テストレポート
ついに登場したRelease 80,「ForceWare 81.85」をチェック
すぐにダウンロードしたい人は本誌の最新ドライバページを開いてほしいが,WHQL認証済みとなる今回の81.85は,もちろん日本語対応。これも,最近掲載した一連の記事をすでに読んでくれている読者には重複した説明となるが,81.85では,主に以下のような機能追加が行われている。
・異なるメーカーのグラフィックスカードによるNVIDIA SLI(以下SLI)のサポート
・SLI動作時におけるビデオ出力,HDビデオ(高解像度ビデオ)出力のサポート
・PureVideoにおける,MPEG-2 HDコンテンツのプログレッシブ(デインタレース)再生サポート
・デュアルコアCPUへの最適化
・ノートPC用グラフィックスチップ「GeForce Go 7800 GTX」の新規サポート
■81.84βとまったく同じ傾向を示す81.85
では,さっそく,ゲーマーにとって最も気になるパフォーマンス面を"最終確認"してみたい。もっとも,すでに公式β版であるForceWare 81.84βで,だいたいの傾向は把握済み。今回は,81.85が"最終的に"Release 75世代のForceWare 78.01と比べてどの程度チューンされたのかをチェックしてみることにしよう。
テスト環境は表のとおりで,10月17日の記事とはグラフィックスカードのみが異なるが,それ以外の環境は揃えてある。CPUは,同じコア世代で,コアの数だけが異なるAthlon 64 X2 4800+(以下X2 4800+)とAthlon 64 4000+(以下4000+)を利用した。
まず,3DMark05で見てみる。最も標準的な,1024×768ドット,垂直同期以外の設定を行っていない状態(以下 標準設定)で,81.85と78.01を比較した結果がグラフ1,2だ。10月17日の記事で指摘したのとまったく同じ傾向を示しているのが分かる。78.01ではデュアルコアCPUの効果がまったくないどころか,むしろデュアルコアCPUを利用するとわずかながらスコアが下がっていた。だが,81.85ではデュアルコアCPUであるX2 4800+を利用すると,4000+に対してシングルグラフィックスカード(以下シングルカード)動作時に3%弱,SLI動作時で6%強のスコア向上を果たしている。
10月18日の記事で,Release 80世代におけるデュアルコアCPUへの最適化とは,「トライアングルセットアップ」のマルチスレッド化であることが明らかになった。そこで,その事実を確認するため,3DMark05で,ピクセルシェーダ(Pixel Shader)と頂点シェーダ(Vertex Shader)のスコアも見てみることにしよう。
結果はグラフ3〜5にまとめたとおりだ。基本的にはほとんど変わっておらず,全体的には81.85のほうが78.01よりも低いスコアになっている。要するに,シェーダ性能はまったく変わっていない(か,むしろ若干下がっている)わけで,確かにシェーダ性能以外のところが強化されていると窺える。
Far Cryを用いた検証では,やはり前回同様,1024×768ドットと1600×1200ドットにおいて,標準設定,そして8倍のアンチエイリアシングと16倍の異方性フィルタリングを適用した状態(以下8x AA&16x Anisotropic)の両方,計4パターンで検証している。
結果はグラフ6〜9のとおり。まず前提として,すべての局面において,X2 4800+と81.85の組み合わせではトライアングルセットアップのマルチスレッド化による恩恵が受けられる。ただし,グラフ9で明らかなように,グラフィックスチップの負荷が大きい状態だと,最終的なフレームレートに影響しない場合があることは,理解しておくべきだろう。とはいえ,標準設定において,シングルカード,SLIともに10%を超え,最大13%程度のスコア向上が得られているのは魅力的だ。
■大きなトラブルも解消した81.85
なお,81.84βで見られた「2枚のグラフィックスカードを差したままドライバをインストールするとハングアップする」というトラブルは81.85で解決しており,筆者がテストした限り,トラブルらしいトラブルはまったく発生していない。
GUIの変更など,Release 80で予定されている機能のすべてが実装されているわけではないが,少なくともAthlon 64 X2やPentium Dのユーザーにとって,大きな意味のあるアップデートなのは確か。デュアルコアCPUへの対応以外にも注目すべき点は多く,GeForceシリーズを使っているなら,ひとまずアップデートしておいて損はないだろう。(坪山博貴)
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