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[E3 2005#104]”生きた世界”を追求する「The Elder Scrolls IV:Oblivion」
そのMorrowindの続編が,「The Elder Scrolls IV:Oblivion」だ。世界的にも注目度の高いこの作品,今回のE3では,クローズドなブースでのみ,開発者の手による紹介が行われていた。
今回,ブース内での撮影は一切禁止されていたので(このページに掲載したスクリーンショットは,すべて公式サイトにあるものと同じだ),文字のみでのレポートとなるが,会場で分かったことをできる限り詳しく紹介したい。
ゲームを操作しつつ作品紹介を行ったのは,Bethesda SoftworksのTodd Howard氏。彼によれば,本作の開発は何年も前から行われており,その当初から次世代の技術/プラットフォームに狙いをつけて作業を進めていたという。
会場正面のモニターにゲーム画面が映し出された瞬間,20人程度の客席からは,一斉に息を飲む気配が感じられた。3Dモデルの細かさや,オブジェクト表面の質感からは,確かにこの作品が次世代のものであることが実感できる。
プレイヤーキャラクターがスラリと剣を引き抜くと,視界内に入ってきた剣の束に施された精巧な細工が光を反射する。ここでもまた客席の空気が動いた。続いて牢屋内に衛兵と皇帝らしき人物が登場し,次々に会話を交わしていく。キャラクターボイスはかなり多く,製品DVDに収録されるデータの半分以上は音声のデータだということだ。ボイス収録には有名な俳優が多数参加しており,いましゃべっていた皇帝の声は,なんとパトリック・スチュワート(「新スタートレック」のピカード艦長役が有名)が演じているという。
もちろん。Radiant AIの凄さは会話だけにあるのではない。NPCが世界内のオブジェクトに対して自律的に行動できる点も,要注目だ。実演ではいかにも"町の人"といった感じの女性が,自分で床に落ちている弓を拾い上げて撃ち始めた。その横にいた犬もRadiant AIで制御されており,餌を自分から食べ始めるといった本物らしい動作を繰り返していた。そのほか,"NPC同士"のやりとりなども動的に制御できるようだ。
つまり,この仕組みがうまく働けば,Oblivionで描かれる町には突っ立ったまま同じせりふを繰り返すようなNPCは存在せず,プレイヤーの目の前に躍動感のある生き生きとした町や村が広がることになる。
最後に「ファスト・トラベル」機能を利用して,主人公キャラクターを雨の降る廃墟まで移動させた。味方NPCと共にモンスターを蹴散らしながら進むと,眼前に怪しく光るポータルが見えてくる。そこから敵のリーダーらしきモンスターが現れて,主人公達と対決する……もうここまでくると,いちいち「美しい」とか「綺麗だ」とか言うのが面倒臭く思えるくらいで,当たり前のようにグラフィックスは精緻,かつ見ていて引き込まれるものとなっていた。
「コンピュータの中に現実とは違うもう一つの世界が広がっていて,そこを誰に強制されることもなく冒険できたら……」。RPGを遊ぶ人達は,誰もがそんな体験を夢見て新作をインストールし続ける。ゲーム開発者達はより深い経験を提供するべく,技術に磨きをかけてきた。Oblivionは,そんなRPGのステージの最先端に位置する作品だと言い切ってよさそうだ。英語版の発売予定は2005年の第4四半期となっている。この世界を満喫できる日が来るのが,待ち遠しくてしょうがない。
ところで,筆者には本作の開発者にどうしても聞いてみたいことがあった。それは,UNICODEや2バイト文字を使った他言語への対応についてだ。
というのも,前述のように前作「The Elder Scrolls III:Morrowind」の国内ファン達は非常にパワフルで,オリジナルの日本語化Modなども制作していたのだが,ゲーム内に日本語がうまく表示できずに不自由な思いをしていたのである。内覧会終了後に担当者をつかまえて聞いてみたところ,「Oblivionは2バイト文字などを使った複雑な他国言語へ対応している」との嬉しい答えが返ってきた。それであれば,オフィシャルな日本語版の可能性も期待できるのかもしれない(その翻訳量たるや,想像を絶するものがあるが……)。 (ライター:星原昭典)
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The Elder Scrolls IV: Oblivion
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