［CJ 2006＃13］三國無双BBの対抗馬？ 「一騎当千」のプロデューサーインタビュー

一騎当千を中心に展開するWebzenブース

　ChinaJoy 2006の大手メーカーが集まっている第1ホールで，韓国メーカーとしては唯一大規模ブースで出展したWebzen。すべてのゲームショウに出場していることはすごいのだが，出展タイトルが毎回同じで，さすがにちょっと寂しさは否めず。そのなかでも今年のChinaJoyでは，「一騎当千」（一騎當千）をメインで立てていることは，明確に理解できた。
　これについて，三国志の背景になった中国市場であることがその理由になったんだろうと思いがちだが，おそらくそれはちょっと違う。一騎当千は，ほかのWebzenのラインナップとは違い，同社のチャイナスタジオで中国人のスタッフが中心になって開発しているから，ではないだろうか。まぁ真相は，Webzenのエース「SUN」が，運営元であるThe 9で展示されているからではないかという気もするのだが。

Lim Geon Su氏（右から二人め）

　ところで一騎当千の開発責任者は，当サイトもTaipei Game Showでインタビューしたことがある，ラグナロクオンラインのサーバープログラマー出身のLim Geon Su氏だ。
　本作は，三国志をベースにおいたMMORPGという意味で，世界でも妙に三国志の人気が高い日本のゲーマーとしても気になるタイトルだといえるのではないだろうか。中国メディアとのインタビューで時間がほとんどないLim氏をつかまえることができたので，新しく追加された同ゲームの詳細を聞いてみた。ぜひ読んでみてほしい。（Kim Dong Wook）

4Gamer：
　お久しぶりです。Taipei Game Show以来5か月ぶりですね。今日もよろしくお願いします。まず，Taipei Game Show以後に一騎当千の情報が全然公開されなかったので，その間に新しく追加されたことがあれば教えてください。

Lim Geon Su氏（以下Lim氏）：
　まずキャラクターの服装などが5種類追加され，三国志に登場する各国の主要英雄キャラクターが総勢30人分できました。

4Gamer：
　それだけ英雄キャラクターが増えたということは，以前に聞いたようにNPCとして存在する以外に，プレイヤーが直接選択して操れるようになったりしますか？

Lim氏：
　いえ，残念ながら。以前申し上げたように，やはり英雄キャラクターはNPCとモンスターとして登場します。とくに英雄キャラクターは，本作が追い求める“一番三国志らしい三国志”を明確に表現するため，原作のシナリオでプレイヤーを引き入れる重要な役目を持っています。そのため，歴史ミッションというものも準備しました。

4Gamer：
　それはどういうものですか？

Lim氏：
　歴史ミッションは，原作の「三国志演義」に登場する英雄達と，彼らの歴史的なイベントをベースとして制作されたミッションです。プレイヤーはこの歴史ミッションを通じて，戦争に参加するとか秘密暗殺の任務を遂行するとかなど，普通のフィールドでは経験することができなかった新しい体験が可能になっています。

4Gamer：
　三国志のストーリーを完璧に把握しているプレイヤーはかなり有利になりませんか？　もうちょっとそのあたり，詳しく教えてください。

Lim氏：
　そうですね……例えば，黄巾賊を討伐するストーリーにプレイヤーが参加するとか，馬超から曹操を護衛しながら最後には馬超と対戦を行って曹操を救出するなど，原作の中の事件をプレイヤーがクリアして進んでいくのです。

4Gamer：
　いま歴史ミッションをブースで体験できますか？

Lim氏：
　黄巾賊や曹操などの歴史ミッションは，クリアまでかなり時間がかかるので，現在ブースのプレイアブルバージョンには実装していません。ごめんなさい。
　現場で公開されているプレイムービーでは，歴史ミッションの中の一つのものとして，PvPミッションが実装されています。5人組みのパーティ二つが，決まった時間内に中央の橋まで進みながら，どっちが高い点数を獲得するかという競争ミッションです。

4Gamer：
　その点数はどんな方法で獲得できるんですか？

Lim氏：
　中央のPvP地点まで進む途中，モンスターがずっと登場します。弱いモンスターを倒せば5点，中ボス級モンスターを倒せば20点，最終ボスを倒せば40点，相手チームのプレイヤーを倒せば20点を獲得できます。それらを合算して，点数の高いチームが勝ちとなります。

