連載
筆者のキャラクターは,ここまでのレベルアップをほぼ軍略のみで行ってきたといってもいいくらいの軍略漬けだ。なにしろ軍略をする徒党には参加も離脱も非常にしやすいのだ。時間的・場所的な拘束は緩く,経験値獲得効率は高い。また,グループプレイなのでほどよい緊張感を維持しつつ遊べるのもよい。
筆者はどちらかといえば,自分から人を集めるよりも募集に応じて遊ぶことが多いのだが,軍略だと比較的メンバーチェンジの機会が多いので,徒党の党首(リーダー)権限が突然こちらに回ってくることがある。そんなときは,もちろんちゃんと自分からメンバー募集をかけたり,勧誘をしたりする。普段そんなにしない行動なので,これがまた新鮮な感覚で面白かったりするのだ。
そんなこんなで戦闘能力レベルは30程度になった。ここで現在の日常的なプレイがどんなものか振り返ってみたい。
普段,買い物や生産は長安で,合戦や軍略への参加は呉の都である建業で行っている。プレイ中はだいたいこの二つの都市のどちらかにいる感じだ。ほかの勢力に所属している人も,都の位置が違うだけできっと同じパターンが多いだろう。
フィールドゾーンで狩りをして過ごす時間は,現状ではほとんどない。生産材料の採集のためにピンポイントで出掛けることはあるのだが,それ以外ではほとんどフィールドをうろつかないので,まだ訪れたことのない馬屋もあったりする。だから景観やモンスターの配置といったフィールドゾーンの特徴については,まだまだ味わえていないのかもしれない。
長安で自動販売PCからよく買い求めるのは,自分では採ったり作ったりできない生産材料だ。それらを購入できれば防具は自分の生産スキルで作成できる。武器は作れないのでこちらは材料と同様に買い求める。武器防具は2レベルごとに新しいものが装備可能になるが,そのたびに買い換えるのは金銭的に難しいので,何段階か飛ばして整え直している。
このところ気になりだした販売品は,技能を覚えるための「竹簡」だ。「三國志 Online」では,技能名の末尾に「〜・壱」とつくランク1の技能は町の師範から教えてもらえるが,そのアップグレードバージョンであるランク「弐」やランク「参」の技能は敵を倒したときなどに入手できる竹簡からしか覚えることができない。これまではそれほど気にせずにやってきたのだが,そろそろ重要な技能も分かってきて,その上位バージョンがほしくなってきた。レベル30台になると,もう新たなランク壱の技能はほとんど存在せず,アップグレードが中心になるので,ますます竹簡に目がいくようになってきた。
“誰もが欲しがる技能”と“そうでない技能”というのはやはり存在して,高いものは筆者のそのときの全所持金の何倍もの値段で取り引きされている。もちろん買えない。がんばって金策をする必要があるのかもしれない。
少しはその足しになるであろうと,長安ではしばしば自動販売の機能を使って自分では使わない生産材料などを売っている。自分を売り子状態にして一日中生産施設の側に立たせていたりもする。ものを売りたいもう一つの理由として,銭荘(銀行)のスロット数が足りなくなってきており,少しでもスペースを空けたいから,というのもある。いろいろアイテムがたまってきたので「一族倉庫」の機能を利用して同一アカウントの別キャラクターにアイテムを持ってもらったりといったこともしている。
基本的にはそんな日常を送りつつ,軍略メインでキャラクターを成長させ続けているが,もちろん三國志 Onlineにはこれら以外にもコンテンツが用意されている。今回紹介するのは「ダンジョン」そして「部曲戦」だ。
三國志 Onlineのフィールドゾーンには,さまざまなダンジョンがある。
ダンジョンの内部には多くの敵モンスターが配置されており,その難度はさまざまだ。いちばん難度が低そうなのはダンジョン「石林」で,入り口の敵のレベルは16,17程度である。ダンジョン内にいるモンスターは野外のものと比べて特別に強いというわけではないが,ほとんどの場所で複数の敵と戦うことになるような配置や仕組みになっているので,基本的には複数人の徒党で訪れることになる。
ダンジョン内に出現する敵には,“いかにも妖怪”“いかにも魔物”といった外見のものが多いので,野外での戦闘に比べ,ファンタジックな怪物退治の雰囲気が強く楽しめる。深部には“ボス”にあたるモンスターも待ちかまえており,これらは特別な強さを持つ手ごわい相手だ。しかしその分,討伐に成功すれば珍しいアイテムを得られるようになっているようだ。
ダンジョンにはフィールドと同じくパブリックなもののほか,その徒党・連合のメンバーしか入れない仕組みの「プライベートダンジョン」もある。
