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[TGS2003 #09]新発表盛りだくさん! スクウェア・エニックス「オンライン戦略発表会」#3
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印刷2003/09/27 05:09

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 [TGS2003 #09]新発表盛りだくさん! スクウェア・エニックス「オンライン戦略発表会」#3 - 2003/09/27 05:09

→新発表盛りだくさん! スクウェア・エニックス「オンライン戦略発表会」#1は「こちら」,#2は「こちら」

 東京ゲームショウ(TGS)2003において一般初公開となった「JUNKMETAL」(ジャンクメタル)は,スクウェア・エニックスが現在開発中のMMO型のオンラインゲームだ。「MMORPG+3Dロボットアクション」というとてもユニークなコンセプトのタイトルで,グラフィックスエンジンには「ノーワン リブス フォーエバー2」や「TRON2.0」でも使われているTouchdown Entertainment社のLithtech Jupiterエンジンを採用,メカデザインには横山宏氏を始めとする有名デザイナーを採用,という,ロボット物ファンにはたまらない作品となりそうだ。ここではゲームのより詳しい情報をお届けしよう。

 JUNKMETALの舞台となるのは,未来の,アルター8と呼ばれる惑星だ。この惑星は「グール」と呼ばれる機械生命体によって支配されており,人間達は地下世界で生活することを余儀なくされている。プレイヤーはこの過酷な世界でジャンクメタルと呼ばれるロボットを操るパイロットとなり,機械生命体やほかのプレイヤーが操るジャンクメタルと戦いを繰り広げていくことになる。
 ゲーム全体の流れとしては,自分の分身となるキャラクターと搭乗するジャンクメタルを作成し,惑星アルター8の2大開発企業のどちらかを選択(傭兵という形で所属)する(中立の立場も選べる)。戦う相手は,機械生命体や敵対する企業に属するプレイヤーのジャンクメタル。前者は一般的なRPGでいうモンスター戦に相当し,後者は対人戦(PvP)という感じだ。モンスター戦では,巨大な機械生命体との戦い(ボス戦?)もあり,対人戦では領土の奪い合いといった要素が軸となるようだ。

 一般的なMMORPGと大きく違う点は,まず,プレイヤーキャラクターが搭乗するロボットをカスタマイズできるということが挙げられる。ゲームには450種のボディパーツ300種の武器,さらに3種のOSなどが用意されており,これを組み合わせて自分好みのマシンを作り上げていくのだ。もちろん,無制限にパーツを選べるというわけではなく,サイズ,重量,出力などの制限の中で上手にやりくりしていかなければならないという仕掛けだ。言うならば,"アーマード・コア Online"といった趣だろうか。
 もう一つの大きな特徴は,戦闘にアクション性が加味されているという点。一般的なMMORPGの戦闘は,簡単な操作やセミオートで行われることが多いが,このJUNKMETALの場合は,「動いて避け,狙って撃つ」というFPSに近い内容−−というよりFPSそのもの−−となっている。TGSのスクウェア・エニックスブースで展示されていたデモ版を操作した限りでは操作体系もFPSに近く,プレイ感覚は「メックウォーリア」系に近いという印象を受けた。
 ただし完全なアクションゲームではなく,RPG的要素もふんだんに持っているというのが面白い部分であり気になる部分だ。JUNKMETALには,RPG的成長要素が二つある。一つは「OSのレベルアップ」。これは戦闘によって得た経験値を蓄積することで,ジャンクメタルのOSがレベルアップするという仕組みで,それによってより多くのパーツを選択可能になる。OSは,例えるなら"Windows系" "Macintosh系" "Linux系"(もちろん正式名称ではない)のような感じになっており,カスタマイズの可能性,秘めたポテンシャルなどに違いが出るようになっている。Windows系なら初心者向け,Linux系は上級者向け,のような感じになるのだろうか。
 もう一つの成長要素は「傭兵としてのランク」だ。こちらはミッション(一般的なRPGでいうクエスト)をこなすことで上がっていく仕組みで,ランクが上がれば,特別なミッションへ挑戦できるほか、スペシャルパーツの購入などが可能となる。

 ちなみに,JUNKMETALでは最大5人編成のパーティを組むこともできる。同社宣伝部の井上氏の話によると,プレイヤー同士で役割分担も可能とのこと。例えば,アクションが苦手な人は"レーダー"(敵の位置を捉える能力を持つ)や"補給"(ファンタジーRPGでのヒーラー)を担当したり,アクションが得意な人でも近距離攻撃の前衛系,中/長距離攻撃での後衛系を担当するといった分担が可能となるようだ。
 突き詰めていくと,レーダーだけに特化してまったく武装をしていないロボットや,敵ロボットを倒したときのLoot品(=敵から奪うメカパーツ)を専門で運ぶ倉庫係みたいなメカも作成可能になるという。全身センサーづくめのロボットや,Loot品を運ぶための"カーゴ"だけをあらゆる部位に搭載したロボットという感じだろうか。ファンタジー系で例えるなら,肉弾戦以外なにもできないWarriorや攻撃魔法にひたすら特化したWizardみたいなもの。そうなるとパーティはそのプレイヤーを守って行動せねばならず,パーティプレイがさらに面白くなるという仕組みだ。
 ところでこのゲーム,パーティを組むと,レーダーなどセンサーの情報がパーティ内で共有できるという。つまり前述の例でいえば,超レーダー特化型が一人いると,ほかのパーティメンバーはその強力なレーダー機能の恩恵を受けることができ,"レーダー"という装備さえ取っ払って火力や防御力をUpできるわけだ。Loot品管理にしても,ほかのプレイヤーロボットは奪ったパーツを運ぶカーゴが必要なくなり,そのぶん攻撃力や防御力に回せるという。むろんそのレーダーやカード係のプレイヤーが破壊されてしまうとどうしようもなくなってしまうのだが,キャラクター(というか本作ではロボットだが)ごとの性格づけを限りなく自由な設計にすることによって,シングルプレイ,ひいてはパーティプレイの奥行きを,既存の作品をはるかに越えた枠組で広げようとしているのは,大いに楽しみにできる点だといえるだろう。
 筆者は,"全身長距離ミサイル"のロボットを作りたいと思ってその旨可能かどうか聞いてみた。なにせこのゲーム,描画能力もかなり美しいので,全身のミサイルランチャーから一斉に発射されて尾を引きながら飛び去るミサイルが見たかったのだ。本作のProducer五井氏の答えは「可能ですよ。でも長距離ミサイルは,この手のゲームではバランス崩壊の一因ともなりかねないので,一発あたりのコストを無茶苦茶高く設定してるから,現実的には不可能じゃないかなぁ……」とのこと。一部の廃プレイヤー達によって一方的にバランスが崩れるのも,未然にシステム側で防止策が取られているようだ。
 ちなみに五井氏は,筋金入りのEverQuestマニア。国産にしては珍しく海外製描画エンジンを採用し,"洋ゲーっぽい国産ゲーム"を仕上げられたのは,彼の能力とこだわりの賜物なのかもしれない。

 気になる発売時期だが,残念ながら現時点では未定となっている。ただ,会場でプレイアブルなバージョンが公開されていることからは,βテストはそう遠くない話だと思われる(五井氏は,「年内を目指している」と語っていた)。MMOFPS系という,オンラインゲーム全盛のいまでも特異なこのジャンルに挑戦する,スクウェア・エニックスに大いに期待したい。(Kazuhisa/Ryuzen)


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