インタビュー
新たに中国展開が決まった「三國志 Online」。中国市場とはどのような特徴を持っているのか,上海にてインタビューしてみた
今回,コーエーの開発/運営部門を代表して,同イベントの視察,および「三國志 Online」の中国展開準備などのために上海を訪れていた,「真・三國無双 Online」開発プロデューサー 藤重 和博氏と,「大航海時代 Online」運営プロデューサー 渥美 貴史氏の両名に時間を取ってもらえたので,コーエーの中国での展開について,そして中国という市場にについて話を聞いてみた。
真・三國無双がChinaJoyに初出展――無双シリーズは中国でも凄い人気
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回のChinaJoy 2008では,天希ブースで中国版「真・三國無双 Online」(以下,無双Online)が,かなり大々的にプロモーションされていましたね(関連記事)。
はい。やはりコーエーにとって中国は,「大航海時代 Online」の中国展開がずっと続いているように,積極的に取り組んでいこうという地域の一つなんです。それは無双Onlineでも同じで,1年以上準備してから,2008年5月の頭にサービスインしてから順調に展開しています。そんな中で,今回のChinaJoyに出展することは,大きくプロモーションをかけて,ジャンプアップさせていくのに,ちょうど良い機会になると考えました。
4Gamer:
プロモーションといえば,いま中国でとても有名な台湾歌手“周杰倫(ジェイ・チョウ)”さんを起用して,もの凄くプッシュしている形になっていますよね。驚きました。
藤重氏:
起用できると分かったときは,我々も驚きました(笑)。中国で有名なのはもちろんですが,日本でも武道館で歌ったほどの方ですし,漫画「頭文字D」の実写版映画で藤原拓海役を演じていた方ですから,知名度は非常に高いです。しかも,“無双”という曲を作って,本人が歌ってくださっています。その歌のプロモーションムービーは,まさに無双Onlineのオープニングムービーというような,物凄いムービーに仕上がっていました。
4Gamer:
日本でいえば,例えばSMAPの木村拓哉さんのように,幅広く人気のある有名人でしょうから,その反響は凄かったと思います。それによって,中国での無双Onlineの知名度に大きな変化はありましたか?
藤重氏:
知名度という点では,以前に中国でも“真・三國無双 2”などを正式に発売しているので,そちらでプレイされた方も多いと思います。それに加えてジェイ・チョウさんのプロモーションの影響もあるのか,ChinaJoy会場でのコスプレの方もそうでしたが,三国志のコスプレといえば真・三國無双のコスプレというように,我々の期待以上の広がりを見せています。
渥美 貴史氏(以下,渥美氏):
具体的な数字は申し上げられないんですが,新作の無双シリーズのトレーラームービーをGAMECITY上にアップすると,中国からの接続がもの凄く多いのですよ。それくらい,無双シリーズが浸透しているのは間違いありません。
藤重氏:
プロモーションの件もそうですが,積極的にブース展開して盛り上げてくれて頼もしいパートナーだなと思います。
4Gamer:
中国でのパートナー,上海天希網絡技術有限公司ですね。同社はコーエーからみて,どのようなパブリッシャなのでしょうか。
藤重氏:
一言でいうと,すごく無双が好きな方たちの集団です。無双Onlineのことで話すと「無双のこのキャラはこうだ!」といったこだわりが凄くて。
4Gamer:
ということは,ローカライズにあたっても,こうして欲しいという濃い要望も?
藤重氏:
ありますよ。ユーザーの動向や反応など,市場を分析した上でのリクエストにとどまらず,無双の大ファンでいてくださるからこその,熱い要望をいただいています。このキャラのクエストを増やして欲しいとか,この武器を“自分が好き”だから入れて欲しいとか(笑)。
4Gamer:
好きな武器は,シリーズ好きでないと言えませんね(笑)。現在,中国版のバージョンは,Revolution2以前となる「飛将呂布」ですが,次のバージョンになるまでの期間はどれくらいを予定していますか?
藤重氏:
できる限り早く中国のプレイヤーに届けたいと思っています。最初のサービスインまでは,日本のリニューアルから半年ほど期間が開きましたが,できる限り縮められる体制を整えていきたいです。
渥美氏:
体制が整えばどの地域でも,平均的に3か月あれば出せるようになります。最初のうちはやはり期間が開きますが,コンテンツの消費スピードを考えながら少しずつ前倒しして,最終的にはそれくらいの日数に落ち着かせていきます。
4Gamer:
たしかに,ローカライズの必要量も,スピードも変わってくるでしょうね。
藤重氏:
無双Onlineではやり方を変えて,仕様によっては中国版に先に入れているという,より地域に合わせた形にチャレンジしていこうと考えています。
4Gamer:
先日のインタビューでも,各国のニーズへの対応についてでお話されていましたね。ちなみにすでに中国側からの要望で実装されてから,日本に来た仕様もあったりするのでしょうか。
藤重氏:
ギルドのシステムを日本では7月の大型アップデートで導入しましたが,実は中国ではサービスインの時から入っていました。このように,無双Onlineの仕様としては大きく変わらないけれど,その地域のニーズの強さによって多少の変化が必要だと考えています。一気に仕様をドカンと入れれば良いわけではなく,どういう順番で入れていこうかというとき,地域にあわせたニーズの強さに合わせて入れていくということを,無双Onlineでは試しています。
渥美氏:
こう話していると簡単そうに聞こえます。しかし,大航海時代 Onlineで海外展開をやっているので分かりますが,地域ごとに優先順位を変えてやるというのは,同じ社内から見ても凄くチャレンジングで尊敬できることです。今後,これが良い流れでいけば,順次ほかのタイトルでも,よりフレキシブルな方法が行われていくでしょう。
4Gamer:
ちょっと考えてみれば,海外展開で一つのプログラムを順番に管理するのではなく,地域によって一つ一つのモジュールをバラバラに管理しているというのは非常に大変そうです。
渥美氏:
ええ,バージョン管理も当然大変になります。
自分でいうのも何なのですが,実際にバージョン管理などは凄く大変です。プレイヤーの皆さまからは見えない部分ですが,これまでと同じやり方ではなく,細かく工夫しないとゲームのバランスが取れなくなります。
渥美氏:
地域が増えると何倍ではなく,何乗という単位で作業が増していくことになります。まだ,2地域くらいならそれでも管理はできますが,日本・韓国・台湾・中国と4地域になると,もう相当なチャレンジかと。
4Gamer:
たしかに,ある地域に特定の仕様を入れたとしてバランスを検証する作業が大変そうです。実際に,海外で先に導入した場合,検証はどれほどのものなんでしょうか?
渥美氏:
そうですね。日本で最初に導入すれば,やはり日本の市場なのでダイレクトに検証ができます。しかし海外の場合は,コーエーの中国語がわかる人員で調べるときであっても,中国の運営から情報をもらうときであっても,どちらにせよ間接的にワンクッションを置いた反応を知ることになります。
藤重氏:
ですので,この仕様を入れるとこういう反応になるのでは――と,先に想定しておいたものを伝えておいて,そこからすぐフィードバックしてもらえるようにしています。弊社は天津と北京にスタジオを持っているので,そこのスタッフにも事前に伝えて,反応をいろいろな方面から入手できるように工夫はしています。
4Gamer:
先に知りたい反応の種類を伝えておけば,その反応の度合いを測りやすいですね。では,無双Onlineについて,中国ならではの今後の展望などがありましたら,教えてください。
藤重氏:
日本と中国の違いは,ニーズ的なものもありますが,何より単純に地域の人口が違うという部分があります。ご存知のように中国は,日本の人口の10倍という市場なので,より多くのお客様に楽しんでもらえるゲームができるのではないか,そういう可能性に賭けられるのは,作っていく立場として単純に楽しみです。また,日本の10倍という人口や,文化背景の違いによる独自ニーズが出てきたとか,日本とは違った新しいチャレンジが必要な“壁”が出てくると思います。そういった新鮮なチャレンジに取り組める可能性が残っているのは,嬉しい市場だと考えています。
4Gamer:
