ニュース
Dell,ゲーマー向けPC「XPS 710」の液冷システム搭載モデル
XPS 710 H2Cは,デルが2006年11月に発表した「XPS 710」の上位に位置づけられる製品で,最大の特徴は,製品名にもある冷却システム「H2C」となる。
「Hot to Cool」と「Hybrid two-stage Cooling」。この二つのキーワードを略したものとされるH2Cは,BTXフォームファクタ用の巨大なCPUクーラーにポンプやラジエータ,そして電子制御の熱交換器を内蔵し,冷却液が運んだ熱を熱交換器とラジエータ部に取り付けられた冷却ファンでCPUの熱を筐体の外へ排出する仕様だ。同社はこれを空冷&水冷の「ハイブリッド型」と呼んでいる。
デルはこの水冷システムにより,TDP 130WのクアッドコアCPU「Core 2 Extreme QX6700/2.66GHz」を利用しても,PCを静かに運用できるとしており,実際,発表会場に置かれていたXPS 710 H2C Editionのデモ機は,従来モデルのXPS 710の標準構成よりも動作音が小さく感じられた。もっとも,このクラスのPCとなると,グラフィックスカードや電源ユニットの空冷機構が騒音源となりうる。水冷による静かさに,過度な期待は禁物だろう。
マシンスペックという点で興味深いのは,BTOの選択肢が,先ほど述べたCore 2 Extreme QX6700のほかは,「Core 2 Extreme X6800/2.93GHz」のみに限定されていること。併売されるXPS 710では下位モデルを選択できるのに対して,ずいぶんと思い切った措置だ。あくまで発熱の大きなウルトラハイエンドCPU用のH2C,という意味もあると思われる。
筐体デザインは従来のXPS 710と同様の「前傾姿勢」。ただし,本体色はいわゆるピアノ加工のブラックとなっている。指紋などが目立ちやすいきらいはあるものの,従来のシルバー(フロントのみブラック)と比べて,プレミアムな上位モデルらしいイメージの創出には成功しているといえよう。
情報筋によれば,Windows Vista=DirectX 10世代初期のゲーム,つまり2007年中に発売される主要タイトルのいくつかは,開発段階ですでに4スレッドへ最適化されているという。その意味で,自作を考慮せず,長く使い続けられるハイエンドPCを入手するなら,XPS 710 H2C Editionはアリだ。
もっとも,Core 2 Extreme QX6700,メインメモリ512MB×2,GeForce 7900 GS(グラフィックスメモリ256MB)に,HDD容量160GBに,Windows XP Home Editionプリインストールという標準構成の価格は38万6610円(税込)で,割高感がぬぐえないのは事実だが。また,購入するにしても,OS自体の発売日,1月30日前後には登場すると思われるWindows Vistaプリインストールモデルがラインナップされるのを待つのが正解だろう。(米田 聡)
●XPS 710 H2C Editionの主なスペック(BTO選択肢も含む ※リリースより)
- 関連タイトル:
XPS
- この記事のURL: