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4Gamer編集部に届いた「三國志11」を早速遊んでみた
「三國志11」を一言でいうと,古代中国の「三国志」と呼ばれる時代を舞台にしたターンベース型の歴史シミュレーション,そのシリーズ最新作だ。年代的には184年〜251年前後,すなわち黄巾の乱から三国時代の終焉までを網羅している。この時代に乱立した多数の勢力の中から名乗りを上げ,最終的に中国大陸を統一するのがゲーム目的というわけだ。
基本的なゲーム形式は2通りある。一つは,8種類用意された時代の中から,好きな時代の好きな君主を選んでプレイするスタンダードなタイプ。もう一つは,小説「三國志演義」で代表的な時代と君主をセットにした,「おすすめシナリオ」でプレイするタイプだ。前者は「天下統一」という究極の目的があるだけで,あとは自由にプレイできる。後者はバランス面が優れていて目的もハッキリしており,初心者でも戸惑わないのが特徴(こちらも自由にプレイできるのだが)。そこで今回は「おすすめシナリオ」の中から,「曹操挙兵(190年開始)」で実際にプレイしてみた。
最初に「曹操挙兵」シナリオのあらすじに触れておくと,漢朝の帝都「洛陽」は混乱の最中,急速に台頭してきた董卓により実権を握られてしまう。董卓は天下無双の豪傑,呂布をも従え,強引な恐怖政治を展開。混乱の渦中にある洛陽から脱出した曹操は,有力豪族の袁紹を盟主に据え,董卓への反旗を翻すための激を発する。すなわち「反董卓連合」の結成である。写真を見てもらうとよく分かるが,洛陽は董卓が大軍勢を従え鎮座しているものの,その周辺国は全部敵という,すさまじい情勢だ。
まずは自国を発展させるため内政面を強化しよう
最初,曹操が唯一治めている都市「陳留」は,シナリオ開始時の兵力が1万6000。そして董卓のいる洛陽は,陳留のすぐ西隣という位置関係で,しかも10万を超える兵力。両国は敵対関係にあるため,陳留はいつ董卓に攻め込まれてもおかしくない。プレイヤーは迅速に兵を増やし,来るべき董卓軍との戦いに備えねばならないのだ。
焦る気持ちを抑えつつ,まずは陳留の内政面を強化してみよう。内政面で最も基盤となるのは,金と兵糧の収入だ。これらは各種施設によってコントロールでき,具体的には金収入は「市場」,兵糧収入は「農場」を建てることで増やせる。配下の中から「政治」ステータスの高い武将を選ぶと,開発期間を短く済ませられる。
とはいえ,建築物は闇雲に建てればいい,というわけではない。領土に建築できる土地の範囲は,あらかじめ決まっている。また,隣接して建てることで,市場や農場の効果をアップさせる「造幣」「穀倉」という施設があるため,これらを効率良く配置していくといったコツもある。
増やした資金を元手に国家を運営していくわけだが,陳留は予断を許さない状況なので,軍事面の優先順位が高い。中でも早い段階で建てておきたいのが「兵舎」で,それによって軍事面強化の柱「徴兵」を行えるようになる。また,「鍛冶」「厩舎」「工房」では,各種武器や軍事兵器の生産も行える。
ただし,ほとんどのメニューは実行時に相応の金が必要となり,また徴兵を行うと治安や気力といったパラメータが下がったりもする。それらのバランス面に注意しながら,「巡察」や「訓練」といったメニューもこなしつつ,自国を発展させていこう。
今回のプレイでは,ゲーム開始から1年間は富国強兵に努め,陳留の兵力を4〜5万程度にまで増やしてみた。これだけの兵力があれば,仮に董卓が攻め込んできても,そうやすやすと陥落はしないはず。このように本作では,国家運営にまつわる数多くのメニューがあり,これらを有名武将達に担当させていくという面白さがあるのだ。
初陣と敗退,そして次の一手を模索する
軍事力を十分に蓄えたら,いよいよ董卓を討つべく出陣だ。陳留と洛陽の間には「虎牢関」という要塞があり,ここには現在董卓軍が3万駐留している。虎牢関の勢力だけを見れば,今の我が曹操軍にとって勝てない相手ではない。そう考えた筆者は,夏侯惇,夏侯淵,曹仁,曹洪といった強力な武将に加え,曹操自らも含めたありったけの兵力を虎牢関に向かわせてみた。準備期間が長かったせいもあり,出陣の瞬間はかなり緊張する。
戦闘時における,武将による実力の違いは非常に大きい。最も分かりやすいのは,シリーズのファンにはお馴染みの「一騎討ち」だが,今回は同社の人気シリーズ作「三国無双」と見紛うばかりの,ド派手な演出効果がある。実際に触れた感想としては,見た目とは裏腹にコマンド制で進行するので,思ったよりも落ち着いてプレイできる。そのほか武将による違いとしては,それぞれに得意武器が設定されており,該当する武器を装備している場合に限り,戦闘時にさまざまな特殊攻撃を繰り出せるのだ。
