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「FFXI」で,6月6日に実装された「エインヘリヤル」のプレイレポートを掲載
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印刷2007/06/22 19:15

プレイレポート

「FFXI」で,6月6日に実装された「エインヘリヤル」のプレイレポートを掲載

 6月6日に行われた大規模アップデートで,「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)に,最大36人が参加できるという多人数参加型の新コンテンツ,「エインヘリヤル」が追加された。
 およそ一年前に,拡張パック「アトルガンの秘宝」が発売されてからというもの,同作品には,次々と新しいコンテンツが追加されている。アサルト,ビシージ,特殊アサルト「ナイズル島踏査指令」,サルベージなどなど……それらは,最高レベルに達したジョブを複数持つキャラクターが溢れる現在のヴァナ・ディールに,新しい楽しみを提供し続けてくれている。4Gamer読者の中にも,それらのアトルガン・コンテンツに果敢に挑戦している人は少なくないだろう。

 エインヘリヤルはその中にあって,高難度と謳われ実装された大規模戦闘コンテンツである。交換アイテムや,ここでしか手に入らない戦利品はもちろんのこと,既存の免罪符や新しく追加された免罪符が入手できる可能性があることで,注目されている。いったいエインヘリヤルとはどのようなものか,できるだけ分かりやすくレポートしていきたいと思う。
 なお,今回のプレイレポートで触れるのは,筆者が6月6日の実装日から1週間ほどで体験できた「第Iウイング」のみであることをあらかじめご了承願いたい。

■FFXI史上最高難度の新コンテンツ登場!?

 エインヘリヤルは,アラパゴ諸島にある謎の研究施設「ハザルム試験場」で繰り広げられる大人数バトルだ。レベル60以上のキャラクターが最大36人(最低が6人)で参加できるということから,現在も人気の高いコンテンツ「デュナミス」の最大64人(一部を除く)に次ぐ多人数参加型コンテンツとなる。入場に必要なアイテム,「煙の出ているランプ」をNPCからギルで購入し,それを参加者に分配して入場するという形態もデュナミスとそっくりだ。しかし内部の様子はというと,特殊形態のバトルフィールド戦,といった趣である。

 エインヘリヤルとは聞き慣れない言葉だが,これは北欧神話に登場する,戦乙女ワルキューレが集めてきた英雄達の魂のことだ。北欧神話の最高神,オーディンのために,その娘達(ワルキューレ)が戦場を駆け巡り,優れた戦士の死を看取って魂をオーディンの居城「ヴァルハラ」へと導く。……と,ここまではよく知られた伝説なのだが,実のところワルキューレは,目ぼしい戦士を見つけると槍で突き殺し,その魂をさらっていくことも少なくない。ヴァルハラというと一般的には天国というイメージがあるが,その中で行われているのは,来るべき終末戦争「ラグナロク」に向けた鍛錬である。エインヘリヤル達は互いに殺し合い,夕方には生き返り,夜には盛大な宴を催すという。そして翌朝にはまた殺し合い……ということを延々と繰り返すのである。
 ワルキューレについては当サイト連載の「剣と魔法の博物館」第24回が詳しいので,そちらも併せてご覧頂きたい。


 話をFFXIに戻そう。もともとFFシリーズは「ラグナロク」「オーディン」など,アイテム名やモンスター名などで北欧神話と多くの接点を持つのだが,今回のエインヘリヤルは,その中でもとりわけ北欧神話のイメージを色濃くしている。冒険者達が突入する九つの部屋の名前は,すべて戦乙女達の名前であり,最深部にある「ヴァルグリンド」とはヴァルハラの入り口にある門のこと。果たしてヴァルグリンドの奥にある最後の部屋で待つのは何者なのか,本稿執筆時点ではまだ誰も見たことのない最深部の謎が非常に気になるところだ。
 ちなみに部屋の名前に使われている9人のワルキューレの名前は,北欧神話をモチーフにしたワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」に登場するものと一致している。主人公ジークフリートの妻になったのがブリュンヒルデであり,残る8人はその姉妹である。

