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[GWWC 2006]ギルド ウォーズ準優勝「War Machine」インタビュー
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印刷2006/02/22 22:48

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[GWWC 2006]ギルド ウォーズ準優勝「War Machine」インタビュー

 ここまでの記事でお伝えしてきたとおり,「ギルド ウォーズ」の世界一決定戦「Guild Wars:2006 World Championship」(以下,GWWC)は,「The Last Pride」の優勝という形で幕を降ろした。だが,決勝戦以前の下馬評ではむしろ「War Machine」のほうが,優勝候補の筆頭に挙げられていたのである。
 またWar Machineの名は,Guild Wars以外のタイトルでも轟いてており,「Granado Espada」を始め,さまざまなゲームのプレイヤーの間で有名なギルドネームなのだ。そうしたわけで,読者の中には「いったいどんなギルドなのだろう?」と思っている人も多いことだろう。
 GWWC準決勝が行われた直後,決勝戦を翌日に控えたまことに忙しいタイミングでありがら,War Machineの面々がインタビューに応じてくれた。この有名ギルドで代表選手に選ばれたプレイヤーそれぞれの素顔をお伝えしよう。また,少々先回りして言うならば,そこでは「War Machine」というギルドそのものについても,かなり意外な事実が語られた。

※掲載順が入れ替わっていますが,GWWC決勝戦の様子や,その後のコメントについては「こちら」に,優勝ギルドとなった「The Last Pride」へのインタビューは「こちら」に掲載されています。併せてご覧ください。



■戦力の分割と再合流を最重要視
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。先ほど行われた準決勝の手応えはいかがですか?

War Machine:
 準決勝で戦った相手である「Lamers Ultimate Majority」(LuM)は,回復役のモンクが3人もいて,本隊の守りがかなり堅い感じでした。正攻法では防がれてしまいますので,こちらは戦力を二手に分けてみようと考えました。さらに相手を撹乱するために,普段使わないチームビルドを1か月ぶりに使ってみました。

4Gamer:
 えっ,普段使わないチームビルドで試合に臨んだのですか? あっさりと勝ってしまったのでとても不慣れな設定を使ったとは思えませんでした。準決勝では最初から,その戦術で行こうと思っていたのですか? それとも,相手を見てから調整したんですか?

War Machine:
 LuMの戦術パターンを研究してみたところ,基本的に本隊の防御を重視しているようでした。ですので,彼らの戦力を分断しなければならないと考えたのです。

4Gamer:
 準決勝の試合を見ていたところ,序盤にはモンクが何度も倒されるなど,かなり押されていましたよね? そこからのねばり強さがとても印象的でした。

War Machine:
 私達は普段のギルドバトルでも,序盤に押されてからの逆転勝利といったパターンが多いです。そういった意味では,ねばり強さの経験はたくさん積んでいるのかもしれませんね(笑)。

4Gamer:
 2試合目はアグレッシブな戦い方で,「今度は一転して攻撃最優先なのか?」と思ってびっくりしました。

War Machine:
 本来戦力を分けて戦うのが得意なのですが,第二試合では正面から勢いよく突破しました。相手は不意をつかれて,かなり驚いたんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 War Machineは試合によって,8人全員がまったく別々に動いている場面も数多く見かけます。それなのに,必要なときにはきっちりとまとまれるのが凄いですね。ボイスチャットでは,どんなふうに指示しているんですか?

War Machine:
 基本的には8人のメンバーを4人ずつに分け,リーダーとサブリーダーがボイスチャットでそれぞれ管理しています。必要に応じて戦力を分けたり,また合流させたりといったことをとても重視しており,その経験量は,ほかのギルドには負けないと思います。
 メンバーもそれに慣れているので,集まるべきときにはボイスチャットで指示を出すまでもなく,自然と集まれるようになっています。

4Gamer:
 なるほど,そのあたりのノウハウというか,練習成果がWar Machineの強さの秘訣というわけですね。



■メンバー構成は男性40名・女性10名とかなり大規模
4Gamer:
 リーダーに質問させていただきたいのですが,このギルドを設立したきっかけについて教えて下さい。

ギルドマスター イギナム氏(以下,イギナム氏):
 普通のギルドはゲーム単位で結成されますから,そのゲームに飽きると,そこでメンバーはばらばらになります。でも,それってすごく寂しいことだと思いませんか? たとえ一つのゲームが終わっても,ずっと友達としての関係を維持できるギルドを作りたかったというのが,設立の目的です。もっとも,「ギルド ウォーズ」には,当分飽きることはなさそうですけど(笑)。

4Gamer:
 ギルドというよりプレイヤーグループというか,ネットゲームクランのようなイメージですね。ギルド ウォーズをプレイしているメンバーは何人くらいですか?