そして激戦の末,虎牢関を攻略! ……と思いきや,なんとその直後に洛陽から数万単位の援軍がやってきた。ただでさえ疲労していた曹操軍は,ひとたまりもなく壊滅してしまう。
どうやら董卓に正面から挑むには,まだ時期尚早のようだ。と,ここで本シナリオのテーマが「反董卓連合軍」であることを思い出した。連合軍らしく劉備に援軍を要請してみると,あまり乗り気ではない。そこで横から割り込んできた関羽が,いきなり「議論」を持ちかけてきた。「三國志X」から導入された新要素の一つ,「舌戦」システムの登場だ。
身も蓋もない言い方をすると,舌戦とは口論のことで,文官同士の一騎討ちのようなもの。普通に考えれば絵的に地味な展開となってしまいがちだが,そこはヒネリを加えており,過剰なまでの演出によって絶妙に仕上げられている。例えば舌戦が進むにつれて空からは雷が落ち,地場はガラガラと崩れ去り,そしてなぜか文官は逆ギレで地団駄を踏むのだ。この演出上のギャップには,誰もが驚くのではないだろうか。
残念ながら,関羽との舌戦には破れてしまい,劉備からの支援を受けることができなかった。やはり,一気に洛陽まで攻め込める兵力を確保せねばならないのだろうか……。そう考えながら大陸図を眺めていると,いつの間にか陳留の隣にある「許昌」を董卓が確保しており,しかも1万程度の兵しか駐留していない。いきなり堅固な洛陽を攻めるよりは,手薄な許昌を先に狙うほうが得策といえよう。今にして振り返ると,普通のプレイヤーはもっと早い段階で気づくと思われる。
許昌の攻略はあっさりと進み,その後の内政を充実させることで,国全体としての兵力は大幅に増えた。さらに嬉しかったのは,曹操のもとへと在野武将や軍師が数多く訪れてきたこと。領土と人材の両面が充実することで,国家としての地盤が急速に固まっていったのだ。このあたりはさすが「おすすめシナリオ」というだけのことはあり,比較的プレイしやすいゲームバランスになっているようだ。当時の曹操の快進撃を思い浮かべながらプレイするのが楽しい。
戦術の幅が広く,プレイヤーの数だけ違う展開がある
2都市の運営によって軍事面を大幅に増強できたので,今度こそ洛陽を落とすべく出陣。そして今回は,新たな戦術にも挑戦してみた。一つは,周囲2マス内にいる敵部隊に対して,毎ターン自動的に弓矢を放ち続ける設置物,「弓檜」を複数設置したところへ敵兵をおびき寄せるという,RTSでいうところのタワーラッシュに近い作戦だ。もう一つは,「火種」を設置した場所へ,槍の特種戦法の「突出し」で押し込むという作戦。
本作にはこのような,武器の特性を生かした数多くの「戦法」がある。戦闘はターン制で進行するものの,テクニカルな要素がそれなりにあるのも三國志11の魅力の一つといえよう。
これら二つの戦術は,実戦で期待をはるかに上回る戦果を挙げた。形勢不利を悟った董卓軍は,一騎討ちを仕掛けてきたものの,夏侯惇(まだ両眼がある)の必殺技によって返り討ち。そして一気に洛陽の董卓軍を蹴散らすことに成功。洛陽の制圧後は早速,史実通り献帝を擁立し,他勢力に先駆けることができた。
しかしながら,洛陽は攻略できたものの,董卓は長安への遷都を行い,勢力を西へと広げている。董卓の勢力は依然として最大級で,その野望を打ち砕くにはまだまだ長い年月と,自分自身の戦略を積み重ねばならない。今回はここまで進めるのに,ゲーム内時間にして3年と10か月,実時間にして5時間弱を要した。「曹操挙兵」シナリオの全体で考えれば,おそらく今はようやく序盤が終わった,という段階だろう。
洛陽を攻略した今,我が曹操軍の今後の方向性はいくつか考えられる。これまでのように都市を増やし,軍隊を強力にしてもいい。また,それとは別に外交戦略を駆使し,反董卓連合によって波状攻撃を仕掛ける方法もある。ぎりぎりの外交戦でも「舌戦」に勝利できれば,自分達だけで董卓を討つよりも大幅に楽になる。それに今はジュンイクや郭嘉といった優れた文官も配下にいるので,外交の成功率(舌戦の勝率)もきっとアップしているはず。むしろ史実になぞらえるならば,反董卓連合を活用するのがスマートといえるのではないだろうか。
しかし,どの手段が正解というわけではなく,プレイヤーは別にどの方法(遊び方)を選んでも構わない。今回プレイした限りでも,本作における戦術の幅広さ,言い換えると歴史の「If」を存分に感じ取ることができた。本稿に目を通して興味を持った読者は,この機会に三國志11をプレイしてみてほしい。2000年を経た今もなお語り継がれる,この壮大な物語に対し,また新たな見方ができるようになること請け合いである。筆者もこれからプレイを継続し,西へ逃げた董卓と呂布を追い詰めてみることにしよう。(川崎政一郎)
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