なるほど,たしかに単純計算ではありますが,プレイヤーが10倍いれば,それだけ多くの意見や発想が生まれそうです。そこから,コーエーとして新しいチャレンジの場が生まれる可能性も高く,やりがいのある市場であるということですね。
三國志 Onlineの中国展開が決定――三國志シリーズで,三国志に興味を持つ中国人も
4Gamer:
では同じく本日(7月18日),「三國志 Online」(以下,三On)の中国サービスについてのライセンス契約の締結がプレスリリースで発表されたとのことですね。
はい。実は,今日はパートナーであるICE Entertainmentさんとずっと打ち合わせを行っていました。契約を結ぶ前までは仮パートナー的な形だったので,お互い表面的に話している部分があったりして突っ込んだお話はできていなかったのですが,今日は実際にいつCBTをやるのか,そのときの実装内容はどうするのかという深い話ができました。
4Gamer:
中国サービスに向けてまさにスタートを切ったという感じですね。では,今度はICE Entertainmentについて印象をお聞かせください。
渥美氏:
ICE Entertainmentさんの全般的な印象は,非常に勘所が分かっている会社だということです。今まで何社かパートナーさんとやり取りさせていただいたんですが,クローズドβテスト,オープンβテストと始まるまでに,いろいろと越えないといけない山があります。とくに課金や接続のキャパシティなどが重要ですが,そういった部分よりプロモーション面のご要望が多いパートナーさんもあります。しかし同社は,技術的なところをしっかりと押さえ,かつ中国のプレイヤーに受け入れられるためにはこういったところを直して欲しいというような,長期的な展望も考えて,いろいろアドバイスや要望を出してくれる会社だと感じました。
4Gamer:
なるほど,外見よりも中身を重視している,そんなパブリッシャのようですね。そういえば中国に展開すると聞いて気になっていたのですが,三Onといえば,敵にいわゆるモンスターが登場します。三国志という題材とそういった要素について,中国でギャップが感じられたりはないのでしょうか。
渥美氏:
今回,ChinaJoyでも思いましたが,三国志という題材に対してどこまでファンタジー性を入れて良いんだろうか? という冒険の幅が,中国の場合は思った以上におおらかだなと感じました。
4Gamer:
史実的なものだけでなく,ファンタジー的なものも受け入れられると。
渥美氏:
例えばChinaJoyで見た三国志物のモンスターのデザインなど……ここで,モンスターという時点でもうファンタジーですね(笑)。アクション系の要素でも,誇張の度合いが我々が考えているものより踏み込んでいる印象があります。
藤重氏:
今日のChinaJoyの会場を見て,三国志という世界のバリエーションの多さを感じました。
4Gamer:
三国志の本場である中国も,三国志に対していろいろな考え方があるということでしょうか。
藤重氏:
それだけ,逆に身近な存在なのではないかと思います。
4Gamer:
なるほど,たしかに日本でも神話はもちろん身近な物語をさまざまな解釈で描いたり,パロディーにしたりするのは,ごく普通ですよね。
藤重氏:
そうです。日本の戦国物にもいろいろな戦国物の解釈がありますね。
4Gamer:
ところで,ChinaJoyの会場や先ほどのお話にもあったコスプレでも思いましたが,コーエーの“三國志”シリーズが中国に相当影響を与えていますよね。
私が何度か中国を訪れて分かったことですが,いろいろな方とお会いするなかで,“三國志”シリーズの,これを遊んだ,あれを遊んだという声を良く聞きます。驚いたのは,弊社の「三國志」で三国志に興味を持ったという人が何人もいたことで,そういう意味では感慨深くて嬉しいです。“三國志”シリーズは,この中国という場でも影響を与えられているソフトなんだと実感できました。
4Gamer:
コーエーの歴史シミュレーションゲームから,歴史に興味を持つということは,日本でもわりとよく聞く話ですが,中国でも同じ現象が起こっていたとは……。大航海時代 Onlineをプレイして,考古学的なものに興味を持った私が言うのもなんですが(笑)。
ちなみに,三國志 Onlineでは,無双Onlineと同じような展開……例えば,アップデートを地域ごとに別々に行うといったことを考えていますか?
