Eee Pad Transformerを披露するASUSTeK ComputerのJonney Shih会長
ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,現地時間の2011年1月4日,米ネバダ州ラスベガス市の「Area Resort&Casino」において報道関係者向け説明会を開催し,同社のタブレット製品群「Eee Pad」シリーズ3製品と,Windows 7のフル機能を実現する12インチスレート端末「Eee Slate EP121」を発表した(タブレットもスレートも石板を表す単語だが,スレートのほうが大きいと思っておけばよい)。「Eee Slate EP121」は今月,Eee Padシリーズは4月から順次,市場へ投入する計画になっているという。
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ASUSが目指すタブレットPCの姿
Eee Padシリーズのエントリーモデルとなる7インチIPS液晶採用のタブレット端末「Eee Pad MeMO」
同発表会では,ASUSグループを率いるJonney Shih(ジョニー・シー)会長自らが登壇し,今後市場投入される製品群が披露された。なかでも最も時間を割いて説明されたのが,同社初のタブレットデバイスとなる「Eee Pad」シリーズと,タブレット型端末にPCのフル機能を実装した「Eee Slate EP121」だ。
Shih会長は,まず,スタンダードなタブレット端末として,CPUにQualcommの「Snapdragon」を採用した7インチの「Eee Pad MeMO」(イーパッド・ミーモ)を披露。マルチタッチ対応のIPS液晶パネルを採用し,1080pの高解像度ビデオ再生にも対応するという同製品は,OSとしてAndroidの次期バージョンにして,開発コードネーム「Honeycomb」(ハニカム)と呼ばれる「Android 3.0」を搭載。快適なWebブラウジングや,手書きメモとして活用できるほか,カジュアルゲーム端末としても利用できるとする。Androidは,2.xまではスマートフォン用に開発されており,タブレット端末用としては最適ではないとされていたが,いよいよタブレット端末での本格展開が始まっていくことになる。
Eee Pad MeMOの市場投入は6月予定とされ,価格は499~699ドルとなる予定だ。
Eee Pad MeMOのスタイラスペンでペイントにサインするJonney Shih氏
Eee Pad MeMOの主な仕様
Eee Slate EP121を披露するShih会長。12.1インチIPS液晶パネルを採用した同製品の大きさがよく分かる
続いてShih氏は,Windows 7のフル機能をサポートし,「最もパワフルなスレート端末」(同氏)になったという「Eee Slate EP121」を披露した。
Eee Slate EP121は,12.1インチのLEDバックライト搭載IPS液晶パネルを採用し,1280×800ドット表示をサポート。CPUには「Core i5-470UM/1.33GHz」を採用し,OSにWindows 7 Home Premiumをプリインストールすることで,ノートPCやオールインワンPCと同様なユーザー体験を,タブレットPCにもたらすとしている。
メインメモリ容量は4GBで,ストレージは容量64GB。IEEE 802.11nやBluetooth 3.0によるワイヤレス接続に対応するほか,HDMI出力,USBポート,カードリーダーなども装備されるのが特徴だ。Shih氏は,200万画素のWebカメラが内蔵され,ビデオチャットなどもラクラクとこなせるほか,Officeアプリケーションを使ったり,PCベースならではのマルチタスク処理を行ったりできるのが魅力とアピール。オプションとして用意され,より精度の高いペン入力を可能にするWacom製のデジタイザペンや,ワイヤレスBluetoothキーボードなども用意され,本体に備えられているminiHDMI端子を使えば,ペン入力が可能なデュアルスクリーン端末としても利用できるという。
Eee Slate EP121をは1月中に,999~1099ドルで市場投入される見通しだ。
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また,説明会では,ASUSが力を入れているタブレット端末として,2種類のキーボート搭載型タブレットが披露された。
「Eee Pad Transformer」と名付けられた10.1インチIPS液晶パネル搭載タブレットデバイスは,CPUにデュアルコアCortex-A9ベースとなるNVIDIAの「Tegra 2」を採用。Shih氏は「AppleのiPadと比べて2倍のCPU性能を持ち,さらにNVIDIA製グラフィックスにより,HDコンテンツの再生や3Dグラフィックスの処理でも優れた性能を発揮する」とアピールする。
「バッテリー駆動時間は,ベストケースで16時間」とShih氏。ドッキングタイプのノートPCサイズキーボードを備えながら厚さは12.98mmに抑えられているため,仕事にもプライベートにも,用途に応じてタブレットPCやノートPCのように使えるとした。
なお,本体には,IEEE 802.11n対応の無線LAN機能やBluetooth,HDMI出力,USBポート,カードリーダー機能が搭載されるほか,フロント120万画素,リア500万画素のデジタルカメラも用意。画面解像度は1280×800ドットだが,HDMI経由で1080pのフルHD映像を出力可能だ。
価格は399~699ドルで,今年4月の市場投入を目指しているという。OSについては未発表(
2010年のComputex時点 ではWindows Embedded Compact 7が予定されていたのだが,Android系に変更されている可能性も大きい)。
一方,ちょっと変わったスライド式キーボードを搭載する「Eee Pad Slider」は,基本仕様はEee Pad Transformerと同じで,キーボード一体型ながら重さは866gに抑えられる(※厚さは16.7mmと,キーボード分の厚みが加わる)。価格は499~799ドルで,5月には市場投入したいとのことだった。
デュアルコアCPUコアのCoretex-A9を統合するTegra 2を搭載したEee Pad Transformerによるデモ
Eee Pad Sliderの特徴
タブレットとして利用するときは,むろんソフトウェアキーボードから入力することも可能だ
Eee SlateおよびEee Padシリーズの市場想定価格と投入時期
手広く展開されるR.O.G.ブランド
R.O.G.ブランドは,多くのゲームトーナメントチャンピオン達に愛用され,そのラインナップを拡充してきたと説明
Shih会長は,ASUSのゲーム市場に対する積極的な取り組みも強調。そのなかで,製品単位でパフォーマンスを追求するのではなく,「ゲーマーが何を求めているかを調査し,トータルソリューションでゲーム体験を向上させていくことが重要だ」と述べたうえで,
「Intel X58 Express」搭載マザーボード「Rampage III Extreme」をベースに,デジタルPWMの採用などの改良を加えた「ROG Rampage III Black Edition」
X-Fiサウンド機能とネットワークアクセラレータチップを1枚の基板に収めた「ROG Thunderbolt」(開発コードネーム)
デュアルバンド1000BASE-T無線LANルーター「RT-N66U」
アクティブノイズキャンセラーを搭載したワイヤレスヘッドセット「ROG Vulcan」
を披露。さまざまな「R.O.G.」製品を組み合わせることで,より快適なゲーム環境を実現できるようになるはずだとアピールした。
また,Shih氏は,2010年11月に日本国内でも披露した「Intel P67 Express」搭載の新しい「TUF」マザーボード「SABERTOOTH P67」や,ビジネス市場をターゲットとしつつ,世界初のEyefinity対応ノートPCになるとする「ASUS PRO Bシリーズ」も併せて発表。これらの製品の詳細は,本日よりラスベガスで開催されるCESの期間中,同社ブースで明らかにする意向を示している。
最新のR.O.G.製品として,Rampage III Black EditionやROG ThunderBoltなどをチラ見せ
EyefinityをサポートするASUS PRO Bシリーズもアナウンスされた