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  • 発表日:2003/10/23
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「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
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印刷2013/10/28 22:00

テストレポート

「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか

画像集#002のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
 北米時間2013年10月28日,かねてより告知されていたとおり,NVIDIAは,ゲームプレイの自動録画機能「ShadowPlay」(シャドウプレイ)に対応する,新しい「GeForce Experience」(Version 1.7.0.0)を公開した。より正確を期すと,原稿執筆時点では,新しいGeForce Experience単体と,新しいGeForce Experienceが統合された公式最新β版グラフィックスドライバ「GeForce 331.65 Driver Beta」の2つが公開されることになっているが,いずれかを導入することで,Kepler世代のGeForceを搭載するPCでは,ShadowPlayが利用可能になるわけだ。もちろん無料で,である。

※23:35頃追記
 実際に公開されたのはWHQL版の「GeForce 331.65 Driver」でした。

 1.7.0.0版GeForce Experienceに統合されるShadowPlayはβ版と位置づけられているが,果たしてこれで何ができるのか。短時間ながら試す機会が得られたので,その結果をお伝えしたい。


ShadowPlayの概要と

使い方を整理してみる


使用中のPCがShadowPlayに対応しているかどうかは,GeForce Experienceの「マイ・リグ」タブで確認できる。CPUは「Core i3-2100」もしくは「Athlon II X4 630」以上で,メインメモリ容量は4GB以上が必要だ。OSはWindows 7&8のみの対応となる
画像集#003のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
 「ShadowPlayとは何か」という話は10月21日の記事に詳しいのだが,あらためて整理しておくと,これは,Kepler世代のGeForce GTXシリーズに統合されたリアルタイムH.264エンコーダ「NVENC」を用いて,プレイ中のゲームをループ録画し続ける機能である。
 GeForce ExpericenceからShadowPlayを有効化すると,NVENCは,ディスプレイ出力される映像をそのままリアルタイムでエンコードし,メインメモリ上で一時的に確保する。そしてこの動作を,直近の最大20分間(※Windows 8以降の場合。Windows 7では10分)に対して行い続けるのだ。

 NVIDIAはこれを「Shadow Record」(シャドウ録画,以下日本語表記)と呼んでいるが,エンドユーザーは,「いまのプレイをあとで見たい」と思ったところから遡って最大20分間をムービーとして保存できるのである。

「The Elder Scrolls V: Skyrim」より,ShadowPlayで録画したムービーの1カットを切り出したもの。いいプレイができたとか,格好いいキルムーブが見られたとか,そういったとき,咄嗟にスクリーンショットを撮るのは至難の業だが,ShadowPlayなら直近のシーンをムービーとして書き出せる
画像集#012のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか

 加えてShadowPlayには,ホットキーを押した時点から次に押した時点までの期間を録画する手動録画機能も用意されており,Shadow Recordと併用が可能だ。手動録画モードでは時間制限がなく,ストレージ容量の許す限り長時間の録画を行えるので,純粋に,ウォークスルー動画を作りたいとか,1プレイをまるまる録画して,あとで見直して反省したいとかいった用途にも使えるようになっている。

 そんなShadowPlayだが,使い方はかなり簡単で,基本的には,

  1. GeForce Experienceを開く
  2. ウインドウ右上の[ShadowPlay]ボタンをクリックする
  3. 開いたShadowPlayウインドウで,左端のトグルスイッチアイコンをクリックする

だけだ。これでShadowPlayは有効になり,その後起動したゲームでは,自動的にシャドウ録画(=ループ録画)が始まることになる。

GeForce Experienceで[ShadowPlay]ボタンをクリックすると,ShadowPlay(のβ版)が開く。左端のトグルスイッチアイコンをクリックすれば……(下に続く)
画像集#004のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
(続き)ShadowPlayが有効になる。この状態でゲームを起動すれば,いつでもプレイムービーを書き出し可能だ
画像集#005のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか

 ちなみにShadowPlayウインドウでは,シャドウ録画と手動録画のどちらを使うか,シャドウ録画を過去何分にするか,書き出すムービーの画質をどうするか,ムービーにゲームのサウンドを入れるか否かを選択できる。また,[プリファレンス]ボタンを押すと,ShadowPlayインジケータを画面のどこに表示するかや,書き出すムービーファイルをどこに保存するか,シャドウ録画の書き出しおよび手動録画の開始・終了用ホットキーを何にするかも選択可能だ。

