インタビュー
生産システムを皮切りに「TANTRA」が変わる。年末から来年にかけて大幅アップデート
大型アップデート「序曲」を年内3回にわたって実施
序曲の第一弾として10月31日に実装されるのは,「第一章 創造の系譜」だ。ストーリーは,「忘れられた鍛冶場」の封印が解かれ,自然界に存在する神々の恩恵を具現化するという,ブラフマー神が生み出した古代の「秘術」が復活するというもの。かつて黄金期と呼ばれ,三主神が君臨した時代の産物が,このタイミングで甦るのは偶然なのか,それとも……といったふうに,まさに以降の展開を導くような内容となっている。
ガンホー本社を訪れて,この新システムを一足先に体験し,今後の展開についても少しだけ話を聞いてきたので,その概要をお伝えしよう。
強力なアイテムの生産を可能にする「秘術」システム
秘術システムに関わるNPCは,レベル40前後を対象としたヤマトマップに配置されているが,習得自体にレベル制限はない |
秘術の習得に関しては,とくにキャラクターレベルなどの制限はないが,主にレベル40以上を想定しているとのこと。これは秘術関連のNPCがレベル40前後を対象としたマップ上に配置されていることが理由なので,ワープなどを利用してたどり着くことさえできればレベル1のキャラクターでも問題なく習得できる。
秘術の材料を入手するには,専用の道具が必要。武器スロットを使用するため,武器との併用はできない |
なお一定の手続きを踏めば,錬金術→錬丹術のように他方の秘術に切り替えることも可能だが,秘術レベルなどが引き継がれることはなく,一から習得し直しになる。
一方の錬金術は,マップ上の岩を素材とし,新たな装備アイテムの「兜」全20種類や,「腕輪」「イヤリング」「指輪」に特殊な能力を付与するアクセサリー精錬が可能となる。いずれもこれまでにない強力なものになるという話だが,それゆえに鋭意調整中とのことで,取材時点ではプレイヤーの最大の関心事であろう各装備の具体的な能力を聞き出せなかった。これらの真価に関しては,残念ながら実装後の発表を待つことになりそうだ。
採集した材料を使用して,アイテムや新たな材料を生産する。成功すると熟練度が上がり,より強力なアイテムを生産できる |
序曲 第三章で実装予定の「廃墟地域」。調整中とのことで,詳細は後日の発表を待たなければならない |
そのほか序曲第一章では,スキルスロットが3段まで表示可能になる,マーラ(モンスター)の名前表示の色がレベルに応じて変わる,インベントリ内での精錬アイテムのスタックが可能になるなど,随所にプレイしやすさを考慮した細かい変更が施されている。
また,続く序曲第二章では「ギャンブルシステム」「賞金掲示板」「14次天晶武器」が,第三章では「廃墟地域」「ターゲッティングシステム」が実装される。いずれも11月以降,順次詳細が発表される予定となっているので,気になる人は忘れずにチェックしてほしい。
「TANTRA」2008年春以降の新展開に向けての意気込みを聞く
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。2007年5月以来の大型アップデートである「序曲」が年末にかけて実施されるとのことで,まずは大まかなコンセプトを教えていただけますか?
プロモーション担当 岩塚 守氏(以下,岩塚氏):
実は細かい修正や調整も多く,地味な部分も多いアップデートです。ただ,このアップデートがないと次の展開には繋がっていかない,まさに新しいストーリーの始まりともいうべき重要な存在ではあります。そうした意味を込めて「序曲」と名づけています。
4Gamer:
今回のアップデートでは,新規プレイヤーの獲得と,既存のプレイヤーに向けたコンテンツの充実の,どちらを重視したものでしょうか?
岩塚氏:
マーケティング面から見ると,まず新規の方にプレイしていただきたいというのがあります。TANTRAの売りとしては,これまで対人戦の面白さや,ロースペックのPC,例えばノートPCでもプレイできるという点がありましたが,今回のアップデートではさらに新しいニュアンスを加えて,新規の方にアピールしていこうというのが当面の目標ですね。
4Gamer:
具体的にはどういったことをお考えですか?