渥美氏:
まだ,そこの段階まではお話していなくて,要望自体をいま頂いているところです。そのなかには日本の運営が出ていないものもあるので,それは中国独自の仕様になる可能性もあると思います。
4Gamer:
それはそうですよね,ライセンス締結されたばかりですから。
といっても,頂いたその要望を並べてみると相当大きな分量になります。先ほどICE Entertainmentさんの印象の話がありましたが,例えばこのように相当な分量の要望をもらったあと,パートナーからの希望は大きく二つに分かれます。一つは,時期を大切にするパートナー様です。例えば,春節といった出すのに良いタイミングがあって,そのタイミングに合わせたいから,要望はあるけれど時期を優先して,それらは後回しで良いと考える会社。
もう一方は,これだけの要素は入れたうえで,オープンβテスト,正式サービスに入ってもらわないと困るというパートナー様です。問題がないか検証するために,ちゃんとクローズドβテストを回数を分けてやろうという慎重な会社。
ICE Entertainmentはどちらかというと後者という印象があります。そういった意味でも,いただいたたくさんの要望に対応するため,コーエーサイドの体制を,今後もっと強化していく必要があります。
4Gamer:
そこからも中身を重要視していることが伺えますね。では,仮に地域ごとにアップデートを行った場合,変更の影響を受けにくいアクションゲームとは違って,MMORPGでは,その場での仕様によって,非常に影響を受けやすいと思いますがそこはどうでしょうか。
渥美氏:
もちろん基本的に,芯の部分は変えないで全地域で1本で通していきます。あとは枝葉の部分で,各地域ならではの部分で吸収していくというのが基本的なスタンスになるでしょう。
藤重氏:
また,三Onでも無双Onlineでも同じですが,弊社のオンラインゲームを4本作っている中で,例えば単純に何も考えずにもらった意見を入れていけば,全部同じゲームになってしまいます。短期的に見ればプレイヤーのためになるかもしれませんが,長期的にみれば特徴が一つに寄っていってしまうので,本来プレイヤーが楽しんでいたものとは違ったゲームになってしまいます。
それぞれのタイトルにテーマがありますが,そういったテーマを保って提供していくことが大切です。そういったテーマを基に何年もかけて物を作り,それに合わせてチューニングをしていく。幹から外れないようにしないとゲーム自体が成立しなくなります。
渥美氏:
例えば三Onであれば,500対500の合戦が一番の華なので,その華である合戦および,そこにいたるメインの道筋といった部分は,どの地域も共通といったものになると思います。
4Gamer:
合戦は三Onの根幹ですから,そこは崩せませんね。
渥美氏:
ちなみに,三Onの強みは,ローカライズしやすいところです。元々シンガポールのスタジオで,グローバル展開を想定した上で制作されていますし,現地には中国語が分かるスタッフもいますし,その意味でもベースとしてシンガポールで作れたというのは良かったです。我々はオンラインゲームを開発するにあたっても,日本だけで展開して収益を上げるのではなく,海外展開を含めたビジネスとして考えています。
4Gamer:
たしかに,コンシューマ機にしても,オンラインゲームにしても,生き残りのために海外展開が必要なのかもしれません。そういえば,三Onは,もともと英語で作っていて,例えば氷雪峰が“Ice Cave”と呼ばれているというお話を聞きました。英語ベースのものを,最も得意な言語である日本語にして提供しているわけですから,そこから欧米を含めて世界展開もしやすそうです。実際に,中国や韓国,台湾といった東アジア以外での展開などは考えていますか?
藤重氏:
楽しんでいるお客さんがいるなら,どんなところでもやっていきたいです。東アジアにこだわるつもりはありません。最終的には環境やビジネスの問題はありますが,どこでもやります。
4Gamer:
プレイヤーが求めるなら,世界で展開していくということですね。ちなみに,アメリカ,ヨーロッパ辺りでは,三國志というタイトルはどうなのでしょうか。
コンシューマ版ですと欧州よりもアメリカの方が人気が高いようです。欧米でも無双のファンサイトが結構ありますが,お名前からはアジア系の方がプレイされていることが多いようです。
4Gamer:
なるほど,そういったところにも十分な市場があるのですね。
藤重氏:
そうです。最近はそれに加えてコスプレ好きの方がアメリカでも増えてまして,青い目の趙雲とかが見られるようになりました(笑)。
4Gamer:
ローカライズされてゲーム内に金髪の劉備が! とか,それじゃ違うゲームですよね(笑)。
コーエーの見る中国市場――技術的ハードルの高さが克服できれば
4Gamer:
話を戻してまして……では,コーエーとして中国という市場をどうみていますか?
