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  • 発売日:2012/03/29
  • 価格:月額14.95ドル
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印刷2009/03/23 18:30

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待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介

 「EVE Online」は,一人の宇宙船乗りとなり,生産やビジネス,あるいは戦闘など好きなことを行いながら宇宙生活を満喫するオンラインゲームだ。2003年5月のサービス開始以降,何度もアップデートが行なわれているタイトルで,去る2009年3月10日には最新拡張である「Apocrypha」が実装された。今回は,Apocryphaで追加された新要素を紹介しよう。
 なお,よくいわれることだが,EVE Onlineは非常に独特かつ複雑なゲームで,遊び方を理解するためにはかなり時間がかかる。本稿ではアップデート情報だけでなく,EVE Onlineの基礎情報も織り交ぜて紹介するので,EVE Onlineを未プレイの人にもぜひ読んでもらいたい。

画像集#001のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
公式サイトで公開されたApocryphaの壁紙。おそらく背後のウネウネがワームホールだ

「ワームホール」がEVE Onlineの世界に出現


画像集#012のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 Apocryphaの実装により,「Wormholes」(ワームホール)がEVE Onlineの宇宙に出現した。ワームホールとは,違う場所同士を接続するゲートのようなもの。これが実装されたことで,移動時間が一気に短縮される……のかといえば,そういうわけではない。今回実装されたワームホールの先は,今まで行けなかったまったく新しい世界(宇宙)になっており,そこには新たな資源や技術があり,そして敵がいるのだ。

 ワームホールは不安定なので,さまざまな場所に現れたり消えたりする。また,ワームホールの先にある未知の宇宙は,いわゆるギルド的なコープやアライアンスの領土にはできない。つまりゲーム内コンテンツとして,領土争いの対象となる場所が増えたのではなく,仲間と一緒に出掛けて,PvE寄りの遊びを楽しむところができたのである。


・新たな「NPC勢力」と「NPC用AI」
 ワームホールの先にある未知の宇宙でプレイヤー達が出会うのは,「Sleeper」と呼ばれる,新たなNPC敵勢力だ。Sleeperは,お互い回復しあったり,戦闘の状況に合わせてターゲットを変更したりと,複雑な戦い方をしてくるなど,これまでのNPCとは異なる新開発のAIで制御されている。したがって,今まで通用したNPCとの戦い方はあまり役に立たない。Sleeperとの戦いではPvPに近い戦術が必要になるだろう。

・「Tech3(技術レベル3)」の導入
 ついに「Tech3」の技術が導入された! といってもなんのことか分からない人が多いと思うのでTech(技術レベル)について説明しよう。
 EVE Onlineの世界には途方もない数のアイテムが存在する。船もアイテムだし,船につける武器やミサイル,弾薬,各種装備品もすべてアイテムだ。そして大雑把に説明すると,EVE Onlineに登場するアイテムは「一般品」と「高級品」の2種類に分けられる。「一般品」にあたるのが「Tech1」のアイテム,「高級品」にあたるのが「Tech2」のアイテムだ。Tech2アイテムは,Tech1アイテムよりも性能がいいが,使用するためには高度なスキルが必要で,値段もかなり高い。

画像集#014のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 Tech2はEVE Onlineのサービスが始まって間もない頃のアップデートで実装され,それ以降何年間も「Tech2=ゲーム内で手に入る最高性能のアイテム」という位置づけだった。そこについにTech3が入るわけだが,すべてのアイテムに「超高級品」としての「Tech3グレード」が加わってしまうと,これまでずっと最高級品だったTech2アイテムの資産価値が大暴落して,ゲーム内経済が崩壊してしまう。したがって,Tech3はそういう形では実装されない。Tech3はこれまでのTech1&Tech2とは異なるレイヤーで実装されるのである。

 Tech3で作れるアイテムは,拡張導入の時点では,新たに追加された「ストラテジッククルーザー」というタイプの宇宙船と,そのパーツだけだ。ストラテジッククルーザーは,好みの“モジュール”を組み合わせることで,外観と性能をカスタマイズできる。これは,いままでの宇宙船にはない特徴だ。また,ストラテジッククルーザーを操るには,専用スキルの習得が必要だが,その習得難度はTech2のものよりも簡単である。

 つまり,「Tech1=一般品,Tech2=高級品」というアイテムの価値に変更はなく,組み立て可能な新しいクルーザー,それを作る特殊な方法と,操縦するためのスキルが追加されたのである。Tech3などというと,いかにもTech2の上を行くものに思えるが,まったく別物なのだ。少々分かりづらいネーミングかもしれない。

 ちなみに,Tech3用の設計図と材料は,ワームホールの向こう側で獲得できる。つまり,新しい世界からもたらされた“新技術”という設定なのだ。

画像集#002のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
これがTech3のストラテジッククルーザーだ

・「新規プレイヤー用コンテンツ」の見直し
画像集#003のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 今回の拡張では,チュートリアルの見直しが行われ,キャラクタークリエーションも分かりやすくなった。キャラメイクはかなり簡略化されており,種族や性別などを指定して,顔グラフィックスをカスタマイズすれば,すぐにゲームを始められるようになったのだ。以前はゲームがスタートする前に能力値の細かな割り振りや,キャリア(職業のようなもの)の選択を行う必要があったので,かなり楽になったといえるだろう。


