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[COMPUTEX 2005 #02] ”真の”デュアルコアCPU,Athlon 64 X2発表
発表会はTaipei World Trade Centerの隣にあるGrand Hyatt Taipeiで盛大に開催された。会場内の装飾にはAMDがスポンサーを務めているF1チームのフェラーリがフィーチャーされており,AMDのイメージカラーである緑や黒とは正反対の,フェラーリカラーの赤を基調とした配色になっているのが印象的であった。「AMD64=F1フェラーリ=最速」という図式を連想させる意図であることは,説明するまでもないだろう。
先に発表されたインテルのデュアルコアCPU,Pentium Extreme EditionやPentium Dは,一つのCPUパッケージ内でPrescottコアのPentium 4をただ二つ詰め込んだような構造になっており,端的に表現するなら"デュアルダイ"だ。それぞれのCPUの間の通信が,FSBクロックに制限されてしまう特性をそのまま引きずっている。
対してAthlon 64 X2では,一体成形された1ダイに二つのCPUコアが内包され,それぞれのCPUコアは非常に高速な内部バスで接続されるので,前述したボトルネックを持たない。AMDはこの部分の違いを指摘しているわけだ。
さらにRichard氏は「1999年に世界で初めて1GHz動作するCPUを世に送り出したのはどこだったか。AMDだ。そして2005年,本当のデュアルコアCPUを出せたのもAMDだった」と締めくくった。
■アップグレードは容易だが,価格がネック
ただし,Athlon 64 X2は,現行のAthlon 64の上位ラインナップという位置づけになるため,かなり高価になる。簡単なスペックと1000個ロット時の価格は以下のとおりだ。
4800+■2.4GHz,L2キャッシュ1MB×2,11万110円
4600+■2.4GHz,L2キャッシュ512KB×2,8万8330円
4400+■2.2GHz,L2キャッシュ1MB×2,6万3910円
4200+■2.2GHz,L2キャッシュ512KB×2,5万9070円
ちなみにPentium Dだと,最上位モデルのPentium D 840/3.20GHzで1000個ロット時の価格は5万7180円。すでに店頭販売が始まっている最下位モデルのPentium D 820/2.80GHzだと,実勢価格は3万円前後と,単純にデュアルコアCPUが欲しいのであれば,Pentium Dのほうが求めやすい。なお,この点についてRichard氏は「確かにCPU単体で見ればそうだが,CPUだけではPCは動かない。Pentium Dは対応チップセット搭載マザーボードが必要なので,トータルコストはそれほど変わらない」とした。
■将来的にはデュアルコアのSempronやAthlon 64 FXも
[Q]Sempronのデュアルコア版は出るのか
[A]計画はある。だがそれが姿を現すのは,おそらくCeleronが同様のソリューションを示すころだろう(笑)。彼らより一週間先になるか,後になるかは大した問題ではない。
[Q]Intelは「プロセッサナンバ」を採用したが,AMDは"ペンティアムレイティング"ともいわれるPR値(Processor Rating,「モデルナンバ」ともいう)表記を続けるのか
[A]車には馬力表示という分かりやすい性能表記の指標がある。これに相当するのがPR値であり,この値はユーザーに非常に便利に認知されている。例えば近い将来,Athlon 64に5000+というPRが与えられるとしよう。もちろんPentium 4に5GHzの製品はないわけだが,それはそれとして,「5000+はすごく速い」ことがユーザーに伝わる。だから当面はこれを活用していきたいと思っている。
[Q]IntelはプラットフォームのメモリシステムをDDR2に移行完了した。AMDは?
[A]AMD64アーキテクチャでは,最大パフォーマンスを追求するOpteronブランドから移行を開始することになるだろう。いつからかは言えない。
[Q]今は少数派だが,すでにマルチスレッド対応のゲームエンジンも登場しつつある(「こちら」)。3Dゲームユーザー向けのCPUとして,シングルコアのAthlon 64 FXシリーズを推しているのは分かるが,将来的には,どのようになると考えているのか。
[A]実はすでにいくつかのゲームスタジオとタイアップし,マルチスレッドに対応したゲームエンジン開発の技術サポートを行っている。事がうまく運べば,来年内にこれに関連したアナウンスができるだろう。ただ,ゲームエンジンというものは開発期間が長いため,短期的にすべてのゲームエンジンがデュアルコアを要求するようにはならないだろう。当面はシングルコアのAthlon 64 FXが,最適なソリューションとなるはずだ。多くの3Dゲームがマルチスレッド対応となった暁には,デュアルコア版Athlon 64 FXをリリースすることだってあり得る。
(原稿,写真とも:トライゼット 西川善司)
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Athlon 64
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