 エインヘリヤルの舞台となるハザルム試験場の内部は,第Iウイング,第IIウイング,第IIIウイングという三つの区画に分かれており,それぞれのウイングには広間が三つずつ存在する。第Iウイングから開始して,三つの広間すべてをクリアすれば第IIウイングに進める。つまり最深層にあるヴァルグリンドに進むには,第Iから第IIIまでの九つの広間すべてをクリアする必要があるのだ。

 一つの広間をクリアすると,交換用のポイントとして,参加者は全員「闇血のアンプル」を獲得する。ほかのコンテンツでも見られるように,このアンプルを集めることによって,何らかの報酬アイテムと交換できるようになっている。ちなみに得られるアンプルの数は広間によって異なるが,第Iウイングでは各広間で全員に500ずつであることを確認した。なお参加者が獲得できるアンプル数は参加人数には関係なく,広間ごとに決まっているようだ。

 とはいえ,おそらく挑戦者の多くにとっては,そうした交換アイテムもさることながら,既存の免罪符や新しく追加された2種類の免罪符が手に入るという発表も気になっているのではないだろうか。トゥー・リア地方の四神や麒麟から入手できる免罪符はともかく,いわゆる地上HNMからドロップする戦利品は,ポップ時間の関係などから一般的なプレイヤーにはほぼ無縁と言ってもよいほど入手が困難なのだ。
 それを入手できるチャンスとあっては,黙って見過ごす手はないだろう。免罪装備を集めている人達ならば,なおのことだ。

■大量の敵が一度に襲い掛かる,緊迫の大乱戦!

いつもは閑散としているナシュモ行きの船内が賑やかに。エインヘリヤルの参加者で定員オーバーになることも
 実際にエインヘリヤルを体験してきたので,レポートしよう。本稿執筆時点で筆者が挑戦したのは2回で,ほとんど事前情報がない状態での挑戦となった。なお今回のレポートは,第Iウイングしか扱っていないことを重ねてお断りしておく。

 突入に必要な「煙の出ているランプ」は,ナシュモ(H-7)にいるKilushaから18万ギルで購入する。これを参加者全員に分配して突入することになる。Kilushaからはハザルム試験場やエインヘリヤルにまつわる顛末が語られるので,参加者には,一度話しかけて内容を聞いておくことをお勧めする。

マウスの駆除を依頼しておきながら,煙の出ているランプを18万ギルで売りつけるとは何事か!この門(?)は,いったい何なのだろうか…。


 準備が整ったらナシュモの西門からカダーバの浮沼に出て,ハザルム試験場を目指す。道中には墓地があり,インプ・チゴー・骨といったモンスターが現れるので気をつけなければならない。ハザルム試験場は地図の存在しないエリアだが,エインヘリヤルに入場する"Entry Gate"まで一本道なので,とくに問題はないはずだ。

 代表者が,煙の出ているランプをEntry Gateとトレードすると,行き先の広間を選択するダイアログが表示される。ここで広間を選択すると占有開始となり,ランプは「灯されたランプ」へと変化する。灯されたランプの複製方法はデュナミスと同じで,使用するだけで複製される。これを全員に配布していくわけだが,その間にも占有時間がどんどん経過するので,迅速なやりとりが必要だ。この分配だけでも5分程度はかかるわけで,30分固定のコンテンツにはいささか厳しい印象を受けた。ただし食事や強化魔法は内部に持ち込めるので,この点は幸いである。

ハザルム試験場にたどり着くまでにも危険がいっぱい。からまれないように注意しようこれがエインヘリヤルの入口となる"Entry Gate"だ。ここに煙の出ているランプをトレードするのだ