イギナム氏:
 ギルド ウォーズに参加しているメンバーだけで50人。平均年齢は25〜6歳で,下は18歳から上は45歳までと,かなり幅広いですよ。男性40名,女性が10名です。

4Gamer:
 普段の練習や,やりとりはどのように行っているんですか?

イギナム氏:
 普段は5〜7時間くらいプレイしていますが,GWWCが間近に迫った時点で“廃人モード”に突入しました(笑)。私に限って言えば,夜7時から翌日5時まで,11時間くらいはプレイし続けましたね。それと,普段の連絡方法は,IRCチャットとTeamSpeak(編注:ボイスチャットの一種)がメインです。メンバーのうち,誰かしらは常駐しているので,ギルド ウォーズをプレイしていないときでも気楽に会話しています。

4Gamer:
 廃人プレイですか! みなさん学生なんですか?

イギナム氏:
 8人のうち5人は学生で,残りの3人が社会人です。私は去年まで普通の仕事に就いていました。何かオンラインゲームに携わる仕事をしたいなぁ,と漠然と思いながら退職したのですが,ギルド ウォーズと出会い,やはりゲームの仕事に就くしかない! と確信しました。

4Gamer:
 韓国ではプロゲーマーという職業が成立しますものね。ギルド ウォーズのプロゲーマーになりたいと思いますか?

イギナム氏:
 まだギルド ウォーズ専門のゲームリーグもないですし,現実的に今はまだ難しいでしょうね。でも,いつかはプロゲーマーになりたいです。



4Gamer:
 50名もの仲間がいるという,大規模ギルドのリーダー役はかなり大変かと思いますが,とくに大変なのはどんなところでしょうか?

イギナム氏:
 例えば今回のように大規模な大会では,事前の準備も並たいていではありません。GWWCに向けて,最初はメンバーの中から10人を選抜して,練習を続けていました。そして決勝大会の1か月前に,その中から2人を外したのです。そのときの判断がとても辛かったですね。みんな,苦楽を共にしている仲間ですから。

4Gamer:
 なるほど,スポーツの世界と同じで,人選に苦慮する部分が大きいというところでしょうか。ところで,ギルド ウォーズというタイトルを選んだきっかけは,何だったのですか?

イギナム氏:
 2004年にギルド ウォーズが発売される前,全世界で3日間のオープンβテストが行われました。そこで初めてギルド ウォーズに触れ,あまりの完成度の高さに感激しました。テスト期間中の3日間は職場も休み,ただひたすらプレイし続けたくらいです。それから4〜5か月後に,本格的にギルド活動をしたいと考えて,War Machineを設立しました。

4Gamer:

 え,そうなんですか。ギルド ウォーズのサービスをきっかけに発足したとは意外でした。War Machineとしての輝かしい戦歴は日本のプレイヤーにも聞こえていましたし,かなり昔からあるものだとばかり思っていました。

イギナム氏:
 実は,「Ultima Online」「Dark Age of Camelot」「ShadowBane」でもWar Machineという“別の”ギルドがありまして。そのメンバーと「World of Warcraft」で意気投合して,しばらく一緒にプレイを続けていました。そして後日ギルド ウォーズでギルドを設立しようとして,ギルドネームは何にしようと考えたときに,「War Machine」という名前が浮かんだのです。とても気に入っていたので。
 一緒にプレイしていた,War Machineで責任ある立場の人にお願いして,War Machineという名前を使えるようにしてもらいました。

4Gamer:
 あぁ……てっきり全部元は同じギルドだと思っていましたが,違うものだったんですね。ところで,対人戦以外,つまりRaidとか,ほかの遊び方はあまり好みではないのでしょうか。MMOにも色々なものがあると思うのですが。

イギナム氏:
 はい。今までオンラインゲームを数多くプレイしてきましたが,やはり戦術的要素に惹かれるのか,いつも対人戦に熱中しています。それらの中でも,ギルド ウォーズはずばぬけて完成度が高いですね。



■世界有数の実力派ギルドに属する,各メンバーの素顔に迫る
写真中央で,にこやかにポーズを取ってくれているのが,ギルドマスターのイギナム氏だ
4Gamer:
 それでは,せっかくですのでほかのメンバーの方も,少しお話を聞かせてください。お名前と,主にプレイするクラス,それとWar Machineに入ったきっかけを教えてください。

チェードンクン(男性):
 得意なジョブはウォーリアです。とある拠点エリアで,War Machineメンバーがチャットを使って熱烈に勧誘をしているのを見て,入りました。