4Gamer：
　では，そのPvPミッションでプレーヤーが得られるものはなんですか？　経験値とか？

Lim氏：
　PvPミッションは，経験値を得られません。その代わり，名声値を得られます。その名声値は，今後の攻城戦への参加資格を判断する数値として使われたりしますし，一定以上の名声値を持っていれば得られるアイテムなども存在しますよ。

4Gamer：
　しかしPvPミッションに参加するプレイヤー達にレベル差があった場合，対戦システムとして不平等じゃないですか？

Lim氏：
　そのとおりですね。それなので，プレイヤーがPvPミッションを申し込んだときに，サーバーが自動でほぼ同じレベル帯の相手プレイヤーをマッチングしてくれるシステムを作っています。

4Gamer：
　PvPミッションもやっぱり歴史をベースにして行うんですよね。

Lim氏：
　もちろんです。PvPミッションは単純にパーティを作って行いますが，一騎当千でギルドを意味する“義兄弟”（50名まで加入できるギルド）同士だけが行えるPvPはもちろん，PvEミッションも存在します。
　歴史的な事件のその歴史上の重要度によって，レベル帯も分かれています。例えば黄巾賊討伐ミッションは20レベルのプレイヤーが5人集まって対戦しますし，曹操の救出ミッションは40レベルのプレイヤーが10人，一番重要な事件である赤壁の戦いは，60レベルのプレイヤーが20人集まって行うなどという具合になっています。

■一定時間の緊張をキープしなくてはならない
■リアルタイム攻城戦

4Gamer：
　なるほど，そういうシステムになってるんですね。しかし一騎当千の最終目標となる天下統一のためには，MMORPGで人気の高いコンテンツである「攻城戦」が必要かと思います。攻城戦について少し教えてください。

Lim氏：
　攻城戦は，現在最高レベルに設定されている60レベルになったキャラクターが，自分の義兄弟の構成メンバー達と一緒に行えるものです。攻城戦に参加するためには，既存のミッションプレイを通じて，ゲームマネーやアイテムをたくさん集めたり名声値を上げたりすればOKです。
　本作には，原作に登場する中国全土の40個の城を全部表現してあるわけではありません。現時点では，地域的に重要な11か所の城が実装されています。各義兄弟は，モンスターが占領している城を攻撃するために，まず申し込みを行います。そこでもしAという城を多くの義兄弟が申し込んだ場合，サーバーからシステム的に，義兄弟ミッションをたくさん行ったギルドや義兄弟レベルが高いグループに優先権を与えるようになります。しかし1回敗れると，2週間攻城戦の申し込みができなくなります。

4Gamer：
　本作の攻城戦の特徴的は何ですか？

Lim氏：
　リアルタイム攻城戦，でしょうか。例えば，6時から9時までが攻城戦タイムだと決めていた場合，Aという義兄弟グループが6：30にBという城を陷落させて新しい城主になっても安心はできません。攻城戦タイムが終わる9時までは，周辺の城を持った義兄弟はBという城を攻撃することができるから，攻城戦タイム中には最後まで緊張をしなければならないのです。

4Gamer：
　なるほど。プレイムービーを見ると攻城武器も登場するように見えますが，実際はどうですか？

Lim氏：
　義兄弟のリーダーが保有している攻城武器アイテムを，攻城に出場するギルド員に贈れば，そのギルド員が攻城武器アイテムをクリックすることで使用できます。

4Gamer：
　義兄弟のリーダー（いわゆるギルドマスター）は，どんな方式でほかの城を攻撃することになりますか。

Lim氏：
　まず，ギルドマスターだけが見られる戦況板（全体ワールドマップと各城を連結する道に表示されている板）を通じて，「攻城戦タイムに，隣の城に自軍10人を派遣して攻撃する」と設定すれば，ギルド員は自動で隣の城へワープします。そこで多様な戦術を用いて，城内の武器庫や食糧倉庫などを占領していけば軍の士気が上がります。

4Gamer：
　非常に多彩な攻め方ができる攻城戦になりそうですね。ところで，一騎当千の展開スケジュールが以前の発表とは違って少し延期されていますが，そのあたりはどんな感じでしょうか。

Lim氏：
　さまざまな事情によって，2007年初頭に延期しました。申し訳ありません。まずは中国，台湾などの市場でサービスを始め，それ以後，韓国と日本でもサービスを行う予定です。よろしくお願いします。

4Gamer：
　お忙しいなか，ありがとうございました。