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日本AMD,Intel日本法人に対して60億円の損害賠償請求訴訟を提起
日本AMDの吉田俊介取締役によれば,今回請求する60億円は,インテルの違法行為によって失われた,本来得られるべき利益に相当するとのこと。また,日本AMDは報道陣に訴状の要約を公開し,市場を独占する立場を利用したインテルが,日本AMD,そしてAMD製CPUを排除するため,以下のような行為を行っているとした。
1.東芝,ソニー,日立,NEC,富士通に対して巨額の資金提供を行い,東芝,ソニー,日立に対してはAMD製CPUを採用させないようにした。またNECと富士通に対しては,採用数や採用するモデルに制限をかけた
2.国内のPCメーカー各社に対して資金提供を行い,製品カタログやWebサイトから,AMD製CPU搭載モデルを削除するよう指示した
3.AMD製CPU搭載PCを使って行われる予定だった某社のイベントが行われる直前に,それらPCをすべて買い取り,代わりにIntel製CPUを搭載したPCを無償で提供することで,イベントをIntel製CPU搭載PCを使って行わせた
4.日本AMDのCPU新製品発表イベントに参加を予定していたAMDの顧客(メーカーなどと思われる)に圧力をかけ,参加を辞退させた
5.PC雑誌の編集者に圧力をかけ,あるPC雑誌に掲載予定だったAMD製CPUに関する記事を削除させたほか,AMD製CPUの性能を検証する記事の内容を変更させた
注意したいのは,これらはあくまで日本AMDの言い分ということである。断るまでもないが,審理が確定するまでは,同社が正しいのかどうか分からない。訴状そのものの公開予定はないそうなので,同社がどのような証拠をつかんでいるのかも,現時点では不明だ。
あと気になるのは,「圧力をかけられたPC雑誌」だろうか。具体的な誌名は明らかになっていないものの,日本AMDの顧問弁護士団の一人である米山一弥弁護士は「(訴状に事実として記載するだけの)確証を持っている」と明言する。だが,いずれにせよこうした場合,当事者である雑誌名を明示しない言い方には問題があるだろう。その点について,日本AMDの責任ある説明を求めたいところだ。(佐々山薫郁)
6月30日18時50分追記:18時45分に日本AMDから「『訴訟の要約』の中で,パソコン雑誌に関する記述がございますが,私どもが現在把握しているのは、すでに廃刊になっている雑誌に関するものです」(原文一部抜粋)というメールが送られてきたので,報告しておきたい。
6月30日19時10分追記:IntelはAMDから米国で独禁法違反訴訟を起こされたことについて,最高経営責任者であるPaul Ottelini(ポール・オッテリーニ)氏のコメントを発表した。
「インテルは常に,事業展開する国々における法律を尊重しています。私たちは,顧客に最良の価値を提供するために積極的かつ公正に競争しています。これは今後も変わりません。
過去数年,インテルは他の独占禁止法の訴訟に関わり,同様の問題に直面してきました。これらの問題のすべてで,私たちにとって満足のできる解決になりました。私たちは,AMDの申し立てに全く同意することはできません。今回の訴訟も,これまで同様,有利に解決すると固く確信しています」(以上,インテルによる日本語訳)
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