非常に大きな市場であるのは間違いないです。先ほどもお話していたように,とにかく人口が多いですから,当然プレイヤー数も多くなります。しかし中国の市場は,中国独自の事情があり,そこを解決するのが実は大変です。例えば通信環境とかでも,距離や遅延の問題があったり,プレイヤー数の多さに対して接続数のキャパシティを一段高く見積もる必要があるなど,技術的に高いハードルがあります。しかし,言い方を変えれば,その中国市場で対応できれば,ほかの地域へもっていくときに,対応への条件はより易しくなると言えるかもしれません。
藤重氏:
無双Onlineも最初,中国で同じように動かすために,見えない部分をすごくチューンアップしていきました。そして中国でうまく動くと,逆にそれを日本でも適用しています。
4Gamer:
中国で回線環境を改善した結果,チューンアップされたシステムが日本版でより快適になるという相乗効果が生まれているんですね。
渥美氏:
はい。また,市場の大きさの面と技術面の二つ,これに加えて付け加えるならば,ビジネスモデルというかキャンペーン,中国ではそういった部分にも,日々新しい仕組みが生まれています。日本でオーソドックスな月額制を採用している我々からすると,中国の市場では,“え!こんなやり方あるの?”という提案がパートナーさんから実際にきたりして,これに対応していくのは,なかなか面白いです。
4Gamer:
まだまだ中国には,面白いビジネスモデルが埋もれているかもしれないと。どんなやり方を提示されたのか気になりますね。そういえば,ChinaJoyの会場を見て思いましたが,ここ数年で三国志をテーマにしたMMORPGが中国産でたくさん登場していますが,何か注目しているものはありますか?
渥美氏:
いま,中国で三国志を題材にしているタイトルはとても多いです。だからこそ,どれか一つというよりも,それらすべてに対して注目し,上回るものを出していかなくてはいけないと,改めて痛感し身の引き締まる思いです。さきほど,“コーエーの三國志”ということで,ブランドイメージを知ってくれた方が多かったと話しましたが,そこは驕ってはいけないなと感じました。
藤重氏:
そうです。逆にしっかりと作っていかなければいけないと,改めて感じました。
4Gamer:
これから追い上げてくるであろう,中国の“三国志”との勝負になりそうです。これからの展開を期待しています。本日は,ありがとうございました。
ChinaJoy 2008の期間中という忙しいなか,インタビューに応じてくれた両名。実は今回,「三國志 Online」のライセンス契約やミーティング,ChinaJoyの視察のために,コーエーのオンラインゲームに携わるプロデューサー,ディレクター達の多くが上海を訪れていたという。それだけ,中国という市場の可能性は,コーエーにとって大きなものということだろう。
オンラインゲームは供給過多気味になり,“次世代機”と呼ばれるコンソール機の普及が,いま一歩明るい状況になりきれないでいる昨今の日本のゲーム市場は,コンシューマ機を含めPCゲームにおいても,日本限定での市場で考えることが厳しくなっている。多くのメーカーにとって,人口的にも大きな市場である,アメリカ,ヨーロッパ,そしてアジア諸国での展開は,ビジネスとして重要なポイントになりつつある。
そして三國志 Onlineの中国展開について聞いたときの渥美氏の言葉にもあるように,コーエーもまた“海外展開を含めたビジネス”を見据えて開発している。そのなかで,大航海時代 Onlineでの経験も踏まえつつ,中身をちゃんと理解してくれるパブリッシャが大切であるという考えのもと,中国での展開を進めていくのだ。
中国でのビジネス面はもちろん,技術面などに大きな壁があるからこそ“楽しみであり面白い”という発言には,まだ先へ先へと進んでいこうという,コーエーのチャレンジ精神が垣間見られるのだ。
中国のプレイヤーに,大きな影響を与えているという“コーエーの三國志”。あとを追ってくるのは,コーエーの影響を受けた,もしくは育った開発者達である。今の結果に驕ることなく,より高みを目指していく。今後は中国の展開はもとより,世界で展開していくであろうコーエータイトルの今後に注目したい。
(2008年7月18日 上海ホテル内にて収録)
- 関連タイトル:
三國志 Online
- 関連タイトル:
真・三國無双 Online Z
- 関連タイトル:
大航海時代 Online
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