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  • 発表日:2006/01/06
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印刷2006/04/06 23:23

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[IDF-J 2006#1]Intel,次世代CPU「Conroe」のパフォーマンスを公表 3DゲームでPentium Dの1.7倍速い?

 2006年4月6日,Intelの日本法人であるインテルは,開発者向けカンファレンス「インテル・デベロッパー・フォーラム Japan 2006」(以下IDF-J 2006)を開催した。IDF-J 2006では,7日までの2日間にわたり,Intelの新製品や技術,周辺機器などについて,発表や展示が行われているのだが,レポート第1弾となる本稿では,4Gamer読者の関心が高いと思われる,Intelの次世代デスクトップ向けCPUのパフォーマンスを中心にお伝えしたいと思う。

IntelのAnand Chandrasekher上級副社長兼セールス&マーケティング統括本部長
 さて,IDF-J 2006では,Intel本社の上級副社長兼セールス&マーケティング統括本部長であるAnand Chandrasekher(アナンド・チャンドラシーカ)氏が,多くの開発者を前に講演を行った。
 Chandrasekher氏は「Intelの次の挑戦分野は消費電力の削減である」と述べ,これまでの同社製CPUを振り返る。1993年に登場したPentium以降,新しいCPUが登場するたびに演算性能は向上してきたが,1命令あたりの消費電力は(基本的に)増加の一途をたどっており,もはや限界に近づいているという。そこで,モバイル(=ノートPC)向けに開発されたPentium Mでは,消費電力あたりの性能を向上させることに注力し,1命令あたりの消費電力を初代Pentiumと同程度まで削減することに成功した。

 では,初代Pentium並みの消費電力を保ち,増大させることなく性能を向上させるにはどうしたらいいのか。Chandrasekher氏は,この問題に対する唯一の解が,デュアルコアをはじめとするマルチコア化にあるとし,2006年1月に発表されたデュアルコアCPU「Core Duo」では,最新のPentium 4と同程度の性能を実現しつつ,1命令当たりの消費電力は初代Pentiumよりも少なくなっていると強調する。

Pentiumの登場以降,新しいCPUが登場するたびに性能は向上してきたが,1命令当たりの消費電力も増大してきた(左)。この消費電力の増大問題に対する解決策がマルチコア化であり,シングルコアCPUとほぼ同じ消費電力で,最大73%も性能を向上させられる(中央)。実際,消費電力当たりの性能に注力されたPentium MやCore Duoは,Pentium 4と同等の性能を実現しつつ,1命令当たりの消費電力はどんどん下がっている(右)――という一連のスライド


 Chandrasekher氏は続けて,次世代CPUの基本設計思想であるマイクロアーキテクチャについて説明を行った。それによれば,Intelは2006年後半に,「インテル Coreマイクロアーキテクチャー」と呼ばれる新しいマイクロアーキテクチャを採用したCPUを,デスクトップ/モバイル/サーバー分野に向けて出荷する予定だ。
 このあたりは一部すでにお伝えしているが,開発コードネームは順に「Conroe」(コンロー),「Merom」(メロム),「Woodcrest」(ウッドクレスト)。Pentium 4とPentium Mはデスクトップとモバイルでまったく異なるアーキテクチャのCPUだったが,次世代CPUでは,同じCoreマイクロアーキテクチャーを採用する。なお,先述したCore Duoは,同じ“Core”の名前を用いているが,Coreマイクロアーキテクチャーによるものではない。むしろ,CoreマイクロアーキテクチャーのベースになるのがCore Duo,くらいのイメージで捉えておくといいかもしれない。

 Coreマイクロアーキテクチャーは,Core Duoよりも消費電力あたりの性能をさらに高めるよう設計されており,命令を融合させることで同時実行可能な命令を増やす「インテル ワイド・ダイナミック・エグゼキューション」や,128bit SSE命令を1サイクルで実行可能な「インテル アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト」など,五つの新技術が採用されている。

Coreマイクロアーキテクチャーでは,「ワイド・ダイナミック・エグゼキューション」や「アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト」など五つの新技術が採用される


