インタビュー
「トリックスター」がサービス7年目にして運営を移管する理由とは? 新エピソードの話も飛び出した運営開発チームインタビュー
「トリックスター」公式サイト
ゲームポットとNtreevSoftの密接な関係をサービスに反映
4Gamer:
本日は,よろしくお願いします。まずは,トリックスターがジークレストからゲームポットへ運営移管されることになった経緯を教えてください。
日本でのトリックスターの展開は,もう7年に及んでいますが,NtreevSoft社内では,将来の展望を視野に入れて,運営も開発も思い切った仕切り直しをする必要があるのではないかとの声が挙がっていました。
そこで,トリックスターの契約更新期にあたる2012年7月を前に,弊社が今後,このタイトルをどうしていきたいかという話を,ジークレストさんとゲームポットさんに相談したんです。
朝倉脩登氏(以下,朝倉氏):
ゲームポットがNtreevSoftさんからお話をいただいたときには,もし移管されることになれば,お互いにとってプラスになるだろうと考えました。というのは,NtreevSoftさんとは「スカッとゴルフ パンヤ」で8年近くの長いお付き合いをしているからです。私自身は,両社はもはやパブリッシャとデベロッパという関係ではなく,大げさに表現すれば一つの会社と言っていいくらいの間柄だと思っています。そこで,ぜひこの機会にトリックスターのサービスを手がけたいと申し出ました。
4Gamer:
両社の長年の関係を重視した,と。
ええ。当然ながら,今回の件についてはジークレストさんともミーティングを重ねました。ジークレストさんは,長年運営してきたトリックスターには非常に愛着があるとのことで,今後,さらにタイトルを良くしていきたいという,弊社とNtreevSoftさんの意向に賛同していただけたんです。実際,ジークレストさんにはものすごく協力していただいて,この場にいる齋藤やキャスト(GM)を筆頭に,運営チームの大半がゲームポットに移籍することになりました。その背景には,これまでトリックスターをプレイしてくださったお客様に対する,ジークレストさんの誠意があります。私達も,その誠意を裏切らないよう頑張らなければなりません。
4Gamer:
分かりました。それでは,ゲームポットとNtreevSoftによる,新たな運営/開発体制の方針などを教えてください。
朝倉氏:
実はNtreevSoftさんは,この機会にトリックスターを全面的にリニューアルしたいという意気込みを持っていて,実際,コンテンツの開発スピードもビックリするくらい速いんです。そこでゲームポットとしても,新タイトルをローンチするつもりで臨んでいます。
基本的にはゲームポットの培ってきたサービスのノウハウを,トリックスターにも徹底的に適用していきます。もちろん,これまでのトリックスターが持っていた良い点は,すべて踏襲します。
ジョ氏:
実は開発チームでも,ゲームポットさんのキャンペーンやオフラインイベントなどのノウハウに着目したんです。そのノウハウがあれば,今まで以上にお客様が喜ぶサービスを提供できるのではないか,と。
朝倉が説明したように,私をはじめ,ジークレストでトリックスターを運営していたスタッフがいますから,これまで培ってきた運営面の長所は全部引き継ぎます。
また私達は,常に「もっとお客様と接したい」という思いを抱いていました。というのも,お客様と実際に接することは楽しいですし,そこから学ぶことも多いのです。ゲームポットは,オフラインイベントに関するさまざまなノウハウを蓄積していますから,それを通じて今まで以上にお客様と接し,そこで吸収したものをサービスとして還元していきたいと考えています。単なるサービス側とお客様という関係ではなく,一体となってトリックスターを盛り上げていきたいですね。
4Gamer:
運営移管に関するプレイヤーの反響はどうでしょう?
齋藤氏:
表面化している限りでは,あまりネガティブなものはないようです。「ゲームポットに期待」「ジークレスト,今までありがとう」という内容がほとんどで,アクティブプレイヤーのアカウント移行も,事前に予想したとおりスムーズに進んでいます。
4Gamer:
なるほど。それでは,新運営/開発体制の具体的な施策を教えてもらえますか?
齋藤氏:
すでに運営移管のキャンペーンでも実施していますが,お客様とのパイプ役として,以前と変わらない【Cast】を前面に打ち出しています。「移管を境に【Cast】が変わったり,いなくなったりするのではないか」と不安に思うお客様もいらっしゃいましたが,ご安心ください。また月次イベントに関しても,今までと変わらず毎月実施します。
あとはパンヤをはじめ,ゲームポットで展開しているタイトルとのコラボレーションも企画しています。ゲームポットには,トリックスターと親和性が高く,かつお客様にとってプラスになるであろうリソースがたくさんありますから。例えば「ペーパーマン」なんかはピッタリでしょうし,最近ではスマートフォン向けの「ゆるロボ製作所」も,おかげさまで好調ですから,何かできないかと企画を練っているところです。
4Gamer:
ゲームポットというと,社外コラボも盛んですよね。
朝倉氏:
すでにいくつか動いている企画もあります。今後は,ゲームポットの扱うほかのタイトルとの合同コラボ企画なども展開できますから,これまでのトリックスターでは実現できなかったような企画も出てきます。お客様に「ゲームポットに移って良いかったな」と感じていただけるのではないでしょうか。
4Gamer:
トリックスターは例年,春先にオフラインイベントを開催していましたよね。開発チームを招いて,その年の方針や新コンテンツの概要/開発の進捗などを公開していましたが,当然,それも引き継ぐわけですよね。
朝倉氏:
もちろんです。残念ながら,2012年はジークレストさんも開催できなかったんですよね。運営チームは,ゲームポット移管後に,お客様と直接顔を合わせてご意見を聞きたいと言っていますので,できるだけ早いタイミングで実現したいです。
齋藤氏:
実は遠方のお客様で,「2012年も,このくらいの日程でオフラインイベントを開催するだろう」と,飛行機を予約されていた方もいたんです。そういった熱いお客様のためにも,早く開催の告知をしたいですね。可能なら2012年内,遅くとも2013年3月には確実に開催します。企画としては,パンヤとの合同開催なんかも挙がっているのですが,そういった新しい試みもお見せしたいです。
2012年内は既存コンテンツを強化。そして2013年には待望の新エピソードが登場
4Gamer:
それでは,2012年のアップデート方針についても教えてください。先ほどのお話では,リニューアルをも視野に入れているとのことですが。
7年間プレイしてくださったお客様のためにも,新鮮な気持ちで楽しめるコンテンツをプレゼントをしたいという思いがありますので,運営移管を機に,開発の方向性を見直しました。
まず,エピソードをはじめとするメインコンテンツは,これまでどおり大型アップデートという形で追加していきます。しかし長年サービスを続けているタイトルですから,どうしてもコンテンツのマンネリ化や陳腐化といった問題は避けられません。
そこで,現在のオンラインゲーム市場に見合った,新しいシステムを導入するべく開発を進めています。例えば,新システムでは,トリックスター全体が1人でもパーティでも楽しめるようになります。また,これは運営面とも関係がありますが,今後はゲームポットとともに,今まで以上にお客様が望むトリックスターを提供していきます。
齋藤氏:
補足になりますが,ゲームポットの強みとして,日本のお客様が望んでいるものを,きちんとした形で翻訳して開発チームに意図を伝えられるという点が挙げられます。「お客様の望むものを実現する」というのはオンラインゲームの運営/開発の決まり文句ですが,その点に関するゲームポットのノウハウは非常に高いと自負しております。
また,実際に運営移管のタイミングで,お客様に何がほしいかアンケートを行い,その結果をゲームに反映するという企画も実施予定です。お客様が何を欲しているか,そのボリュームに応じて開発スケジュールが変わってしまうのですが,可能であれば2012年秋に実装する予定で開発チームと企画を進めています。
4Gamer:
なるほど,期待しています。それでは,具体的に運営移管直後から実装されるコンテンツについて教えてください。
チェ氏:
2012年7月末のアップデートで,お待たせしていた新スキルを全17種類追加します。それと同時期に「タバスコ火山」に,クエストとボスモンスターへの進入路を追加します。
また長くプレイしてくださっているお客様にはおなじみのボス「スパイシードラゴン」がリニューアルされます。見た目や強さが変わるだけでなく,さらに報酬として,従来のものよりも強力な伝説装備をドロップさせる予定です。
主だったコンテンツは以上ですが,それ以外にも,開発チームのお遊び的な要素をいくつか盛り込んでいますので,ぜひ探してみてください。
4Gamer:
2012年7月以降のアップデートで,今,話していただけるものがあれば教えてください。
チェ氏:
2012年秋には,ギルドシステムのリニューアルを予定しています。ギルドバトルが従来の9人対9人だったところを20人対20人に拡大し,リーグ戦モードも新たに追加します。リーグ戦で得られるギルドコインは,ギルドの最大参加人数の拡大や,ギルドエンブレムの作成,ギルド倉庫の拡張などの新機能に使います。
また,ペットに新しい機能をもたせられないか,今まさに企画しているところです。詳細は,決まり次第発表します。
ギルドエンブレム作成画面(韓国版) |
ギルドショップ(韓国語版) |
4Gamer:
対人戦闘要素の拡張に伴って,ギルド機能も大きくパワーアップするわけですね。そのほかには何かありますか?
