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レビュー
Razer復活の狼煙となる「3G赤外線センサー」搭載モデルの実力は?
Razer DeathAdder
» 発売から約半年。初期バージョンのファームウェアやドライバの状態から触り始め,幾度かのアップデートも行ってきたCrize氏が,満を持してRazer DeathAdderのレビューをお届けする。赤外線センサーを採用する貴重なハイエンドマウスの価値は,果たしていかばかりだろうか。
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発売自体は2007年1月だったものの,販売代理店の動きが鈍くなったアオリを受けて,当初から流通量の非常に少ない状態が続いていたDeathAdder。しかし,Razerによると,国内販売体制は仕切り直され,かつて販売代理店業務を行っていたゼネラルオートサービスと再び代理店契約を結んだとのこと。かつては量販店店頭にも並んだRazer製品だが,今後は,PCゲーム(やPCゲームデバイス)専門店を中心に,ゲーマーが欲しいと思ったときに購入できるような体制へ移行するという,ゲーマー的に吉報といえる情報がもたらされた。そこで,半年遅れではあるが,このタイミングで評価を行ってみたいと思う。
外装はHabu似で完成度高し
解像度はハードウェアによる3段階切り替え
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このほかのスペックを見ていくと,最新世代のゲーマー向けマウスとして,妥当なところに落ち着いている。以下,ざっとまとめたが,押さえるべきポイントはきっちり押さえている印象だ。
- フレームレート:6400fps
- 画素処理能力:30×30pixels/s
- ポーリングレート:125/500/1000Hzの3段階切り替え
- データ転送フォーマット:16bit
- トラッキングスピード:60ips(ips:inches per second)
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ポーリングレートは,「センサーが読み取った情報」が1秒間に何回PCへ送信されるかを示すもので,高ければ高いほど遅延が少なくなる。ただ,高く設定しすぎるとCPU負荷が上がったり,マウスの挙動がおかしくなったりするうえ,多くのユーザーにとって体感できる違いはまず生じない。ここは「一般的なマウスと同じ125Hzだけでなく,好みに応じて500/1000Hzも選択できる」くらいに捉えておくのがよさそうだ。
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実際のところ,ボタンのクリック感はスイッチの品質に依存する部分が大きいようで,これまでのRazer製品と同様にDeathAdderのメインボタンもクリック時のボタンの”返り”が非常にいい。押し込んだ後の返りがとてもシャープで,連続でのクリックもスムースに行える。個人的な印象としては,Habuと同様にこれまで触ってきたマウスの中では最上位クラスの品質である。
Razerらしい青色LEDが目を引くスクロールホイールは,左右のメインボタンの“隙間”に配置されていて,実際に回してみると,とても滑らか。刻みの数は一周分で24回あり,「Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0」と比べると6回分多い。
チルト機能をサポートしていないこともあって,ホイールに遊びはまったくない。しっかりと固定されているため,ホイールを回転させる際やホイールボタンを押し込むとき,安定していてとても使いやすい。このあたりの作りは最新世代のゲーマー向けのマウスという感じで,細かい部分も丁寧に作られている印象を受けた。
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英語表記で少々ハードルは高いが
慣れれば悪くないドライバ&コントロールパネル
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なおRazerによれば,バージョン1.21と1.25bの間には,この問題が解決した以外に違いはないそうなので,スケジュールの都合もあり,今回のレビューでは前者を用いる。リフトオフディスタンス(マウスを持ち上げたとき,センサーが反応しなくなる距離)の高い問題と,加速度の設定が正常に機能しない問題などは解決しており,Windows Vistaに正式対応するなど,公正なレビューに障ることはないというのが,筆者としての判断だ。
というわけで,ドライバをセットアップすると専用のコントロールパネルが組み込まれる。コントロールパネルは英語表記のうえ,どれがボタンなのか分かりにくいデザインなので,Razer製マウスに初めて触れた人や,あるいはそもそもゲーマー向けマウスを使うのが初めてという人はかなり戸惑うだろう。
もっとも,メニューの項目やデザインは英語化されただけで,Habuのそれとほとんど同じ。必要に応じてHabuのレビュー記事を参照すると理解しやすいかもしれない。
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メニューの中央部分に表示されている「Button Assignment」は,いわゆる「キーバインド」の項目で,マウスのボタン及びホイールの動作設定を行う項目だ。ボタンごとにプルダウンメニューから「DPI Settings」(解像度設定の変更)「On-The-Fly Sensitivity」(センシティビティ設定の変更)など,用途に応じて好きな機能を割り当てられる。DeathAdderの場合,“解像度設定専用ボタン”“センシティビティ設定専用ボタン”は存在しないため,ゲーム中に解像度を変更したい場合,(サイドボタンなど)どれかのボタンに割り当てる必要がある点は注意したい。
