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上海オタクショップめぐり。「原神」グッズや中国ロボのプラモが欲しいので,ぶらぶらしてみる[BW2024]
初めてBiliBili Worldに足を運んだ身としては,中国のオタクのトレンドや熱気が肌で感じられて,非常に楽しかったのだが,心残りもある。物販,行きたかった……。
いや,もちろん仕事で来ているわけだし,とくに「原神」の物販など並ぼうものなら1日が終わるのではないかというレベルなので,指をくわえて見ているしかない。それでも遊んでいるゲームの現地グッズを目にしたら,欲しくなるのが人の性ということは,ご理解いただきたい。いいなー。
中国で開発されているゲームだけでなく,日本のアニメなどの物販も大いに盛り上がっていたのだが,ふと思ったのが「中国のオタクは,普段どこで買い物しているんだろう」ということだ。例えば日本なら,アニメイトなどのショップが全国にあるし,なんならプラモデルなどは家電量販店でも手に入る。
しかし,BiliBili Worldではそうしたグッズを買うために物販に人が押し寄せているわけで……そもそも,中国のゲームの現地にしかないグッズは,どこで売っているんだ?
というわけで,BiliBili Worldの会場を離れ,上海市内のオタク向けショップをいくつか回ってみることにした。
場所は上海の中心地「南京東路」。観光地として有名な場所なので,行ったことがある人も多いかもしれない。
まず向かったのは老舗デパート「新世界城」だ。「老舗デパート」という単語が,オタク向けのショップとまったく結びつかないと思うのだが,意外や意外。ここは1フロア丸ごと“そういう場所”になっている。
日本のIPのグッズはもちろん,中国のゲームのグッズを取り扱っているショップもあるし,ロリータ服のお店やコラボカフェなどもある。筆者が行ったときは,日本のイラストレーターとのコラボカフェが開催されていた。マーダーミステリーの店舗もあって,さすが本場という感じだ。
グッズが置いてあったタイトルを挙げておくと,原神や「崩壊:スターレイル」「アークナイツ」「リバース:1999」「ブルーアーカイブ -Blue Archive-」など。アクリルスタンドや缶バッジなど,日本でもよくあるグッズが多いが,中には「こんなのあるの!?」という商品も見かけて,なかなか面白い。
例えば,原神関連のグッズで笑ったのがスメール教令院のバッジだ。6つの派閥ごとのバッジが用意されているのだが,プレイヤーでも「このアイコンなんだっけ……」と,どこで出てきたのか思い出せないし,説明を見ても「俺は明論派推しだからこのアイコン!」とはならない。マニアックすぎるだろ! アルハイゼンが好きだから知論派,みたいな選び方になるのだろうか。
グッズ類を購入するのは,中国でも男性より女性のほうが多いようで,このフロアにも女性が多かった。では,男性のオタクはどうしているんだと言うと,デパートを出て5分ほど歩けば,また面白い場所がある。見た目は年季の入ったただのビルなのだが……。
中に入ると,3階建ての薄暗いスペースの中に,ガンプラやプライズを扱うショップにカードショップ,TRPGやマーダーミステリーをやるためのショップなどがギュっと詰め込まれた,大変ディープでアングラ感漂う空間が広がっていた。なんだか,昔の秋葉原のような怪しさがあって,とても良い。
客層も若い男性が多く,「こういうところでガンプラを買っているのか!」と納得だ。デパートと比べると環境の差がだいぶ激しいが,家賃が安い場所にオタク系ショップが集まった結果なのだろうか。
休日の昼過ぎに行ったのに,閉まっているショップも多く見られ,店主の気分で開けているのではないかとさえ思う。
続いては,上海のオタク向けスポットとして外せない「百聯ZX創趣場」だ。南京東路の大変良い立地にあり,オープンからまだ2年も経っていない新しい施設である。
ここを一言で表すならオタクビル。6階建てのビルの中には,その手のショップしか入っていない。アニメイトやTAMASHII NATIONS STOREなど,日本で見慣れたショップも多数入っていて,どちらかと言えば日本のIPがメインのようだ。
コラボ系の飲食店も複数あり,「NARUTO -ナルト」をイメージしたラーメン屋や,「アズールレーン」のコラボカフェもあった。
このオタクビル,日曜日に行ったからか,めちゃくちゃ混んでいた。BiliBili Worldの会場かというぐらい,狭い通路に人が詰まっていて,なかなか前に進めない。というか,BiliBili Worldの帰りに来ている人も多数いて,コスプレしたままの人も見かけた。会場からは電車で30分ぐらいかかるが,ずっとその格好で移動していたのだろうか。
以上,いくつか回ってみたが,日本人の視点で一番楽しかったのは,意外にもデパートだ。ディープな空間やオタクビルは,中国のオタクが来る場所としては納得するし,興味深くはあるのだが,売っているものの多くが日本で見慣れたものなので,我々日本人からすると,財布の紐が緩まない。
筆者の目的だった原神グッズも,一番多かったのはデパートだったので,日本のオタクが嬉しい場所と,中国のオタクが嬉しい場所は,ちょっと違う感じだ。もし上海に足を運ぶ機会があれば,デパートのオタクフロアにはぜひ行ってみてほしい。一番快適だし。
もう1つ,日本のオタクが上海に来たら見たいスポットとして,南京東路を離れたところも紹介しておこう。目的地はタクシーに乗って十数キロ,ららぽーと上海金橋だ。ここでは,実物大ガンダムの1つが見られる。
日本では,横浜の動くガンダムは展示が終わってしまったが,今でも台場のユニコーンガンダム,福岡のνガンダムの実物大立像が展示されている。そして,ここ上海にあるのがフリーダムガンダムだ。
フリーダムガンダムと言えば,巨大な翼が特徴的だが,畳むとしてもどうやって実物大で再現するんだろう? と疑問だったのだが,どうやらランディング・ギアを装備しているという設定で,地面とつながっているようだ。なるほどなぁ。
足元から見上げるだけでなく,ららぽーとで一定額以上の買い物をすると,隣の見学スペースに登れるサービスも行っているようだ。
なお,筆者がららぽーと上海金橋に足を運んだ理由はほかにもあって,この中のホビーショップが「摩動核(MOTOR NUCLEAR)」の商品を扱っているという情報を見たからだ。
「摩動核(MOTOR NUCLEAR)」は,昨年のChinaJoyで紹介している(関連記事)が,中国オリジナルのフィギュア・プラモデルを展開しているメーカー。どうせなら中国発のロボを持って帰りたいと思ったのだ。
最も,このホビーショップは2製品しか取り扱っていなくて,ちょっとがっかりだったのだが……(買ったけど)。
ちなみに,昨年も中国に来た時にプラモデルを購入しているのだが,摩動核の製品は「中国ロボプラモ,クオリティ高いな!?」と思うぐらいには良い。金属フレームを採用していて,ずっしりとした質感はフィギュアのようだし,サイズがでかくて見映えもする。
ただ,パーツ数が非常に多く,全身がキンキンに尖っていて指に刺さるので,普通に組むだけでも大変だ。でもカッコイイんだよなぁ。
しかし,昨年のChinaJoyで紹介したようなさまざまな中国ロボは,今回のオタクショップ巡りではまったく見なかった。中国のファンはどうやって買っているのだろうか。毎年,これが楽しみで中国に来ているところもあるので,割と切実に知りたい。
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