チェ氏:
2012年冬には,「ハルコンの守護戦」のプレイレベルを変更して,さまざまなレベル帯で楽しめるような内容にします。今は「高レベル向けで難度が高い」というイメージですが,もっと「皆が一緒に楽しめるコンテンツ」の方向にシフトする予定です。また報酬には,守護戦でのみ入手できる装備を追加しようと考えています。
そして守護者にもリニューアルを加え,今まで以上に頼れる存在となりうる機能や,新しい守護者の追加を予定しています。
4Gamer:
プレイヤーが最も気になっているのは,エピソードの続きだと思うのですが,どうでしょうか? 日本では2011年8月にエピソード6「魂の絆」が実装され,一段落したところで進展が止まっていますよね。
韓国では2012年末に,その次の展開となるまったく新しいエピソードのプロローグを実装する予定です。日本では,2013年初頭にお見せできるのではないでしょうか。それに伴う新エリアや,皆さんへのサプライズも用意していますので,ぜひ期待してください。
4Gamer:
これはプレイヤーにとってうれしい情報ですね。新エピソードは,これまで同様,最上位レベルのプレイヤーに向けたコンテンツになるのでしょうか?
チェ氏:
実は,そういった点を含めてさまざまな見直しを図っているところです。開発チームとしては,できる限り多くのお客様に遊んでいただきたいと考えています。
また,これまでは先行する韓国と日本におけるアップデートのタイミングが3か月ほどずれていましたが,開発チームではその差を縮めようと努力しています。
4Gamer:
楽しみにしています。ところでトリックスターは,ボイスペットに力を入れてきた印象がありますけれども,運営移管後はどうなりますか?
もちろん,引き続き注力します。人気の高いコンテンツですから,今まで以上にさまざまな層にアピールできる内容にしていきますし,先ほど話題に上ったコラボ企画にも絡めたいと考えています。
4Gamer:
最後に,新たな体制でリスタートするトリックスターに期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
チェ氏:
7年間サービスを続けられたのも,ひとえにお客様のおかげだと思います。これまでご迷惑をおかけしたこともありましたが,今回の運営移管により,今まで以上に良いゲームをお届けできるよう務めていきます。運営チームと開発チームでは,お客様に対して“透明性のある運営”をしていこうということで方向性が一致していますから,ぜひ今後のトリックスターにご期待ください。
齋藤氏:
運営移管とは言っても,私を含め,運営チームは基本的にジークレスト時代から変わっていません。なぜ私達がゲームポットに移籍したのかと言えば,やっぱりトリックスターが好きだからです。私達は今まで以上にお客様の声を汲み上げられるよう努めますが,皆さんにも今まで以上にご意見/ご要望をお寄せいただけたらと考えています。私達もお客様も大好きなトリックスターで一緒に遊んで,一緒に盛り上げていきましょう。
4Gamer:
ありがとうございました。
今回の運営移管に関し,長年のプレイヤーにとって朗報なのは,やはりジークレストから運営チームが移籍してくるという点だろう。今後はこれまでのサービスの長所をそのまま踏襲しつつ,さらにゲームポットによるサービスが加わるわけである。もともとトリックスターは,オフラインイベントの開催やコラボ企画に積極的なタイトルだったが,今まで以上に多彩かつ充実した展開を期待できるというわけだ。
また,ゲームポットとNtreevSoftが,パンヤを通じて密接な関係を構築してきていることも心強いところである。まさに隙なしといった感じの今回の運営移管,多くのトリックスタープレイヤーにとっても喜ばしい結果が出ることに期待したい。
「トリックスター」公式サイト
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