[IGF2002 02]Combat Flight Simulator 3
文・写真 奥谷海人
フライトシムファンにとって待望の最新作
「Combat Flight Simulator 3」(以下,CFS3)が,オフィシャルに初公開された。同シリーズは,本家のFlight Simulatorシリーズの後追いとして,同じエンジンを使用して制作されるのが常だったが,CFS3ではグラフィックスエンジンに新しいものが使われており(物理エンジンのようなほかの部分はFS2002のモノを流用している),
GeForce3搭載の1.2GHzシステムで,秒間8万ポリゴン(平均37fps)を叩き出していた。
このグラフィックスエンジンを開発する必要があったのは,第二次世界大戦時のヨーロッパ戦線の雰囲気を最大限に実現するために,いままでよりもっと
"地面に機体を近づける必要があった"ためだ。名作「Crimson Skies」と同じ路線だが,CFS3では細かい針葉樹林などまで一本一本描かれており,間道を列をなして行進するパンツァーの戦車隊や,ビルや家屋までもしっかりと表現されていた。今後は,地面のオブジェクトにはさらに細かいテクスチャを貼り付け,爆撃すると火を吹いて燃え上がったりもするらしい。これらを活用して,さらに実践的なミッションも増えることになるのだ。
さてCFS3では,スピットファイヤーなどを始めとした
米英独の18機が登場することになり,それぞれに複数のバリエーションが加えられているのだという。例えば英軍機のモスキートなどは,ヨーロッパ戦線時には3種類があったことが知られているが,これらも忠実に忠実にモデリングされることになる。ドイツのJu88などかなり通好みの戦闘機や爆撃機も用意されているが,一番気になったのはドイツのツインジェット戦闘機,Go229も操縦できるということである。Go229は試験飛行で敵地へも進入したものの,実際の戦闘には加わることのなかった当時の最新鋭機で,現在のステルス爆撃機のような3角形のボディをしているユニークなものだ。CFS3では,CFS2では達成し得なかった「ゲームに出現する全てのクラフトに搭乗できる」のが大きなポイントなのだ。
機体のテクスチャにはリフレクションマッピングが加えられており,メタリックな機体ではモロに地上の風景を反映させているなど,現段階でさえ"ゲームもここまできたか"と思わせるリアルさに仕上がっている。とくに,オープニングムービーではCFS3のグラフィックスエンジンのレンダリング機能を使った映像が見られたが,まるで実写を見ているかのようなCGが美しかった。
ちなみに今回のIGFでは,Crimson Skiesを思わせるようなストーリー仕立てのムービーが公開されていたが,CFS3は
あくまでもシミュレータに固守した形のミッションベースになるのだと,開発をリードするロブ・ブラウン(Rob Brown)氏は語ってくれた。ただしブラウン氏によれば,RPG的な要素もいくぶん加味されており,プレイヤーの操縦の仕方によってはGに対する耐性や視覚範囲などの向上があるとのことだった。
シミュレーションに関しては,3Dコクピットも格段に進化し,プレイヤーのジョイスティックの動きに合わせてラダーやスロットルはアニメーションするし,ボタンなどもすべて作動するのである。面白いのは,通常フライトシムでは機体の鼻部分にカメラを置いた第1人称視点と,コクピット内からの第1人称視点という二つのカメラモードが一般に使用されてきたが,本作では前者のカメラ視点であっても,主要な計器だけを画面下にオーバーラップさせるようなインタフェースが登場したことだ。生粋の飛行機野郎には納得がいかないかもしれないが,シミュレーションの質を落とさずに初心者でも遊びやすくするような,効果的な仕様だと思う。
マルチプレイヤーモードでは,
チーム対戦もしっかりとサポートしている。機体の色合いを変えることがゲーム内で設定できるようになっており,仲間同士が編隊を組むことも可能にしている。さらに,複数のパイロットが必要な機体なら,コクピットとガナーに別れて協力し合えるのだという。
CFS3は
2002年秋発売予定になっており,すでにマイクロソフトが日本語化する体制になっているようだ。期待して待とう。