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[E3 2005#058]ファンタジーRTS「Rise of Nations:Rise of Legends」は早くもプレイアブルデモが公開
長い間なんの情報もないまま,E3の開催に合わせる形で一挙に情報公開が始まった本作だが,会場にはすでにプレイアブルなバージョンが展示されており,比較的ちまちましていた前作とは打って変わったド派手なゲーム画面で,ブースに多くのギャラリーを集めていた。
■美しいグラフィックスに加え,ファンタジーという世界設定を存分に生かした演出の数々は一級品
確かに純粋な"絵"として比べた場合,AoE3には及ばないかもしれないが,ユニットやオブジェクトの挙動などのアニメーション/ギミックが非常に良く作られており,目に映る"演出"としてはAoE3にも負けないパンチ力があるように見えるからである。グラフィックス自体とは少し離れるが,本作ではNovadexの物理エンジンが採用されており,それらを使った演出の数々も見事の一言。例えば,巨大な大砲を搭載した機械を破壊した際に,その砲身がゴロゴロと転がっていく様子などはなかなか見応えがあり,ファンタジーという世界設定を存分に生かした派手めのエフェクトも非常にマッチしている。リアリスティックな映像を追求し,言うなれば地味めAoE3とは対極に近い方向性(RTS界という狭義において)なのかもしれないが,なかなかどうして,しっかりとその世界観を昇華させていることには素直に好感が持てる。
さて,本作のゲームシステムを大枠の部分から説明していくと,RoLは,前作RoNの基本的なゲームシステムを踏襲しつつも,より対戦プレイに焦点を絞り込んで作られた作品といえる。ファンタジーな世界観を背景に,物語としては神秘的な魔法と機械テクノロジーの対立を描いた内容になる。登場する勢力は全4勢力となる予定だが,今回のバージョンでは,そのうちのスチームパンク的な機械文明を発達させた「Vinci」と,魔法文化を発展させた砂漠の民族「Alim」の二つが公開されていた。
順に説明していくと,Vinci族はあのレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)を由来とした勢力だとのことで,ダ・ヴィンチ的なデザインのユニットや建物が登場する勢力である。機械を使った文明が発達しており,銃を持った歩兵や戦車,飛行機などをユニットとして扱う。螺旋状のローターを備えたヘリコプターのようなユニットや,2本足で歩く装甲兵のようなマシンなど,いちいちレトリックなデザインのユニットや施設が登場するのが面白い部分。施設やユニットの挙動も,各所でネジが回転していたり,蒸気が噴射していたりと,かなり手の込んだ演出が特徴的な勢力でもある。
一方Alim族は,雰囲気的なアラビアンナイトのような建物やユニットを持つ勢力で,こちらは機械を一切使用せず,魔法や幻獣を駆使して戦う民族だ。アラビアンナイトに登場する魔神アラジンのようなユニットや,巨大なサソリやドラゴンなどといったクリーチャーをユニットとして駆使できる。
■内政システムをさらに簡略化。対戦ゲームとしての高みを目指す
資源を集めて進化/ユニットを生産し,敵と戦うという流れこそ,これまでと変わらないが,今作では内政的な要素はバッサリと簡略化されているのが大きな特徴といえる。例えば前作で6種類あった資源は,「Gold」および「Timonium(本作に登場する架空の鉱石。あらゆる活動の源となる資源)」という,たった2種類へと大幅にスリム化が計られた。
そのほかの内政要素も非常に簡素で,勢力の中核施設となるシティコア(City Core)を中心として,その周りに地区 (Districts) を増設していくことで,資源の採集ペースを速めたりユニットを強化したりといった,さまざまな恩恵にあずかれる。本作の内政作業は基本的にこの地区の増設と,前作同様のテクノロジーのグレード操作のみで完結しており,非常に簡単だ(Workerの割り当ては別途行うが)。
また,本作では"ユニットの操作"に重点が置かれたゲームデザインがなされているようで,内政が簡素化された反面,ユニットは特殊スキルなどを豊富に備えたシステムでラインナップされている。これは,ひたすらユニットをぶつけあう消耗戦ではなく,戦闘のタイミングとユニットの動きが重要なプレイスタイルが志向された結果だという。ぶっちゃけて言えば,RoN的な内政システムを持った「Warcraft III」(以下,WC3)といった雰囲気だ。実際,インタフェースやエフェクトのところどころに,WC3の影響が少なからず見え隠れするのは否めない部分ではある。
またWC3と同じく,本作にはヒーローユニットが存在しており,マルチプレイでは勢力毎に3人,シングルキャンペーンでは最大で6人を同時に操作可能。ただWC3と違う部分は,ヒーローユニットに経験値の概念がなく,あくまでも資源を使ってアップグレードさせることで,能力を高めたり,特殊なスキルを身につけたりしていく部分だろう。やられてしまった場合も,基本的には再度生産するだけだとの話だが,そのときは,最初に生産したときよりも幾分安いコストで復活させられるという。
ヒーローはWC3のそれに近い扱いで,使い方いかんによっては戦況をがらりと変えてしまうことも可能だ。範囲攻撃や敵をスタンさせるといったスキルを備えており,ヒットごとに設定されているスキルポイントを消費することで,それらを使用できる。
またユニットは通常ユニット,ヒーローユニット問わず,勢力ごとにユニークなものが用意されているワケだが,中でも注目したいのが決戦兵器ともいえる"スーパーユニット"の存在だ。これは文字どおり,ゲームの最終局面で生産可能な巨大兵器/ユニットのことで,圧倒的なパワーで敵を粉砕するユニットと位置づけられている。今回のバージョンでお披露目となった二つの勢力,まずVinci族には多脚型の重装陸上兵器「Land Leviathan」が,そしてAlim族には空中を飛び回る巨竜「Ancient Glass Dragon」がスーパーユニットとして用意されている。
どちらも画面の大部分を埋めてしまうほどの巨大なサイズのユニットで,ヒーローユニットすら一瞬でやられてしまう様子は圧巻。Land Leviathanは数え切れないほど装備している大砲やミサイルの乱れ撃ち,Ancient Glass Dragonは自身の透明の体を利用して光を集約させ,それを発射する破壊光線などなど,それらの攻撃方法もかなりド派手で爽快である。同じ決戦兵器的なユニットとしては,「Age of Mythology」の「Titan」などがあると思うが,見た目のインパクトという意味では,圧倒的にこちらに軍配が上がるだろう。
■対戦の駆け引きを演出する「Dominances」システムなど
ただDominancesは,後からより高度な条件を満たせば敵から奪いとることもできるようで,例えば最初に2000Gold貯めて「経済的なDominances」を得たあと,相手が再度設定された条件である3000Goldを貯めた場合は,その相手にDominancesが移ってしまうのだという。戦闘だけではなく,どの優位性を狙って獲得していくか,そこもゲームの駆け引きの重要なポイントとなるようだ。
ともあれ,第一報を聞いたときには,かなり半信半疑だったRise of Legendsだが,実際に動いているバージョンを見てみると,かなり期待できる作品なのではないかと思い直した次第。ゲームの方向性がWC3のそれに酷似しており,その点に関しては疑問符を付けざるを得ないところだが,それを差し引いても期待感を持てるタイトルであることは間違いないだろう。
マッチングなどの対戦システムに関しても,今回話をしてくれたプログラマーのIssac Ellis氏曰く「大幅にパワーアップする」だとのことで,こちらも期待したい。
北米版は2006年度に発売を予定しており,日本語版に関してはさすがにまだ未定という話。何にしても,さらなる情報を待ちたいタイトルである。(TAITAI)
- 関連タイトル:
マイクロソフト ライズ オブ ネイション:ライズ オブ レジェンド
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