■Quake 4で1.5倍,F.E.A.R.で1.7倍!?
Pentium Dより圧倒的に高速なConroe

 気になるパフォーマンスについても,Chandrasekher氏は説明する。
 とにかく衝撃的なのは,Pentium D 950/3.40GHzのシステムと,Conroe/2.67GHz(L2キャッシュ4MB,FSB 1066MHz)を比較したとされるパフォーマンスグラフだ。右がそれだが,以下に挙げる5タイトルにおいて,Conroeが1.5倍以上高速とされているのである。
  • 「Quake 4」(デュアルコア最適化版の1.0.5βパッチ適用済み):1.5倍
  • 「DOOM 3(build 1062)」:1.55倍
  • 「Unreal Tournament 2004(Botmatch)」:1.58倍
  • 「Half-Life 2: Lost Coast(build 2596)」:1.61倍
  • 「F.E.A.R.(v1.02)」:1.70倍
 双方「Extreme Edition」を除く最上位(Conroeの場合はそう噂されている,というレベルだが)で比較して,この大差である。
 3.80GHzで動作するPentium 4 670や672と比べてどうか,そして何よりAthlon 64やAthlon 64 X2と比べてどうかなど,気になる部分がないではない。しかしそれでも,733MHzも動作クロックの低いConroeの実パフォーマンス,そしてクロック当たりの性能が非常に高くなりそうであることは,容易に想像がつく。

 さらに消費電力についても言及した同氏は,CPUの演算性能を計測する「SPECint_rate_base2000」というベンチマークのスコアを持ち出し,「Pentium D 950よりConroeは40%高速だが,消費電力は40%低くなる」という。同様にモバイルCPUでも,Core Duo T2600/2.16GHzと比べて,Meromはパフォーマンスが20%以上上がりつつ,ノートPCのバッテリー持続時間は変わらないとした。


ConroeとMeromのパフォーマンスと消費電力が,従来製品と比べてどう向上しているかを強調するスライド(左,中央)と,講演でChandrasekher氏の後に登場した,Intel本社のデジタルエンタープライズ事業本部副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長Kirk Skaugen(カーク・スカウゲン)氏(右)。Skaugen氏は,ConroeのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力。CPUの消費電力の目安となる値)が65Wになると明らかにした。Pentium 4/Dのシリーズ最上位となるPentium Exterme Edition 965では,TDPが130Wに達しているから,ちょうど半減することになる


■2006年末には市場の75%がデュアルコアへ
クアッドコアデスクトップCPUは2007年に

シングルコアとデュアルコアの出荷予測。2006年第3四半期にシングルコアとデュアルコアの出荷数が逆転し,2006年末には75%がデュアルコアになるという
 またChandrasekher氏は,2006年がマルチコアへの本格的な移行の年になるという。Intelの予測によれば,2006年第3四半期にはシングルコアCPUの出荷量をデュアルコアCPUが上回るようになり,2006年末には実に出荷量の75%がデュアルコアCPUになるとのこと。

 さらに,2007年には1つのパッケージに4コアを集積したクアッドコア製品が登場する予定だ。
 講演の最後には,その2007年登場予定のデスクトップ向けクアッドコアCPU,開発コードネーム「Kentsfiled」(ケンツフィールド)を搭載したタワーPCのデモも行われた。

 Kentsfiledはそもそも,Extreme Editionクラスで投入予定とされているCPUで,もっといえば,シングルCPUのサーバーやワークステーション用途も視野に入っている製品だ。よって,ゲーム用途という観点において,現時点や2007年の登場時に(高価な)クアッドコアCPUを選択する必然性はあまりないだろう。
 だが,目前の2006年第3四半期に登場する予定のConroeとなると,話は別。以前本誌で行ったCore Duoのプレビューと,今回の発表内容を見る限り,Conroeには期待してよさそうである。パフォーマンスが向上するだけでなく,消費電力は低下するので,静音化にも貢献できるはず。ゲーマーにとって,見逃せないCPUが登場しそうだ。(石井英男)

2007年登場予定のクアッドコアCPU「Kentsfiled」を搭載するとされるタワーPCのデモ。Kentsfiledの実動デモは本邦初公開となる
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