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ワンタッチ最適化機能「HYPR-RX」を改善した「AMD Software 23.12.1」リリース
WHQL(Windows Hardware Quality Labs,ウィクル)通過版となるAdrenalin 23.12.1では,新作タイトルへの対応のほかに,AMD Softwareが有する複数の高速化機能をまとめて有効化する「HYPR-RX」を設定する方法の改善や,新設定「HYPR-RXエコ」の追加など,細かい改良が加えられたドライバだ。
Adrenalin 23.12.1で対応が謳われているタイトルは,新作アクションアドベンチャー「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」だ。とくに性能向上は謳われていないので,AMDが動作を確認したという理解でいいだろう。
Adrenalin 23.12.1では,設定周りにいくつかの改良が加えられている。目立つ変更は,HYPR-RXのグローバル設定が,ホーム画面からワンクリックで行えるようになったことと,新たにHYPR-RXエコと呼ばれる省電力設定が追加されたことだ。
ゲーム個別のHYPR-RX関連設定もホーム画面から行えるようになるなど,従来よりも簡単にHYPR-RXの有効,無効を設定できるようになった。
新設されたHYPR-RXエコは,動的な解像度変更によって対応ゲームのフレームレートを向上させる「Radeon Boost」と,ドライバ側で行う超解像技術「Radeon Super Resolution」を無効化しつつ,遅延低減技術の「Radeon Anti-Lag」だけは有効にするという設定のようだ。これらをまとめてワンクリックで設定できることが利点だろう。
なお,HYPR-RXエコはHYPR-RXと同様に,RDNA 3世代向けの機能である。そのため,RDNA 2やそれ以前のGPUでは設定できない。
Radeon RX 7000シリーズが,Windows 11/10の「Hardware-accelerated GPU scheduling」を利用できるようになったことも大きな変化だ。Hardware-accelerated GPU schedulingは,Windows 10で導入されたスケジューリング技術だが,これまではNVIDIA製のGPUしかサポートしていなかった。ゲームによっては多少の性能向上が期待できるので,Radeon RX 7000シリーズのユーザーは有効化してみるといいのではなかろうか。
そのほかにもAdrenalin 23.12.1では,OpenGL対応ゲームで「Framerate Target Control」(FRTC)やRadeon Super Resolution,「Radeon ReLive」によるストリーミング配信や録画,そして「Radeon Overlay」の機能が利用できるようになっているそうだ。OpenGL対応の新作ゲームはほぼなくなっているが,「Minecraft」のように,いまでもプレイされているゲームはあるので,これらの機能がOpenGLで利用できれば嬉しいゲーマーもいるはずだ。
なお,Adrenalin 23.12.1では新たなVulkan拡張への対応が追加されており,前バージョンであるAdrenalin 23.11.1と比較して確かにVulkan APIのバージョンが変わっているが,Vulkan Driverのバージョンが変わっていないという齟齬が発生している。おそらく設定に表示されるバージョンが誤っているのだろうと思われる。
●Adrenalin 23.12.1の対応GPU
- Radeon RX 7000シリーズ
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon RX 7000M/7000Sシリーズ
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
●Adrenalin 23.12.1の対応APU
- Ryzen 7000シリーズ
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics(※RDNA世代以降)
●Adrenalin 23.12.1が統合するコンポーネント(※比較対象はAdrenalin 23.11.1)
- Display Driver Version:23.30.13.01-231128a-398226C-AMD-Software-Adrenalin-Edition(←23.20.23.01-231025a-397214C-AMD-Software-Adrenalin-Edition)
- Radeon Settings:2023.1128.1811.2005(←2023.0911.2328.1996)
- 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D:9.14.10.01526
- OpenGL: 23.11.230906_ab0988b(←23.09.230729_569461f)
- OpenCL:31.0.23013.1023(←31.0.22023.1014)
- AMD Windows Driver:31.0.23013.1023(←31.0.22023.1014)
- Audio Driver:10.0.1.30
- Vulkan Driver:2.0.283
- Vulkan API:1.3.264(←1.3.262)
●Adrenalin 23.12.1における最適化
・Radeon RX 600M/700MとRadeon RX 6000/7000シリーズに対して,Topaz LabsのAIベースイメージ高画質化ソフトウェア,およびビデオ編集ソフト「DaVinci Resolve」向けにDirect MLの最適化を実施
●Adrenalin 23.12.1における新要素
- HYPR-RX向けのユーザーインタフェースを再設計
- 省電力設定HYPR-RXエコを新設
- OpenGL対応タイトルにおいて,FRTCやRadeon Super Resolution,ストリーミング配信および録画,Radeon Overlayをサポート
- Radeon RX 7000シリーズにおいて,Hardware-accelerated GPU schedulingに対応
- 新たなVulkan拡張に対応。詳細は公式ページを参照のこと
●Adrenalin 23.12.1で解決した問題
- Radeon RX 7000において,複数の解像度が混在し,かつ高リフレッシュレートディスプレイを用いたデュアルディスプレイを利用しているときにアイドル時の消費電力が高いことのあった問題を改善
- Radeon RX 7000シリーズとRyzen 7000シリーズプロセッサを組み合わせて,セカンダリディスプレイを接続したシステムで,Chromiumベースのブラウザを実行すると断続的に微小な表示のカクツキ(スタッタ)が発生することのあった問題
- 「Crysis Remastered」プレイ中,断続的に星が表示されなくなることのあった問題
- Radeon RX 7000シリーズで「FINAL FANTASY X HD Remaster」をプレイすると,一部のテクスチャが見えないことのあった問題
- 「EA SPORTS WRC」プレイ中に,レーストラックの表示が断続的に崩れることのあった問題
- Radeon RX 6900 XTXなど一部のAMD製グラフィックス製品で,「Overwatch 2」をプレイすると断続的にカクツキ(スタッタ)が発生することのあった問題
●Adrenalin 23.12.1における既知の問題
- AMD SoftwareでAV1コーデックを選択して録画すると,音声と動画が同期しないことがある
- Radeon RX 7000シリーズにNixeus製「NX-EDG274K」など特定のディスプレイを接続している環境で,ドライバアップデート後に断続的にグレーの画面が表示されることがある
- DirectMLを利用する軽量のワークロードで,処理性能が低下することがある
- 特定のUniversal Windows Platformアプリ(UWP Application)において,グラフィックスAPIの情報が「N/A」と表示されることがある
- Radeon RX 7900 XTXなど一部のAMD製グラフィックス製品において,「War Thunder」で「4x SAAA」を有効化すると,一部の地上のテクスチャが断続的にちらつくことがある
- 関連タイトル:
AMD Software
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