岩塚氏:
先ほど触れた地味な部分ですが,インタフェースを改善して「最近のタイトルではできるのにTANTRAではできない」ところをなくしていきます。もちろん,新規プレイヤーさんのためばかりではなく,ベテランの方向けに対人戦をテコ入れすることも考えています。これが今回のアップデートの主なコンセプトですね。
4Gamer:
最大の魅力である対人戦を強化しつつ,新規のプレイヤーさんにとっても親切なものにしていこうということですね。それを踏まえて来春以降に次の展開が控えている,と。
来春以降にはまず,大きなストーリーが待ち受けています。このストーリーとは,すなわち今回の序曲に続く本体に当たる部分です。これまでの「Kathana III」では,神々の謎に迫るいう流れのもと,黒女神カーリーとはどういう存在なのか,シヴァがなぜ封印されたのかというところまでストーリーが進んでいます。そして最後にプレイヤーのみなさんが黒女神カーリーと直接対面するわけですが,そこで終わりではなくさらに新たな勢力が……と,ストーリーの展開に関して今の時点でお話できるのはこのくらいですね。
4Gamer:
なるほど。それでは,ウリである対人戦の強化はどうでしょう?
齋藤氏:
参加者の増加を目的とした,新たなシステムを導入する予定です。やはりMMORPGでは,「自分のキャラクターが一番」という理想に向かってプレイしている方が多いですし,またTANTRAは「カースト制度」を含め,そういった方面に長じています。いまは特殊な「主神貢献値」を入手することでランキングが上がって,それに応じて与えられる「カースト制度」があって,上位を目指してみんなでワーッとやっている状況なのですが,さらにそれを後押しするシステムが登場します。
岩塚氏:
今,公式サイトもカーストのランキングも毎日更新するようになっています。
4Gamer:
ランキングの後押しについては,主神貢献度に対する新たな評価基準が設けられるのですか? それとも戦いそのものを盛り上げるような感じでしょうか?
齋藤氏:
どちらかといえば後者寄りですが,双方の要素を含んでいます。例えばこれまで高位のカースト一人にしか与えられなかったスキルを,複数のプレイヤーが使えるようになったり。モチベーションの上昇につながる要素の導入を考えています。
そのほか,まだまだ手を入れる余地はたくさんありまして,とくに対人戦のバランスを見直し,大がかりな調整を施す予定です。
岩塚氏:
また,TANTRAを初めて知った人が訪れるプロモーションページでは,対人戦を強調したムービーを用意しています。これは,最初から「TANTRAイコール対人戦が楽しい」という意識を持ってもらおうという意図ですね。
4Gamer:
対人戦をさらに強化して,TANTRAの大きな魅力であることを,あらためて強く打ち出していくわけですね。ところで,お話の流れからすると,今回の序曲で導入される「秘術」もまた,そうした対人戦を強化する要素となりそうですが。
齋藤氏:
もちろん,そういった意味合いもあります。また一方では,新たに実装される高レベル向けのダンジョンやマップを攻略するためには,既存の装備やスキル,あるいはアイテムだけではとうてい間に合わない。そこで有料アイテムもそうですが,秘術システムによって生産された装備やアイテムの恩恵が必要となります。
4Gamer:
だとすると,有料アイテムの種類も増えるのでしょうか?
齋藤氏:
いままさに検討中です。
岩塚氏:
意外なものが登場するかもしれません(笑)。
齋藤氏:
秘術に関するものが登場する予定ですが,そのほか価格の見直しなども検討しています。私個人としては,有料アイテムやプレミアムアイテムがないと楽しめないゲームではなく,使えばもっと楽しくなるという方向に導きたいので,さまざまな角度から考えています。まあ,これは営業的にも微妙かつ重要な問題ですので……。
4Gamer:
今の段階では,まだ詳細は公表できないということですね。
リニューアルのターゲットをめぐるお話として確認させていただきたいのですが,現在,平均的なキャラクターレベルはどれくらいになるのでしょう?