画像集#004のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介 画像集#005のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介

画像集#006のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 プレイ導入部は,チュートリアルテキストを読んだのちに,ミッションを二つ行い,続いてキャリアごとに異なる10連続のミッションを進めていく,という基本構成に変わりはない。しかしその内容は変更されている。
 最初のミッションに,後述する新機能「スキルキュー」の説明が追加され,ごく基本的なスキルを習得するためのスキルブックを段階的にもらえるようになった。EVE Onlineのほぼすべての初心者プレイヤーが陥った「目的地が分からない問題」は,ミッションの目的地が明示されるようになったので,解消したといえるだろう。


 チュートリアル終了後に始まるミッションは,今まではキャラメイク時に決めた専門分野に関連するミッションが自動的に届けられ,専門以外のミッションを受ける場合は,インターネットなどで情報を調べて,NPCを探しにいかなければならなかった。だがアップデートにより,Industry(工業,アイテム生産),Business(商業,アイテム売買),Military(軍事,戦闘)各分野の仕事をくれる三人のエージェントの所在地が表示されるようになったのだ。これで,専門以外のミッションを簡単に受けられる。

画像集#007のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
三人のエージェント


・「Epic Mission Arc」の追加
 Epic Mission Arcは,比較的初期から楽しめる大がかりな連続ミッションで,四大帝国を巡る旅へとプレイヤーを導く構成になっている。各ミッションをクリアしていくほど報酬がよくなっていき,最終的には,どの勢力に加担して戦うかという決断が迫られるのだ。


・便利な「スキルキュー」が利用可能に
画像集#008のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 EVE Onlineは,キャラクターの育て方がやや特殊で,成長させたいスキルを指定しておけば,ログアウトしていてもトレーニングが進んで,時間がくれば完了する仕組みだ。新拡張によって,トレーニング終了後に,次のスキルトレーニングが自動的に始められる「スキルキュー」が実装された。キューには24時間分のトレーニングをセットしておけるので,いままでのように1日に何度もログインして,トレーニングが終了したかどうかをチェックする必要がなくなったのは嬉しい。うまく利用すれば,一日一回の操作でも,数時間おきにログインするのと同等の効率でキャラクターを育成できるのだ。


・「シップフィッティングパネル」を刷新
画像集#009のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 ゲーム中で頻繁に使うインタフェースの一つ「Fitting Screen」の改良が行われた。新しいウインドウではアーマー/シールドの強度やCPU/パワーグリッドの消費状態などがグラフィカルに表示され,従来よりもそれらの状態を把握しやすくなった。さらに,船に取りつける装備モジュールの組み合わせパターンをセーブ/ロードできるようになり,かなり使い勝手がよくなったのだ。

 上記以外には,UIのセッティングのエクスポートができるようになったり,ゲーム内のアートやエフェクトが改良されたり,サウンドエンジンが新しいものになったりといった,細かなアップグレードが行われている。
 さらにゲーム内でロシア語のサポートが始まった。実は同じタイミングで日本語も試験的に導入される予定だったが,残念ながら今回は見送られた。だがそう遠くないうちに,ゲーム内のテキストが日本語で読めるようになるだろう。


画像集#010のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 さて,以上でEVE Onlineの新エクスパンション「Apocrypha」の紹介は終了だ。ゲームの印象をできるだけ正確に伝えようと正直に書いていたら,「分かりにくい」とか「複雑だ」といった言葉が多い記事になってしまった。だからといってEVE Onlineがつまらないといっているわけではない。
 本作に対する世界的な評価は非常に高く,筆者自身もEVE Onlineにはとても興味を持っている。個人的には,「時間さえあればどっぷりのめり込んでプレイしたい」と感じるオンラインゲームは,「World of Warcraft」とEVE Onlineだけだ。


 さらに言えば,コンテンツ消費型のMMORPGであるWoWには,「もうそれほど新しい展開は期待できないかな」と思っているが,その一方で,EVE Onlineに対しては,「いつかEVEを手本にして作られた作品が増え,“EVE系MMO”という言葉が生まれるのではないか」と考えており,高い可能性や将来性を感じているのだ。

画像集#011のサムネイル/待望の新拡張「Apocrypha」を実装! より分かりやすくなった「EVE Online」をビギナー向けに紹介
 EVE Onlineがビギナーにとって敷居が高いのは事実である。だが,だからこそ,底がなかなか見えず,やりがいを感じられて面白い。ゲーム世界にポーンと放り出されて途方に暮れる感じや,初心者に意地悪しようと仕掛けられたトラップがそこら中にあり,その横を「ふふーん,ひっかからないよ」とやり過ごす感覚。“制限がない代わりに保護もされない”という危険と隣り合わせの状態など,そういったものをエンターテイメントとして楽しめる大人には,EVE Onlineをお勧めできる。最初は苦労することが多いかもしれないが,ぜひ多くの人に遊んでもらいたいゲームの一つだ。

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