強化魔法や食事などは内部に持ち越せるので,ゲート前で準備を済ませておこう
 それぞれのメンバーが灯されたランプをEntry Gateにトレードして部屋に侵入する。すべてのメンバーが部屋に入りきっていないうちに戦闘を開始すると,後続のメンバーは部屋に入れなくなるので,充分な注意が必要だ。
 戦闘の舞台は,洞窟内の大広間といった感じの場所である。入場したポイントから少し離れたところには,大量の雑魚モンスターと「冥府の門番」と呼ばれるボスが待ち構えている。すべての敵を倒したら広間の中央に宝箱が出現し,これを開けることでその広間をクリアしたことになり,「だいじなもの」を含むさまざまな戦利品を得られる。

 実際に戦闘を始めると分かるが,手前の雑魚モンスターを攻撃すると,同じグループの敵が一斉に襲い掛かってくるという仕掛けになっている。これを一度に相手しなくてはならないのは,悪夢のようである。しかも雑魚モンスターは1グループとは限らず,2グループいることもあるようで,かなりの苦戦を強いられることになるだろう。

 試してみたところ,1回目の挑戦ではゴースト族の敵が12匹で,2回目の挑戦ではボム族の敵が12匹だった。ゴーストはかなりの確率で睡眠状態にできたが,ボムは精霊の印を使ったスリプル,魔物達のララバイ,シープソングなどを試したものの,どれもレジストされる率が高く,敵のファイガIIIや自爆攻撃などにより,あえなく全滅してしまった。30分という時間制限があるため,一度でも全滅してしまうとクリアが非常に厳しくなるのは想像に難くないだろう。実際に,2回目のチャレンジはクリアできずに終わってしまったのだ。

1回目の挑戦をしたときの雑魚モンスターはゴースト系のモンスターだった冥府の門番との対決。手強い敵だが,制限時間内に倒さなくてはならない


単独でポップしたモンスター。何らかの意味があるものと思われるが…
 ここで一つの謎に遭遇する。雑魚モンスターとは別に途中で1匹だけ単独の敵(筆者が確認したのは鳥と虎)がポップしたことだ。2回目の挑戦でこれの意味を探ろうとしたのだが,残念ながら他の敵に阻まれ倒すことができなかった。ただこの時の虎(Saehrimnir)が消える際に,

【澱んでいた気が、少し揺らいだように感じた……。
闇に蠢くモノたちの息遣いが荒々しくなったようだ……。】


というメッセージが出た。これがどのような意味かは今のところ解明できないが,「闇に蠢くモノ【たち】」と複数形になっているので,広間内のすべての敵が強化されるのだろうか? 同行した忍者のプレイヤーからは,ボスの防御が上がり1撃あたりの与ダメージがかなり落ちた,という証言もあった。この,単独でポップするモンスターを倒すと,すべての敵が弱体されると仮定すれば,攻略のカギとなりそうだ。もっとも,1回目の挑戦ではこの単独雑魚には目もくれなかったのだが,問題なくクリアできている(手を出さなければ,強化も弱体化もしないという可能性もある)。

2回目の挑戦では雑魚モンスターがボム系モンスターだった。すでに諦めモードに突入しているメンバーも
 それを踏まえ,2回目のトライは筆者主催で31名で突入,雑魚はボムだった。ところが筆者の説明が悪かったせいか,なんとモンスターをおびき出す役が敵の集団からボスを引き抜いてしまった。このときなぜか雑魚モンスターは反応しなかったのだが,これは単にボムの視覚反応範囲が狭いからかもしれない。
 ともかく不本意ながらボスから先に倒すことになったのだが,事前の説明で単独で出没する敵を倒すように念を押していたのだが,ボスとの戦闘中に単独で虎がポップしてしまい,それを追いかけて広間にいたすべての敵と戦う羽目になってしまった。このときは虎をおびき出すと同時にボムが一斉に襲ってきた。

 以上のことから,ボスを単体でおびき出すことは可能(ただし雑魚の配置や種類に依存する可能性はある)。単独でポップする敵は,雑魚に手をつけていない状態でもポップし,なおかつ雑魚集団の近くにポップする。いったん雑魚にからまれると,おびき出した人がその場で戦闘不能になった場合,パーティーまで距離があっても向かってくる……といったことが判明したので,次回の挑戦に生かすつもりである。