画像集#006のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
ShadowPlayウインドウの「モード」では,シャドウ録画と手動録画を併用するか,片方だけを使うかを選択できる
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「シャドウ時間」では,シャドウ録画する時間を設定可能。標準は5分で,1〜20分の範囲を1分刻みで選択することになる
画像集#008のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
「クオリティ」は三択。「高」「中」「低」を選択できる。標準は「高」だ
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「オーディオ」ではサウンドを録音するかしないかの設定が行える
ShadowPlayウインドウで[プリファレンス]をクリックすると,GeForce Experienceに戻る。ここでインジケータの表示設定や,録画したファイルの書き出し場所,ホットキーの設定が可能
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インジケータはこんな感じで,画面の隅にちょこんと表示される仕様。ほとんど邪魔にはならないが,消したければ消せる
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 ゲームのプレイ中は,あらかじめ設定しておいた場所にインジケータが表示され,これによって動作状況を確認できる。インジケータとその意味は表1にまとめたとおりで,これといって誤解を生むようなものはないと言っていいように思う。
 なお,インジケータは表示しない設定も可能だが,表示する設定にしていても書き出されるムービーファイルには映らないので,基本的には表示する設定にしておいたほうが分かりやすいだろう。

画像集#024のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか


画質は「高」設定なら違和感なし

システム負荷はNVIDIAの言うとおり低め


 使い方をひととおり整理したところで,その実力をテストしてみたい。冒頭でも触れたように,今回は時間が限られていたので,新規に用意したテストPCではなく,筆者の私物PCを使う――つまり,“まっさら”な環境ではない――点に注意してほしい。
 具体的なシステム構成は表2のとおりだ。

画像集#025のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか

 まずは気になる画質からチェックしていこう。今回は「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)と「GRID 2」を用い,「クオリティ」を「高」「中」「低」と切り替えながら,シャドウ録画してみた。
 いずれものテストにおいても,グラフィックス設定はできる限り最大化。Skyrimでは雪の降るシーンでキャラクターを固定して1分経過した時点,GRID 2ではゲーム側で用意されたベンチマークモードを実行し,1分30秒過ぎでそれぞれ書き出しのホットキー操作を行うことにしている。

 そして,得られたムービーから同じようなシーンを抜き出して画像化したものが下の画像だ。ShadowPlayの設定はいずれも左から順に「高」「中」「低」。サムネイルは一部を拡大しているので,全体像で比較したい場合はサムネイルをクリックしてもらえればと思うが,設定によって,画像のシャープさにはかなりの違いが出ているのが分かる。「高」だと輪郭がはっきりしているのに対し,「低」では,かなり甘くなっているあたりに注目してほしい。
 なお,ビデオのビットレートはどちらも「高」が約54Mbps,「中」で約24Mbps,「低」で約16Mbps。サウンドのビットレートは98kbpsだった。

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Skyrimの例。「高」の画質は端的に述べて良好だ。「中」だと岩肌のテクスチャがやや甘くなり,「低」では輪郭もぼやける
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GRID 2の例。Skyrimと異なり,完全に同じシーンではないが,ボンネットに寄ってみると,やはり「高」の画質が光る。一方,「中」で全体的にやや甘くなり,「低」ではボケが強くなった

 次に,GRID 2のベンチマークモードを用いて,ShadowPlayがもたらすフレームレートへの影響を見てみよう。ここではShadowPlay無効時と有効時,さらにはShadowPlayを有効にしつつ,手動録画も並行して行った状態とで,ゲーム内のベンチマークモードを3回実施した。GRID 2のベンチでは,初回のみスコアが高く出る傾向が得られたため,2回めと3回めのスコアを採用することにして,最低fpsは2回のうちより低いほう,平均fpsは2回の平均値をまとめたものがグラフだ。
 興味深いのは,「クオリティ」設定のいかんに関わらず,ShadowPlay有効時の平均フレームレートが無効時の約96%で揃っていること。最低フレームレートも88〜90%程度なので,こちらもほぼ揃っていると見ていいだろう。また,ShadowPlayを有効にしつつ手動録画を行った場合には,そこからまた少しずつスコアを落としているのが分かる。

※スペースの都合上,グラフ内でShadowPlayは「SP」と略記しました
画像集#026のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか

 いずれにせよ,それでも平均フレームレートへの影響は10%もない。NVIDIAは,NVENCがエンコード処理を担当し,また,ShadowPlay有効時のメインメモリ利用量が極めて少ないことから,「ShadowPlayの無効/有効で,ゲームプレイの体験はほぼ変わらない」と言い切っていたが(関連記事),その発言には相応の根拠があると述べていいのではなかろうか。


