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[GDC 2015]仮想現実対応デバイス統一規格を目指す「OSVR」の現状は? 対応製品とデモの内容を探る
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印刷2015/03/07 14:18

テストレポート

[GDC 2015]仮想現実対応デバイス統一規格を目指す「OSVR」の現状は? 対応製品とデモの内容を探る

GDC 2015におけるRazerブース
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 Game Developers Conference 2015の展示会場では,Open Source Virtual Reality Eco-System(以下,OSVR)に協賛しているRazerのブースで,関連製品が展示されていた。
 OSVRは,2015 International CESにおいて立ち上げが発表された,オープンソースで仮想現実(以下,VR)対応デバイス規格の標準化を目指す業界団体だ。そのなかでもとくにOSVRへ積極的に取り組んでいる企業の一社であるRazerが,同社製の開発者向けヘッドマウントディスプレイ「OSVR Hacker Dev Kit」(以下,HDK)をはじめとする,OSVR参加団体の製品を並べていたわけである。

HDKのイメージ
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 VR対応ヘッドマウントディスプレイであるHDKの試用レポートからいってみよう。
 HDKは,Oculus VR製ヘッドマウントディスプレイ「Rift」の「Development Kit 2」に似た,横方向と上方向,計3本のバンドで頭部に固定する方式のヘッドマウントディスプレイである。

 さっそく装着して……といきたかったが,実は,装着した途端に,ちょっと困った状況になっていた。なぜか視界の中央部分が重複して表示され,クリアにならなかったのだ。「HDKでは,本体下のつまみで目の間隔などを調整できる」というのを後で知ったが,体験前にもう少し情報が欲しいところだった。いずれにせよ,いくつか試した限り,全部同じような感じだったので,デフォルトの設定を行った人と筆者の相性が悪かったということなのだろう。
 装着にあたっては最終的に,目の間隔というか,ぐっと引き付けて固定するのではなく,ちょっと上に押し上げて固定するとよかった感じがある。白人系と筆者では,顔型が少し異なるのかもしれない。

 画面は,「ごく薄い線で区切られた色つきの真四角なドット」が整然と並んでいるのがよく見れば分かるものの,ドット内の色ムラはなく,粒状感も少なめ。そのあたりは液晶のメリットが出ていると言える。おそらくは反応速度からくる色のにじみも多少はあるのだろうが,ほぼ気にならない。フォーカス保持が少しシビアな感はあるものの,画面品位自体はさほど悪くない。

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 一方の応答性は,デモによってまったく異なるようなので,なんとも言いがたい印象だ。ものによっては首を動かして1秒弱くらいで画面が追従してくることもあった。まだそういうところにこだわるような段階ではないのだと思われる。
 そういう状況なので,3D酔いしやすいかどうかも当然のことながらデモによる。なので,評価は保留しておこう。ただ,その系統には相当敏感なほうだと自分でも思うのだが,別に不快感はなかった。ちなみに,遅延が大きかったのは3Dサラウンドサウンド系のデモだ。

 以下,体験したデモを1つずつ紹介してみたい。


Radial-G


 Tammeka Gamesによるゲーム。空間に浮かんだリングの上を走り回る,SFレース系の設定だろうか。ゲームパッドのトリガーで前進し,左スティックで左右に移動する。とにかく,障害物を避けつつコース上を突っ走るゲームだと思えばよい。

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 ビュンビュンと障害物を縫って進むのでかなり身体が動く……のはいいのだが,地面が円柱状なので,移動するごとに水平線を見失ってバランスが取れなくなる。何度か倒れそうになり,立ったままやるのは結構危険なデモだと感じた。ただ,他の人がプレイしているのを見てみたところ,ふらついている人をまったく見かけなかった。なぜだろう?


VisiSonics


 3Dサラウンドサウンドを中心にしたデモだ。HDKを装着して周りを見渡し,リングマークのところを一定時間注視するとそこに移動するという操作系システムになっている。先ほど述べたとおり,入力に対する反応遅延が大きく,おまけに自動移動系でもあるのだが,不思議と不快にならないデモではあった。「注視先に移動」というのがいいのだろうか。
 肝心の3Dサラウンドサウンドは,鳴っているだいたいの方向が分かるもので,普通にゲームでも使えそうだという印象である。

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 全体の雰囲気は悪くない。また,サウンド音響もいいのだが,それだけに,「なぜグラフィックス周りがこんなにダメなのか」と首をかしげてしまった。そもそも,なぜいまどきインタレース表示なんだろうか。


Nod


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 Nodは,指輪型のウェアラブルデバイスだ。手の動きなどを取得できるため,ジェスチャによる操作などで活用されている。
 製品イメージを見ると,リング部分と,ボタンのある本体(?)部が一体になっているから,本体部が指の腹側にくるよう,人差し指にはめるのが一般的な装着法ということになりそうだ。別の指でも使えなくはないだろうが,親指で操作することが想定されている。