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そもそもDeathAdderはそれほどボタン数が多いわけではないこと,そしてなにより,競技性の強いFPSゲームだと大会のレギュレーションでキーマクロの使用が禁止されている場合も多いこともあって,キーバインドの効果的な利用法があるのかというと少々微妙だが,シングルプレイのゲームなら,よく使うコマンドを割り当てたりするのはアリだ。
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ここがRazer製マウスのウリであり,同時に最も難解なところだが,まずは「Advanced Settings」の「▼」マークをクリックして,センシティビティ設定の左にさらにサブメニューを表示させると,左下に「Win Pointer Speed」がある。これはWindowsの「マウスのプロパティ」にある「ポインタオプション-速度」と完全に連動しているので,まずはここを設定して,ベースとなるセンシティビティを設定するのがいい。迷ったら中央に設定しておくのがオススメだ。その後,「Sensitivity」を変更すると,好みの速度に設定しやすい。
リフトオフディスタンスの謳い文句には割引が必要も
第3世代赤外線センサーの追従性は優秀
概要を掴んだところで,ここからは実際の使い勝手に踏み込んでいこう。
何といっても気になるのは第3世代赤外線センサーだが,Razerは同センサーについて,操作への追従性が高いことと,いわゆるリフトオフディスタンス(Lift-off Distance)の短さをアピールポイントとして挙げている。
リフトオフディスタンスとは,マウスを持ち上げて移動させたときにセンサーが反応してしまう距離のことだ。マウス操作時に,マウスがマウスパッドの端まで移動すると,マウスを一度持ち上げて,(たいていの場合は)マウスパッドの中央に戻す動作が必要になってくるが,リフトオフディスタンスが長いと,持ち上げて移動させる動作をセンサーが読み取ってしまい,ポインタの位置がズレてしまうという問題が発生する。
DeathAdderのリフトオフディスタンスは,公称2.1mm。これは最近のゲーマー向けマウスの中でもかなり短いほうで,マウスを激しく動作させるFPSやRTSのプレイヤーからすると魅力的なスペックだが,実際のところはどうなのかを,表に挙げたテスト環境で検証してみた。
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もっとも,3.5mm以上持ち上げた状態では,今回テストした環境において,センサーが反応することはなかった。実際のところ,筆者がゲームで使ってみた限り,マウスパッド(など)から離して空中を移動させたときに,センサーが反応してしまう問題は発生していないので,個人的には「2.1mmより高い場所でセンサーが反応する場合はあるものの,大きな問題ではない」という印象だ。このあたりは,使用しているマウスパッドの素材やサイズなど,個人差が生じる部分と思うので,いちおう注意は払っておきたい。
追従性に関してまとめるなら,総じてかなり高い。あらゆる環境でリフトオフディスタンスが短いわけではないので,太鼓判を押すまでには至らないものの,相性のいい組み合わせであれば謳い文句通りの効果を発揮しているという実感があり,FPSをプレイしていても「マウスポインタがおかしな挙動をする」ということは一切なかった。
総合的な使い勝手も高い
ゲーマー向けマウスの有力な選択肢に
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たまたま筆者の手のサイズに合っていただけかもしれないので,すべての人にとって同じとはいえないものの,初めて握った直後から,手にぴったりと収まって使いやすく,これは一つの答えであると感じた。マウスを左手で使う人にとって評価の対象外とするほかないのは残念だが……。
ただ,使っていて一点気になったのは,マウスの裏側に付いているソールが非常に薄く,プラスチック系のマウスパッドで使用すると,素材によっては,マウスの底面に傷が付きやすいことだ。センサーの反応と同様,組み合わせによって生じる問題だが,念のため付記しておきたい。
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実勢価格が8000~9000円という点は減点せざるを得ないが,それ以外の部分については高い評価を与えるべきで,「自分専用のフルオーダーメイドマウス」を100点として考えたときに,Razer DeathAdderは85点と評価したい。右手でマウスを使う人にとっては,ゲーム用マウスを選択するときの上位候補となるだろう。
ところでRazerは,DeathAdderと同じ第3世代赤外線センサーを搭載した両手用のワイヤードマウス「Razer Diamondback 3G」をすでに発表している。かつて「Razer Copperhead」でミソをつけたRazerだが,DeathAdderを見る限り,品質はかなり高くなっている。両手用の新製品が「どんな人にもお勧め」な製品になっていることを期待したい。
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