齋藤氏:
レベリングが厳しくなる中レベル帯,だいたいレベル50〜70といったところでしょうか。TANTRAは,低レベルの頃はレベリングが容易なのですが,中レベル帯にさしかかると停滞気味になってしまうんですよね。そこでプレイを止めてしまう方もいるわけです。そこで今回の序曲以降では,そのあたりを緩和するシステムも導入します。
4Gamer:
そういったシステムは,先ほどの新規プレイヤー獲得でもアピールできそうですね。そのほか,新規プレイヤーさんの獲得に関して何か考えていることはありますか?
齋藤氏:
うーん,システム面,インターフェイス面をより親切にしていくというのは,最初に岩塚が述べたとおりで,これは継続して実施していきます。
そのほか,TANTRAではペットが非常に高価でして,現状では高レベルの方しか手を出せない。そうした部分を改善して,新規または中レベル帯の方であっても楽しめるようにしていく予定です。
4Gamer:
新規プレイヤー向けのキャンペーンなどはどうでしょう?
これまでも新規プレイヤーキャンペーンは実施していますので,今後も定期的に継続していく予定です。また新規獲得というよりは既存のプレイヤーさん向けですが,今回のアップデートを記念し,NET CASHさんの協賛で,抽選によるプレミアムアイテムプレゼントなども実施します。
そのほか,TANTRAはこれまで全般に露出が少なかったので,もっと積極的にメディアに打ち出していこう,とかですね。
齋藤氏:
なんというか,どのタイトルも同じようなキャンペーンしかやっていないんですよね。「もう,そういうのはいいんじゃないの?」ってことで,これまでの枠にとらわれないようなものをやっていきたいですね。具体的には,プレイヤーのみなさんと一緒になにかできるような内容を考えています。あとはメディアと組んで悪だくみ(笑)とかできたらいいですねえ。
岩塚氏:
イメージとしては,ゲリラ戦法ですかね(笑)。
4Gamer:
ゲリラ戦法ですか……そういえば,TANTRAカレーとかありましたよね。ああいった意外なアイデアを楽しみにしています。それでは最後に,TANTRAのプレイヤーさんと,この記事を読んでくれる人に向けて,メッセージをいただけますか?
齋藤氏:
TANTRAはMMORPGであり,RPGというからにはバックグラウンドのストーリーがあります。今後,さまざまなシステムや機能が実装されていきますが,いずれもストーリー上必然性のあるものにしたいと考えています。
また,今回は序曲ということでまさに新章の始まりですから,既存の高レベルプレイヤーさんが有利ということもありません。新しいストーリー,新しいコンテンツということで新規の方にも新しいゲームとして認識していただけると思います。
すべてのストーリーとコンテンツが,意味のある必然性を持って存在しているようなタイトルとして,より成長させていきたいので,そこに着目していただけると嬉しいですね。
岩塚氏:
TANTRAはプレイしやすいゲームだと思います。今は情報が飛び交っていて,どのオンラインゲームをやればいいのか分からないという人には,MMORPGの基礎であり応用でもある,さらに拡張性もあるというTANTRAは最適だと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
今回は,来春以降の新たな局面を踏まえたアップデート,それも実装に向けて調整のラストスパート真っ只中ということで,どこまで話したものかと慎重に言葉を選びながら質問に回答していった両氏。上記のとおり,いささか奥歯に物が挟まったような発言が多いのだが,10月31日に序曲の第一弾が実装されてしまえば,公表できる内容も格段に増えるだろうとのことだった。
齋藤氏の言葉にもあるように,ほかとは違うこと,ほかではやらないことを目指していることが強く感じられただけに,今後の構想に期待したい。
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