 Razerブースにおけるデモの内容は,周囲から迫り来るぬいぐるみの大群を撃って撃って撃ちまくるというもの。Nodを指にはめた状態で腕を動かし,Nodのボタン部側面をタップすると弾が出るという感じである。右手の人差し指を伸ばして拳銃の形を作り,親指で本体部分を連打するところを想像してもらえればいい。
 2個あるボタンでは,前進と後退を行えるようにできるとのこと。側面と同様なタップで反応するのかと思い込んでいたが,しっかりと押さないとダメなようだ。まあ,デモ中は射撃だけで十分に忙しく,ボタンを押し分けるどころではなかったのだが。

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ElementaL


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 手と指のジェスチャ認識デバイスとして有名な「Leap Motion Controller」を組み合わせたゲーム風デモ。内容は,2015 International CESのタイミングで奥谷海人氏が紹介しているとおりなのだが,身体の前で両手を丸くして寄せると召喚できる火の玉を,竹藪から出てくる鬼の面にぶつけるというシューティングになっている。

 以前,DK2で似た感じのゲームをやったことがあったので戸惑うことはなかったのだが,説明されないと操作方法が分からない種類のゲームではあるだろう。「VR対応のRPGで魔法使いが攻撃を行うときはこんな感じになるのかな」と想像が広がってくる。

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 ただ,実装法は練り直したほうがいいかもしれない。今回のデモだと,Leap Motion ControllerはHDKの本体前面に貼り付けられているため,ヘッドマウントディスプレイの正面まで手を持ってこないと認識できなかったからだ。VR対応ヘッドマウントディスプレイの大きなメリットでもある「首を振って周りを見渡す」といった動作をすると,せっかく認識していた両手を見失ってしまうのだ。Leap Motion Contollerのマウンターは,首飾り型などにすべきだと思う。

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 ちなみに,HDKは最初から周辺機器の利用が前提の設計になっているのだが,現状の試作機だと,とくに何かをマウントできるような構造になっているわけではない。そのため,Leap Motion Contollerの取り付けにあたっては,DK2用のLeap Motion Controllerマウンターをそのまま使っているようだ。
 仕様上は内部から取れるはずのUSB信号も使っていないようで,普通にHDKの本体接続用ケーブルと束になって,PCまで引っ張られていた。


Claire 12M


 RazerのHDK以外にも,Razerブースには,VR Union製のVR対応ヘッドマウントディスプレイ「Claire 12M」が展示されていた。
 Claire 12Mは,プロフェッショナル用途向けが謳われており,お値段は2450ドル(税別,約29万4000円)。5120×1440ドット(片目あたり2560×1440ドット)の解像度を持ち,左右の視野角は170度に達するという。

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 ……が,装着してみた感じでは,視野角が170度もある気はしない。170度と聞くと「ほぼ180ではないか!」と期待してしまうが,明らかに左右の両端を確認できるので,体感的には150度くらいではなかろうか。もちろん,それでも十分広いのだが。
 ちなみにこれも普通に装着すると中央部が重なっていた。現状,調整できない気もしたが,まあ,これはほかの製品も同じで,ベストポジションを探り当てるまでは試行錯誤するしかない。ひょっとすると,OSVRが想定している「標準顔型」には問題があるのではないだろうか,と思ったりもした。

 デモ内容は何種類かあるようで,筆者が体験したのは,Leap Motion Controllerと組み合わせて画面内に両手を表示させ,リアルタイムレンダリングされた大粒のダイヤモンドを拾っていくといったものになっていた。
 ……と,原稿を書きながら公式サイトを確認していていま気づいたのだが,そうか,会場のデモ担当者はVR UnionのCEOだったのか。

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DepthSense Module


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 Leap Motion Controllerと似た,“指先系”ジェスチャ認識センサー「DepthSense Sensor」を扱っているSoftKineticは,HDKと,DepthSense Sensor搭載デバイス「DepthSense Module」を組み合わせたデモを行っていた。Leap Motion Controllerとの差別化が気になるところだが,DepthSense Moduleでは,自社開発で,Leap Motion Controllerのそれよりも少し性能のいいカメラ「DepthSense Camera」を使っており,ここが違うとのことだ。

 Razerブースにおけるデモは,画面内に出てきた手で空間に浮かんだボタンを押したり,空間上のキューブを掴んで別の場所に置いたりといった,3D空間での作業が中心となっていた。仮想空間のUIとして一応の形にはなっている。
 OSVRの趣旨的には,このデモはLeap Motion Controllerでも動作するはずだが,入力系のAPIは固まっているのだろうか。

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OSVR公式Webサイト

GDC公式Webサイト

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