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[IDF-J 2006#1]Intel,次世代CPU「Conroe」のパフォーマンスを公表 3DゲームでPentium Dの1.7倍速い?
Chandrasekher氏は「Intelの次の挑戦分野は消費電力の削減である」と述べ,これまでの同社製CPUを振り返る。1993年に登場したPentium以降,新しいCPUが登場するたびに演算性能は向上してきたが,1命令あたりの消費電力は(基本的に)増加の一途をたどっており,もはや限界に近づいているという。そこで,モバイル(=ノートPC)向けに開発されたPentium Mでは,消費電力あたりの性能を向上させることに注力し,1命令あたりの消費電力を初代Pentiumと同程度まで削減することに成功した。
では,初代Pentium並みの消費電力を保ち,増大させることなく性能を向上させるにはどうしたらいいのか。Chandrasekher氏は,この問題に対する唯一の解が,デュアルコアをはじめとするマルチコア化にあるとし,2006年1月に発表されたデュアルコアCPU「Core Duo」では,最新のPentium 4と同程度の性能を実現しつつ,1命令当たりの消費電力は初代Pentiumよりも少なくなっていると強調する。
このあたりは一部すでにお伝えしているが,開発コードネームは順に「Conroe」(コンロー),「Merom」(メロム),「Woodcrest」(ウッドクレスト)。Pentium 4とPentium Mはデスクトップとモバイルでまったく異なるアーキテクチャのCPUだったが,次世代CPUでは,同じCoreマイクロアーキテクチャーを採用する。なお,先述したCore Duoは,同じ“Core”の名前を用いているが,Coreマイクロアーキテクチャーによるものではない。むしろ,CoreマイクロアーキテクチャーのベースになるのがCore Duo,くらいのイメージで捉えておくといいかもしれない。
Coreマイクロアーキテクチャーは,Core Duoよりも消費電力あたりの性能をさらに高めるよう設計されており,命令を融合させることで同時実行可能な命令を増やす「インテル ワイド・ダイナミック・エグゼキューション」や,128bit SSE命令を1サイクルで実行可能な「インテル アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト」など,五つの新技術が採用されている。
Coreマイクロアーキテクチャーでは,「ワイド・ダイナミック・エグゼキューション」や「アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト」など五つの新技術が採用される |
■Quake 4で1.5倍,F.E.A.R.で1.7倍!?
Pentium Dより圧倒的に高速なConroe
とにかく衝撃的なのは,Pentium D 950/3.40GHzのシステムと,Conroe/2.67GHz(L2キャッシュ4MB,FSB 1066MHz)を比較したとされるパフォーマンスグラフだ。右がそれだが,以下に挙げる5タイトルにおいて,Conroeが1.5倍以上高速とされているのである。
- 「Quake 4」(デュアルコア最適化版の1.0.5βパッチ適用済み):1.5倍
- 「DOOM 3(build 1062)」:1.55倍
- 「Unreal Tournament 2004(Botmatch)」:1.58倍
- 「Half-Life 2: Lost Coast(build 2596)」:1.61倍
- 「F.E.A.R.(v1.02)」:1.70倍
3.80GHzで動作するPentium 4 670や672と比べてどうか,そして何よりAthlon 64やAthlon 64 X2と比べてどうかなど,気になる部分がないではない。しかしそれでも,733MHzも動作クロックの低いConroeの実パフォーマンス,そしてクロック当たりの性能が非常に高くなりそうであることは,容易に想像がつく。
さらに消費電力についても言及した同氏は,CPUの演算性能を計測する「SPECint_rate_base2000」というベンチマークのスコアを持ち出し,「Pentium D 950よりConroeは40%高速だが,消費電力は40%低くなる」という。同様にモバイルCPUでも,Core Duo T2600/2.16GHzと比べて,Meromはパフォーマンスが20%以上上がりつつ,ノートPCのバッテリー持続時間は変わらないとした。
■2006年末には市場の75%がデュアルコアへ
クアッドコアデスクトップCPUは2007年に
さらに,2007年には1つのパッケージに4コアを集積したクアッドコア製品が登場する予定だ。
講演の最後には,その2007年登場予定のデスクトップ向けクアッドコアCPU,開発コードネーム「Kentsfiled」(ケンツフィールド)を搭載したタワーPCのデモも行われた。
Kentsfiledはそもそも,Extreme Editionクラスで投入予定とされているCPUで,もっといえば,シングルCPUのサーバーやワークステーション用途も視野に入っている製品だ。よって,ゲーム用途という観点において,現時点や2007年の登場時に(高価な)クアッドコアCPUを選択する必然性はあまりないだろう。
だが,目前の2006年第3四半期に登場する予定のConroeとなると,話は別。以前本誌で行ったCore Duoのプレビューと,今回の発表内容を見る限り,Conroeには期待してよさそうである。パフォーマンスが向上するだけでなく,消費電力は低下するので,静音化にも貢献できるはず。ゲーマーにとって,見逃せないCPUが登場しそうだ。(石井英男)
2007年登場予定のクアッドコアCPU「Kentsfiled」を搭載するとされるタワーPCのデモ。Kentsfiledの実動デモは本邦初公開となる |
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