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[E3 2005#070]「Metronome」は,おとぎ話のような不思議な世界が魅力的
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印刷2005/05/21 15:09

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[E3 2005#070]「Metronome」は,おとぎ話のような不思議な世界が魅力的

 スウェーデンのGamePortは,若いゲーム開発者達を引き合わせる組織。そこで知り合った仲間であるTeam Tarsierが開発中のアクションアドベンチャーが,この「Metronome」だ。
 まだ開発を始めてから4か月しか経っておらず,本来はパブリッシャを見つける目的で渡米してきたらしいが,ウェブサイトを公開してしまったために4Gamerを含めた各国メディアからデモ要請が殺到。会場でも,椅子が六つしかない狭い部屋に,20人近くのメディア関係者を押し込んでの,特別の初公開と相成ったのだ。


 画面写真を見てのとおり,Metronomeは非常に幻想的で繊細な世界観を持っている。
 Metronomeは,ゲームの舞台となる,生きているのか死んでいるのか分からない精霊「メトログノーム」が存在する街の名称。ここではロボットに魂を吹き込む手法が考案されてしまったために大企業の侵略を招いて,ついには町全体が企業にコントロールされるようになってしまった。
 この企業は,メトログノームが無意識に反応してしまう音色を奏でることで,奴隷化して自在に操っている。そんな世界で,主人公の少女が企業の陰謀を暴いていくというのがゲームのストーリーになるようだ。



 Metronomeのユニークな点は,ゲームプレイが「音」をベースに構築されていることにある。メトログノームは朝晩寝ることもなく発電用自転車を漕いでいたり,目的もなく路傍に立ちすくんでいたりするが,彼らに特定の音色を聞かせることで,プレイヤーキャラクターの少女に付いてきたり,特定の動作をしたりするようになる。
 今回のデモでは,通り道を塞いでいた重いトロッコを押させるとか,掃除婦グノームに雇用者の声を認識させるというようなトリックが使われ,それでパズルを解いていく仕組みになっていた。
 これらの音は,主人公が背負っている録音機に記録するため,プレイヤーは常に音の存在を意識して街を散策しなければならない。実際に,どのような音色にどのような効果があるのかが分かりにくかったが,ほとんどの場合はパズルのポイントの近くに,利用できる音を発する機械や人間が存在するようだった。



 音はまた,護身用にも使える。Metronomeでは,企業に雇われたロボット達が街を徘徊しており,警察型やスカウト型などレトロな風貌のロボット達が襲いかかってくる。
 このロボットにも内部には魂があるため,特定の音をマイクから発射して,この魂をロボットの外へと誘き出すのだ。魂がロボットから離れると,ロボットはただのガラクタとなって崩壊する。
 魂はしばらく主人公の近くを浮遊しており,少女が傷ついていると治癒してくれたり,音楽に合わせて踊ったりするのだという。まだ現バージョンでは実現できていなかったが,少女の足音がいつしか街の雑音と混じり合って一つのリズムを作り出したり,アクションに合わせた音色で独特な雰囲気を醸し出したりすることになると開発者は話してくれた。



 シングルプレイヤー専用アドベンチャーのMetronomeは,Shader Model 2.0以上をサポートしており,PCとXbox 360で開発を進める用意があるとのことだ。
 この作品のアートを担当する開発者は,「ムームー」(フィンランドのムーミンとは異なるらしい)というスウェーデンの子供用絵本をはじめ,「Ico」や映画「リング」のアイデアやカメラアングルまでを参考にしたということだが,画面写真やコンセプトアートを見れば分かるように,実にヨーロッパ的な,細やかな作風が魅力的だ。おそらくすぐにでもパブリッシャが見つかり,我々のもとにも続報が飛び込んでくるに違いない。(奥谷海人)


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