけが行ける空中のエリアもありますし,複数いる神の中でさらに頂点を極めた場合,ワールドマップを開いた状態でクリックするだけで,すぐにその場所に飛べるといったGMに近い機能を使うことも可能です。
4Gamer:
なにやら,本当にMMOでいうところの神(GM)を目指しているような感じですね(笑)。ちなみに,神になるためには,プレイヤーはどれぐらいのプレイ時間や努力が必要となりますか。
Eunsang Cho氏:
時間でお答えするのは難しいです。といいますのも,一度神になったらその後も永久に神でいられるわけではないからです。全プレイヤー人口に対して神になれる人数は決まっていますから,常にそのポジションを狙っての競争がプレイヤー間に起こり,神といえどもその座を維持する努力が必要です。
ただ,あまりに神になるためのハードルが高すぎても,プレイヤーがモチベーションを失ってしまいますから,オープンβテスト開始から3〜4か月の間は少し基準を低めに設定する予定です。
4Gamer:
具体的に,神であり続けるためには何を努力するのでしょう?
Eunsang Cho氏:
自分と同じ種族から得られる尊敬,神でいるために必要なアイテムの所持数,累積プレイ時間,神同士によるPvPの勝率,RvRにおける参加率や功績といった複数の基準値の総合で,神でいられるかどうかが決まります。もしPvPでただの人間に負ければ,その時点で神の資格を失い,人間だったプレイヤーが神へ昇格します。
4Gamer:
今のお話ですと,プレイ時間の長さも評価に含まれていますよね。そうすると1日3時間程度しか遊べない,一般的なプレイヤーには神になるチャンスがないように思えますが。
ギャンブル要素のある「神の涙」というシステムを先ほど見ていただいたきましたが,プレイ時間が短い人でも運次第では神に近い強さやアイテムを,そういった形で手に入れて神に挑戦できると考えています。神を名乗りたいと考えているならば,そういったギャンブル要素での幸運/強運すらも味方につけているべき,というわけです。
4Gamer:
うーん,ギャンブルでさえも,時間と資金(捧げるアイテム)を多く持つ人が有利になりそうですが……。これはキリのない論議かもしれませんね。
では,まだオープンβテストが始まっていない段階で,気の早い質問だとは思いますが,これからhomageというMMORPGがどんな方向性で進んでいくのか,もう少し先の話をできる範囲で教えてください。
Eunsang Cho氏:
具体的にいつ実装されるかといったお話はまだできませんが,オープンβテスト以降,ある程度神であるプレイヤーが増えた時点で「神界マップ」を実装し,神だけが利用できるシステムを導入する予定です。また,神と人間という二つの社会でタイプの異なるコミュニティが自然発生するような雰囲気を作り上げていきたいです。
Yangmin Seo氏:
一つ,すでに導入が決定している内容についてお話しましょう。プレイヤーを飽きさせない,長くプレイしてもらえる遊び要素として,敵が無限に沸くインスタンスダンジョンを開発中です。低レベルのモンスターから始まり,倒すごとに強いモンスターが出現し,「今日はレベルいくつまで勝てたから,次はさらに高いレベルを目指そう」といった楽しみ方をしてほしいと考えています。
4Gamer:
分かりました。少し答えにくいかもしれませんが,ロックワークスに限らずどこのパブリッシャーも,韓国の開発元と日本の運営会社では,文化や意識の違いで「こんなものを実装してほしい,こんなイベントをやりたい」といった提案をしても,なかなか伝わりにくいという話を耳にします。ゲームの世界観に合わないという理由で断られたり,出来上がってきたグラフィックスが日本のプレイヤーの趣味に合わないなど……,そのあたりの差をどうやって埋めているのでしょうか。
Yangmin Seo氏:
答えになるかは分かりませんが,日本のロックワークスとRocWorks Koreaは一つの船に乗った家族のようなものなのです。家族ですからもちろん喧嘩はしますけれど,お互いに妥協ポイントは必ず見つけてきましたので,今後も心配はしていません。
4Gamer:
そこはRocWorks Koreaが,ロックワークスの直接の子会社であることで,協力はしっかりできると捉えればいいのでしょうね。
Yangmin Seo氏:
そうです。またRocWorks Koreaは,韓国の開発会社というよりも,韓国にある外資系の日本企業になります。なので,homageというタイトルは日本のIP(知的財産)であり,日本のロックワークスが開発している……と考えてください。
4Gamer:
なるほど,そう考えると日本では――,韓国では――,というものはあまり関係なく,協力関係が築けていそうに感じられます。
homageの話からは離れてしまうのですが,今年の東京ゲームショウ2008において台湾パビリオンのとあるメーカーの人とお話した際,「台湾のPCゲーム業界がステップアップし活性化するためには,政府のサポートが必要だ。韓国のように資金面,人材の面で政府のバックアップなしに台湾のPCゲーム市場を盛り上げていくのは大変である」という話をありました。では,そういった資金面などでサポートがある韓国のオンラインゲームメーカーとして,韓国のPC業界がさらなる飛躍を遂げるために必要なことは何だとお考えですか?
確かに,ゲーム開発に携わる人材といったリソースについては,昔に比べて増えましたし,それには政府の支援が有効だったことも間違いありません。さらに次のステージに進むために必要なのは,PCゲームに対する理解だと思っています。やはり一定の年齢より上の人は,ゲームにあまり良い感情を持っていません。これから偏見を持たない若い世代が増えていけば,状況は少しずつ変わるでしょう。
ただ,韓国のPCオンラインゲーム市場は飽和状態にあります。各メーカーのCEOが現在抱えている悩みは,韓国国内ではなく今後は海外展開に目を向けなければならないことです。しかも,海外に進出して版権を売れば,それで終わりではなく,やはり現地の文化に合わせた作品のローカライズが必須だという点もあります。もちろん,いかに受け入れられる作品にしていくか,というのも難しい課題です。
4Gamer:
それでは最後に,homageの2次CBTの開始に向けて読者へのメッセージをお願いします。
Yangmin Seo氏:
homageは日本で最初にサービスが始まるタイトルで,弊社にとっても大切な作品です。2次CBTに向けてみな徹夜覚悟でがんばっています。日本のプレイヤーにそれが伝わるよう努力していきますので,よろしくお願いします。
Eunsang Cho氏:
多くのMMORPGは韓国で開発し,韓国でサービスされているものが,日本に輸出され運営されています。今回は,まず日本で最初にサービス開始ということになるので,私達もどうなるか不安もありますが,同じくらい期待もしています。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
(――11月4日収録)
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