β版らしい制約も抱えるShadowPlay

Twitch.tv投稿機能は未実装


 簡単に使えて,過去に遡って録画でき,しかも「クオリティ」を「高」設定にしてあれば見栄えもかなりよいShadowPlayだが,そこはβ版。短時間試しただけでも,制約や不具合が見つかった。

 最も気になったのは,ビデオが解像度1920×1080ドット,フレームレート60fpsで固定されること。たとえば1280×720ドットでゲームをプレイしている場合,ムービーは容赦なく引き伸ばされる。引き伸ばされるだけならいいのだが,1280×1080ドットのように16:9アスペクトでない解像度を設定していた場合は,アスペクト比すら無視されてしまう。これが仕様なのか,β版ゆえの制限なのかは分からないが,制限であってほしいし,正式版ではターゲット解像度を選択できるようになってほしいところだ。
 なお筆者の環境では,デスクトップ解像度を1280×720ドットのように低く設定しても,ShadowPlayの録画解像度は1920×1080ドットのままだった。デスクトップより低い解像度でウインドウ表示させた場合,今度はShadowPlay自体が機能しなかったことも付け加えておきたい。

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ゲーム側で解像度を1280×720ドットに設定したところ。「クオリティ」は「高」だが,引き伸ばされて全体的に眠くなっている
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解像度を1280×1080ドットにしたところ。こちらも「クオリティ」は「高」。見るも無惨な引き伸ばされ方になってしまった

画像集#021のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
ムービーの書き出し先に「e:\_テスト」を指定した例。その後ろが明らかに文字化けしてしまい,これが原因で正しく書き出せなくなった
画像集#022のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
「手動」(もしくは「マニュアル」)となるべきところが,「手作業」になっているβ版ShadowPlay
 もう1つ,筆者の環境では,録画先のフォルダパスに日本語が入っていると,シャドウ録画も手動録画も失敗する問題があったことも述べておきたい。日本語が含まれたパスを指定すると,一部が文字化けしてしまうので,おそらく,この問題によって「録画できない」という事態になっているのだろう。これは追々修正されるのではなかろうか。

 追々修正されるといえば,一部で日本語表記が残念なことになっている点も挙げられる。NVIDIAでもこの問題は把握しているそうで,レビュワーには正誤表も配布されたため,本稿では,「追って修正される,正しい日本語表記」を用いて執筆しているが,筆者が試したバージョンでは,シャドウ録画が「シャドウ記録」になっていたり,「手動」が「手作業」になっていたりと,いろいろ微妙なことになっていた。まあ,このあたりはβ版なのでご愛敬だが。

 あと,これはShadowPlayの問題ではないのだが,「VLC Media Player」で「ツール→設定→ビデオ」にある「ハードウェアによるYUV->RGB変換を利用」をチェックしていないと,再生画面が真っ白になる問題も確認されているとのこと。VLC Media Playerを使っている人は記憶に留めておくといいだろう。

 最後に未実装の話をしておくと,「Twitch.tv」と連携して録画データをアップロードされる機能は,今回のShadowPlayには実装されていない。NVIDIAに確認したところ,これは将来のリリースで対応予定とのことだった。


β版であることに抵抗がないなら

一度試してみる価値はある


余談ながら,1.7.0.0版GeForce Experienceでは,GeForce GTX TITANなど,クーラーにLEDが埋め込まれた製品で「光り方」をカスタマイズできる「LED Visualizer」も追加されている。筆者は液冷化してしまったので動作を確認できなかったが……
画像集#023のサムネイル/「ShadowPlay」β版を使ってみた。GeForce GTX 700&600ユーザーが無料で使える「PCゲーム自動録画ツール」はどんなものか
 以上,かなりの駆け足だが,ShadowPlayのβ版をチェックしてきた。いろいろとβ版らしい制約はあるものの,「さっきプレイしていたところを録画できる」というのはかなり面白く,対象製品を使っていて,かつ,β版のドライバやアプリケーションを使うことに抵抗がないなら,無料なので,一度は触ってみてもいいように思う。

 GeForce Experienceからは,日本語でNVIDIAへ直接フィードバックを送ることができるので,使っていて気になることや要望があれば,積極的に送ることを勧めたい。

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「GRID 2」
(C)Codemasters 2012
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