イージョンファー(女性):
 モンクをプレイしてます。去年の6月頃,韓国には大手のギルドが二つありました。どちらかに入りたいなぁと思っている頃に,プレイしていてたまたまWar Machineのリーダーとグループが一緒になりました。
 最初は「威張っていて,嫌な感じ」と思い,もう片方のギルドに入ろうとしましたけど,そこのギルドでは入隊条件を満たせなくて,仕方なくWMに入りました。でも,リーダーのことは誤解していたようで,今はぜんぜん悪く思ってないですよ(笑)。

イーミョンソン(女性):
 私もモンクです。「Tomb of Primeval Kings」のトーナメント戦でWar Machineメンバーと一緒にプレイしていたら,とても意気投合したので,そこで入りました。

チョンジャーラン(男性):
 主にレンジャーをプレイしています。私は最初,ほかのギルドの主要メンバーとして活動していました。しかし,そこのギルドマスターが兵役に行ったのをきっかけに,ギルド活動そのものが縮小してしまったんです。私は本格的なギルドバトルを行いたかったので,War Machineに入りました。

イージェンファン(男性):
 基本的にはレンジャーですが,モンク以外は必要なら何でもできます。全世界で行われたオープンβテストのとき,War Machineギルドのメンバーから,とても親切にサポートしてもらいました。それがとても嬉しかったので,製品が出てからWar Machineを探して,入れてもらいました。

ウォンジョンホ(男性):
 メスマーやネクロマンサーなど,いやらしく相手をいじめるジョブが好きです(笑)。War Machineメンバーと一緒にプレイしていたところ,その人が私のビルド構成に感心してくれたらしく,その場でスカウトされました。

ホーミン(男性):
 主にウォーリアとメスマーでプレイしています。2005年の4月,韓国の「Guild Wars Championship」でWar Machineが優勝したのを見て,凄い! と感激して参加を希望しました。

イギナム(男性):
 ええと……私はリーダーだから回答はいいですよね?(笑)。ちなみにメインクラスはウォーリアです。

4Gamer:
 では最後に。いよいよ明日決勝ですね。心境を聞かせてください。

イギナム氏:
 今回のGWWCに向けて,これまで1年間,猛練習を重ねてきました。きっと勝てると信じています。

4Gamer:
 決勝相手のThe Last Prideは,現在世界ランキング1位(War Machineは2位)ですが。

イギナム氏:
 ランキングについてですが,実はWar Machineというギルドがランキングのトップに君臨したことは,そう多くはないのです。今回の練習もランキング戦以外のギルド戦をたくさん行っているので,あまり気にならないですね。

4Gamer:
 なるほど,とくにランキングのことは意識せず,ここまで来ているわけですね。ぜひとも実力を発揮して頑張って下さい。本日はありがとうございました。

 実は筆者(川崎)はインタビューの場に臨むまで,「数々の実績を持つ“世界最高峰の対人戦ギルド”」「War Machineというギルドネームのイメージ」があったせいか,戦術をストイックに追求し,あまり外部に対して打ち解けない「孤高の戦士集団」という感じのチームをイメージしていた。
 しかしその実態はまったく違うものであった。8名のメンバーは終始にこやかで,人当たりもとても柔らかかったのだ。筆者の一方的な思い込み(同様にイメージしていた読者も多いのではなかろうか)は,いい意味で裏切られ,まったく的外れなものとなったのだ。女性メンバーが10名もいることを含めて,韓国におけるPvP重視のオンラインゲームの認知度が,日本とはかなり違うな,と再認識した次第である。

 さて,すでに記事でお伝えしたように,決勝戦でWar Machineは残念ながら「The Last Pride」に敗退し,2位となった。ただし,別の記事でも触れたように,The Last Prideのメンバーの大半は,War Machine出身である。
 その意味では確かに,The Last Prideへのインタビューで彼らが語った,「新鮮な情報を常に取り入れ」「あらゆる状況に対応できるチームビルドを作り上げる」というプレイ思想,彼らが別のギルドを作るに至った理由そのものが,War Machineの前途を阻んだことにはなる。
 しかしそれすらも,おそらくはWar Machineでの活動という母胎あってこそであり,今回の試合結果はいわば「出藍の誉れ」というべきものだ。勝ったほうも負けたほうも,気持ち良く試合ができたのではないだろうか。元を正せば一つのギルドであった16名が,世界の1位と2位の座を取るというのは並たいていのことではない。素直に賞賛したい。

 決勝戦に敗れたとはいえ,彼らWar Machineのプレイは多くの日本プレイヤーにとって憧れの水準にある。GWWCを通じ,さまざまなドラマを見せてくれたWar Machineに,改めて感謝したい。(聞き手:kiki,川崎政一郎)

  • 関連タイトル:

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