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βテスト取材で分かった生活型MMORPG「風流工作所」の詳細仕様
先日,第4次クローズドβテスト仕様の盛り込まれたムービーを紹介したのだが,この段階でようやくいろいろな独自要素が導入されているらしいのは確認できた。ただ,あまりに独自すぎて,ムービーを見ただけではどういう仕様なのかまったく分からなかった。今回は,国内向けにこの作品をプロモートしているテクノブラッドにお邪魔して,第4次クローズドβテスト段階のゲームをプレイさせてもらったので,謎の残っていた戦闘システムや生産システムについて補足しておきたい。
まず,いろいろと謎の多かった戦闘システムから始めたいのだが,その前に,風流工作所の基本操作を紹介しておこう。移動はクリック移動,戦闘はクリック戦闘。これは,まあ韓国ゲームのデフォルトシステムなので,そのまま受け継がれている。しかし,風流工作所では,クリック移動以外に,WSADキーによる移動が可能になっている。これは「キー操作による移動もできますよ」といった補助的なものではなくて,ゲームシステムで必須の要素となっている。
まず,Wキーを2回押しすると,ダッシュ移動が可能になる。APのゲージが0になるまでは高速移動が可能だ。AまたはDキーを2回押すと左右への回避動作が行われる。これは戦闘時に使用される操作となる。
さて,戦闘だ。敵を見つけたら,まず,Tabキーで戦闘モードに移行する。通常の攻撃とスキルを使った攻撃の2系統があり,オートアタックは用意されていないようだ。クリックで通常攻撃,キーボードの2〜4など(割り当て次第だが)でスキル攻撃となる。Xキーで防御も可能。
スキルは,A,B,C,Dといった具合に用意されており,たとえば,3回Aの属性攻撃を成功させると,モンスターの頭上には「AAA」といったマークが並んでいく。これがなにを意味しているかというと,このように属性が付いた敵を倒すと,その属性に応じた素材アイテムなどを入手できるのだ。つまり,戦闘の途中ですでにモンスターを加工しているわけである。
システムで用意された「モンスター図鑑」には,倒したモンスターの情報が自動的にまとめられていく。どのモンスターがどの属性のときにどういうアイテムを落とすかなどの情報も,そこに蓄積されていく。
「○○がほしいから,△△をBBBで倒して……」
といった具合に,入手するアイテムをプレイヤーが選択できる。
このように,属性を付ける前提条件となる防御ないし,回避動作なのだが,これは,戦闘時に画面の中央に表示される上下左右の矢印(真ん中に「×」マークが出ている)を見て,素早く矢印方向に回避操作(対応する方向のキーを二度押し)ないし防御(Xキー)を行うことで達成される。いわゆるQTE(Quick Timer Event)方式である。
やってみたところ,ものすごくタイミングがシビア(というか,先読みでないとほとんど無理)で閉口したのだが,これは回線のラグによるもので,サーバーのある韓国内では普通にアイコンを見てからの反応でも間に合うそうだ。とりあえずは一安心。
さて,生産に用いられる素材は戦利品だけではない。フィールド上の木や鉱石などを採集することで入手できる材料もある。まあ,当たり前なんだが。
で,採集である。上記の戦闘システムを頭に入れておいてもらえると理解が早いのだが,採集においても,採集スキルが使用でき,そのコンボで属性の付いた材料が入手できる。
戦闘では,矢印に素早く反応してスキルを決めていく方式だったのだが,採集では,表示されるスキルの羅列に相当するキーを時間内に押すことでコンボが行われる。
AAAA
と表示されていれば,Aのスキルのキーを4回押す。
ABAB
ACBA
など,対応するキーを押していく。間違った場合は,あろうことかダメージを食らってしまう。材料採集も,ほとんど戦闘システムでできているのだ。
キャラクターの成長は,トータルレベルというもので示される。要するに,レベル制だが,戦闘と生産の両方でレベルが上がる。ということは,生産だけやっていてもどんどんレベルが上がるということだ。驚くことに,現在のプレイヤーの約半数は,生産しかしていないのだという。もちろん,戦闘でしか入手できない素材などもあるだろうが,そういったものは,プレイヤー同士の取引で入手できる。
そんなに生産ばかりやってるというのは,にわかに信じ難いが,生産で作れるアイテム数は非常に多く,ゲーム内に登場するアイテムは,すべてプレイヤーが作成可能であるという。
生産では,画面に双六のマップのようなものが現れ,材料を加工していくと,マーカーがその上をトントンと前進していく。そして,マーカーが止まったところの属性がアイテムに付与される。