ゲーム内におけるダンジョンというコンテンツの位置づけは,作品によってさまざまだ。多くの場合,ダンジョンは“キャラクターを成長させるのに効率がよい場所”だったり“高品質なアイテムが入手できる場所”だったり“グループプレイの楽しさが実感できる場所”だったりする。
対して,三國志 Onlineのゲーム内におけるパブリックダンジョン(普通のダンジョン)の位置づけは,いまのところ,これらとは少し異なっており,おそらくもっとも現状に即した表現は“ほかの場所とは異なった雰囲気を楽しめる場所”となるだろう。プライベートダンジョンは,これに加えて“チームプレイの腕前を試す場所”にもなっている。
正直にいえば,いまのところ本作のダンジョンは,「合戦」や「軍略」などの,とくに人気が集中しているコンテンツに比べると,プレイヤーからの注目度はやや低いように見える。ただし今後,徒党がもっと組みやすくなったり,コンテンツのリバンプが行われたりした際には,冒険に出掛ける際のより有力な選択肢になる可能性は高い。今後が楽しみだ。
一方,実際に長くプレイを続けてきて分かったのだが,もうすでに数個以上の戦闘能力レベルが40に近いようなキャラクターを使う熟練プレイヤー達の間で人気が高いコンテンツに部曲戦がある。これは小さめの専用のマップで行われる部曲同士の対抗試合であり,合戦とはまた趣の異なった少人数での対人戦だ。
ルールは,敵を倒すことでチームに得点が入り,先に一定値まで得点したチームが勝つというシンプルなもの。一回の試合に要する時間は10分から15分程度。チームの最大人数は最低5人から選択できる。また部曲戦では「陣形」や「戦法」が使用できる。
部曲に所属して,その中心となって活動しているような,ある程度ゲームをやり込んだプレイヤーの間で,この部曲戦はかなり人気があるコンテンツとなっている。筆者自身も,これはかなり面白そうだという手応えを感じており,合戦よりも気に入っているくらいだ。
部曲戦は少人数同士の戦いなので,そこで“自分たちがいま何をしているのか”や“相手がどういう作戦できているのか”そして“その行動がどういう結果に結びついたのか”といったことが理解しやすい。合戦時には大局のなかに埋もれてしまいがちな陣形や戦法の効果も,部曲戦ではハッキリとした結果として現れる。そういったことが分かれば,納得のいく反省ができるし,そうなれば「もっと強くなるにはどうすればいいか?」ということを前向きに考えられて創意工夫をする楽しみが実感できる。
また少人数同士の試合では,大人数での戦いに比べて,一人一人の肩に掛かる責任も重いものになる。だからうまく戦えて勝利できたときには非常に大きな満足感が得られる。逆にうまくやれなかったときには大きな敗北感を実感できる。飛び上がるような嬉しさも,身を焼かれるような悔しさも,ガッチリと味わうことができる。
部曲戦は“部曲”同士の戦いなので,基本的には常に部曲の仲間とチームを組んで行う。日頃から勝つためにアイデアを出し合ったり,勝利の喜びや敗北の悔しさを何度も共に味わったりすることが,仲間同士の結束にどのような影響を与えるかは……説明するまでもないだろう。
部曲戦にはそういう大きな面白さと可能性がある。ただし,それだけの大きな魅力を秘めたコンテンツであるだけに,関わっていて「もっとこうだったらいいのに」と思わされる部分も多い。とくに,名前のとおり部曲同士の戦いなので(当然ながら)部曲に所属していないと楽しめなかったり,さらにその中でも実質的に部曲で中心となって活躍している人達だけの楽しみになってしまっているようなところがあるなど,少人数での対人戦コンテンツへのアクセスのしづらさに関しては大幅な改善を期待したいところだ。
連載の最後に,本作をまとまった期間プレイして,プレイヤーとして感じてきたことなどをまとめていきたい。
4Gamerにおいて何度か行われている本作のプロデューサーへのインタビューなどから読みとれるのは,このゲームの作り手の基本的なスタンスは,「自由な遊び場を用意するので,プレイヤーにはその中で思うままに遊んでもらいたい」というものである。つまり作り手は三國志 Onlineを,「ゲームを進めていく道程を作り手がすべて整えて,プレイヤーにはその作り込まれた道筋をまっすぐに進んでいく」というゲームではなく,「ゲーム内に選択肢としてたくさんのコンテンツを用意して,プレイヤーはそこから気に入ったものを選び取って遊んでいく」というゲームにしようとしているということだ。料理でいえば,前者はすべての料理の内容と順番がきっちり決められた“フルコース”に,後者は各人が好みのものを好みの分量で食べられる“バイキング”に例えられるかもしれない。