指揮の乱れで,広間内の敵すべてと戦う羽目に……このような事態だけは避けなければならない雑魚の数がハンパではない。どーすりゃいいのよ!あえなく全滅。物悲しい音楽と共に,メンバーにも重い空気が流れる
見事クリアできれば"ArmouryCrate"が出現する。この場合は爽やかな空気が流れるのだこのとき手に入る「闇血のアンプル」が貯まったら,様々なアイテムと交換できる



 ちなみに筆者が挑戦したのは2回とも第Iウイングの「グリムゲルデの間」で,雑魚と単独の敵はそれぞれ異なっていたが,冥府の門番はどちらもマンティコア(Hraesvelg)だった。広場内の敵はすべてランダムのはずなので,これは偶然の一致だろう。攻撃そのものは普通のマンティコアだが,かなり硬いうえにHPが非常に多いNMだった。頻繁にターゲットが変わっていたこともあり,1回目のクリア時は,全員でボスを囲んで攻撃したことも報告しておこう。

■攻略しがいがあるのは確かだが,問題はほかの部分にある

 時間的な問題から2回しかチャレンジできなかったのだが,実際にプレーしてみて,非常に難度の高いコンテンツであることが分かった。雑魚の内容(種類,グループ数)もボスもランダムということで,細かな作戦を立てづらいのが難しいところだ。そういった意味では特殊アサルトの「ナイズル島踏査指令」に似ているかもしれない。内容によって楽勝ムードだったり歯が立たなかったりするということは,クリアにはかなり運の要素があると思っていいのではないだろうか。

 とはいえ,これまでのコンテンツには最終的に先人が編み出した攻略方法をなぞるだけになってしまう,という面があったのも事実だ。難しい難しいといわれていたコンテンツも,いったん攻略法が確立されれば容易に攻略できてしまうのでは,面白みに欠ける部分もある。そうした観点からすれば,今回のエインヘリヤルには蓋を開けてみないと内容が分からないという緊張感がある。挑戦者達は臨機応変に振る舞えるアライアンス構成をとる必要があり,ある程度以上のプレイヤースキルも要求されるはずだ。いずれにしても腕に自信のあるプレイヤー達には,攻略しがいのあるコンテンツであることは間違いないだろう。

 しかし第Iウイングでこれほど苦戦するのに,第IIウイング以降はどうなってしまうのかという不安も生まれる。また,次のウイングに進むには三つの広間をすべてをクリアして「だいじなもの」を得なければならないというのも,かなり厳しいと感じる。第IIウイング以降の参加者を一般公募で集めるにしても,同じ条件の人を36人も集めるのは至難の業だし,たとえリンクシェルを結成して同じメンバーで行くにしても,最下層に行くまでにどれだけの人数が「だいじなもの」を集めきれているのか,想像さえつかない。しかも最下層のヴァルグリンドに入った時点で,それらの「だいじなもの」すべてが失われると公表されている。少なくともこの点だけは何らかの対応策が望まれるところだ。


 クリアしたという実例が少なく,挑戦できるのが3日に一度であることなどから,多くのプレイヤーが手探りで攻略を目指している状態のエインヘリヤル。今回はプレイできた範囲がそれほど多くないこともあり,まだまだ分からないことが多い。むしろ判明した部分のほうが遥かに少ないのである。プレイヤーも,情報を待っている人が多いようで,情報の露出は遅々としている。実際にどの免罪符が出るのかというのも,非常に気になる部分だ。
 かなり難度の高いコンテンツであり,現状ですべてのプレイヤーにお勧めすることはできないのだが,少なくとも免罪装備に興味をそそられるなら,挑戦してみる価値はあるだろう。上級プレイヤーにとっては,恰好の腕試しの場でもあるはずだ。

 それにしても個人的には第IIウイング以降,とくに最下層のヴァルグリンドがどんな様子なのか気になってたまらない。北欧神話のエインヘリヤルのように,プレイヤー同士が戦うということは……まさかないよね?…ハハハ…。(虎武須)

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