結果だけ見れば,できあがったときにランダムでなにかの属性が付くのと変わらないのだが,演出としてなかなか面白い効果を上げている。また,この属性付与のおかげで,同じ種類のアイテムでもまったく同じものができることというのはほとんどないのだという。
また,作成したアイテムには,名前とアイコンを指定でき,プレイヤーが自分のブランドを付けて売り出すこともできる。
■風流工作所の基本
ちょっと話が前後してしまうが,ここで風流工作所の基本的な部分をまとめておこう。
まず,戦闘用の職業は3種類。
・マーショナリー(近接戦闘)
・レンジャー(遠隔戦闘)
・ハンター(罠)
採集用の職業が2種類。
・マインプロデューサー(鉱石)
・ベイルウォーカー(木材・薬草)
生産用の職業が4種類となっている。
・スケイルプロデューサー(金属)
・クロースプロデューサー(布)
・ウッドプロデューサー(木)
・レザープロデューサー(革)
職業はいつでもほかのものに転職可能で,どちらかといえば職業というよりスキルに近いものといえるかもしれない。戦闘では,攻撃職しかいないので,緻密なチームワークによる戦闘といったものは期待できそうにない。もっとも,戦闘を中心としたゲームではないので,そのへんに期待している人はいないとは思うが。
種族は2種類,人類が環境汚染などで滅びかけたのちの26世紀あたりを舞台とするゲームだが,文明の名残を残したブレヘン帝国と自然回帰の道を選んだサラン共和国がある。プレイヤーはどちらかを選んでキャラクターを作成する。2種類の文明は,衣服,装備をはじめ,マップの様子などもまったく違う世界となっている。
生産できるアイテムが多いのにも関連するが,キャラクターが装備できるアイテムは同時に20個。つまり20スロットが用意されている。キャラクターのカスタマイズ要素はかなり重点が置かれているようだ。
ちょっと面白いのは,インスタンスエリアが6部屋で一つのものとなっていることだ。個別の空間ではなくて,ほかに5人のご近所さんの部屋が並んでいる。普通のハウジングシステムでは,がんばって部屋を飾っても,友達くらいにしか公開できないのに対し,この方式なら6倍の人に見てもらえる可能性があるわけだ。お金を貯めると,一軒家に移ることができるそうだが,長屋式というのも捨てがたい気がする。
そのほか,ゲーム内では気温などが設定されており,暑い地方では厚着をしていると疲れやすくなったり,寒い地域で薄着していると体力が低くなるなど,環境に応じた装備が必要になるシステムとなっている。
■βテストでの印象と今後の展開
各部にアクション性を取り入れたり,演出に凝るといった傾向は,なにかと画一的になりがちな韓国産ゲームのなかでは評価できる開発姿勢である。ただ,防御したあとにスキルを使うとなぜ属性付けが行われるのかなど,論理的な意味付けや説得力に欠ける部分があることも否めない。
生産時の双六システムにしても,戦闘時や採集時のQTEにしても,余分な手間が増える分,ゲームの進行は遅くなる。戦闘などはもう少しテンポよくやったほうがよいような気がするのだが,そうするとQTE部分の難易度が異常に上がるので調整の難しい部分だろう。
第4次クローズドβテストを迎えた時点での完成度は7割程度だという。
現状ではプレイヤーは2種族のどちらかを選択できるものの,それぞれの領域は分離されており,今後,共通エリアなどが追加されて互いに行き来できるようになる模様。
また,パートナーシステムというものも予定されている。これはヒューマノイドを連れて冒険ができるようになるというもの。もらった資料を見る限り,身体に多少継ぎ目があるものの,ほとんど人間と見分けがつかない姿で(本当は,この世界の人間はいでたちが特異なのですぐ見分けはつくのだけど),なぜか女性型ばかり。萌え要素といえば萌え要素。セル画調のレンダリングながら,これまでそういった要素を意図的に排していたように思われたのだが,パートナーシステムの実装具合次第ではゲームの雰囲気も大きく変わる可能性がある。
そのほか,今後はゲーム内での娯楽施設や賭博システムなども予定されているようだ。このあたりが,生活指向の中心となるコンテンツとなるのだろう。
このゲームは,かなり時間をかけた開発が行われてきている。今回のバージョンでかなり進展を見せたとはいうものの,もう1回くらいはクローズドβテストがありそうな気もする。実験的な試みも多く,うまく転べばこれまでのMMORPGとは違った層にもアピールできる作品となるかもしれない。既存のゲームとの差別化は,どのゲームでも謳うことで,派手な名前の新システム導入を積極的に行うタイトルは多い。ただ,革新性を標榜しつつも,どんどん既存ゲームと同じ方向に収束してしまうゲームが多いのも事実である。風流工作所には,よい意味での「変わり種」としての位置を堅持して,ほかにはないゲームに仕上がってほしいところである。(aueki)
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