バイキング的である三國志 Onlineには,キャラクターを育てていくうえで選べる選択肢が多く用意されている。“ひたすらソロ”というプレイもできれば,即席グループによる軍略でもキャラクターの育成ができる。あるいは仲間と共にダンジョンを回ってキャラを育てるという方法も選択肢としては存在する。さらには,そもそも戦闘などせず,生産や採集のみで総合レベルを上げていくことも可能になっている。
プレイヤーがゲームをどのように遊んでくれるかは,実際にサービスを始めてみるまで分からない。想定外のことは必ず起こる。それならば,そこを無理に予測しようとはせずに,たくさんの選択肢が存在する世界でまずは遊んでもらい,ユーザーのリアルな好みや傾向を見極めたうえで,それに応じた調整をあとから行っていこう……。筆者にはプレイしながら,運営側のそんなスタンスが感じられた。
世にあるすべてのものと同様に,このバイキング式アプローチにも良い点と良くない点がある。良くない点からいうと,サービス開始後しばらくはプレイヤーの動向にムラや偏りが発生することが,初めから折り込み済みであるということ。大盛況なコンテンツができる一方で,あまり人が集まらないコンテンツも生まれて,一時的にアンバランスな状況ができあがる。大人気の料理の皿には人が殺到するが,不人気な料理は残ってしまうという,まさに“バイキング”的な状況だ。いまの三國志 Onlineにはそういう部分も見受けられる。軍略や合戦は活況を呈しているが,フィールドやダンジョンでは人をそれほどは見かけない。さらにいえば軍略は,その内部で遊ばれ方がかなり偏っている。部曲戦という料理は食べればとてもおいしいのだが,見つけにくい場所においてあって運良く手が届いた人しか食べられていない……といった具合だ。
だが,この状況は,計画通りに,徐々に改善されていくだろうと思われる。バイキング式の利点は,コンテンツ個別での調整が行いやすいというところである。アンバランスなところには調整が施されて,不足している要素があるところにはそれが追加されるだろう。人気があると分かった料理は,皿を大きくして乗せる量も増やして品切れにならないようにすればいい。残りがちな料理は味付けにさらなる工夫をすればいい。バイキング的な三國志 Onlineではそれができるのだ。
そして,そのようにして改良されたゲームは,リアルなプレイヤーの要求にピッタリと合致した内容のゲーム要素を数多く備えたものとなるだろう。しかも「フルコース式のゲームでは持ち得ない選択肢の多様さを保ちつつ」である。おそらく,これがバイキング式アプローチの良い点だ。
このような作り手側のスタンスの効き目は,これから先どんどん現れてくるものと予想する。まず初めに手が付けられたのは「合戦」の磨き上げと「三国志らしさ」の強化であった。それらが落ち着いたら,今度はPvEコンテンツの改良や,小規模PvPコンテンツの整備などがきっと行われるのだろう(願望)。そしてそれらと並行して,誰の目にも分かりやすいアップデートとしてゾーン追加・装備品追加などコンテンツの増量も行われるはずだ。
リアルな運営からリアルな反応を得て,三國志 Onlineはユーザーのニーズに合わせた進化を遂げていくだろう。初めからギッチリ固めて組み上げたのではなく,進化の余地を残しつつ,余裕を持って束ねられているゲームである三國志 Onlineではそれが可能なはずだ。その大きな可能性ゆえに,これからの成長が非常に楽しみな作品である。
さて,この原稿を書いている時点での筆者のキャラクターは,戦闘能力レベル35を目指してレベリング中,というところだ。「防御」以外のレベルはまだほとんど上げていないので,熟練プレイヤーから見れば,まだまだ「そろそろ中級者といってもいいかな?」ぐらいのものだろう。他方,生産のほうはレベル30を超えたところ。30から先の道のりは,これまでのものよりもだいぶ厳しく,実は少し停滞気味だ。二人目のキャラクターを作って別の生産技能も試してみようか,なんてことも検討中である。とにかくまずは現時点での上限である“防御レベル40”が目標。そうなればアクセス可能なコンテンツの幅はさらに広がる。まだ触れたことのない楽しさに出会えることを期待しつつ,今日も碧空の下でのプレイは続く。
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