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[GDC 2024]“スーパーインディー”たちが立ち上がる!ショーケースイベント「The Triple-i Initiative」の開催決定
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印刷2024/03/29 15:28

インタビュー

[GDC 2024]“スーパーインディー”たちが立ち上がる!ショーケースイベント「The Triple-i Initiative」の開催決定

 著名なインディーデベロッパが一堂に会した新たなショーケースイベント「The Triple-i Initiative」が発表された。第1回のストリーミング配信は日本時間2024年4月11日2:00に始まる予定で,各社の新作やプレイ映像などを紹介する45分間の番組になるという。配信は,YouTubeTwitchbillibilli,さらにSteamなどで視聴可能だ。


 発売予定の作品などを発表するショーケースといえば,プラットフォームホルダーやパブリッシャが主催するものや,「Summer Game Fest」のようにメーカー各社が協賛するものなど,1年をとおしてさまざまなイベントが存在する。今回の「The Triple-i Initiative」は,広告やスポンサーなどなしで,参加するデベロッパがトレイラーなどを持ち寄り,自分たちの新作や最新情報を披露するというものだ。

 参加する顔ぶれは豪華であり「Solar Ash」(2019年)のHeart Machineや,「Darkest Dungeon 2」(2023年)のRed Hook Gamesなど,海外インディーゲームのアンテナを張っているゲーマーなら必ず聞くようなデベロッパが集結した。さらに,Focus EntertainmentやGearbox Software,Humble Games,tinyBuildなど,インディーゲームに親和性の高いパブリッシャが積極的に協力しているという。

 この発表を前に,カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたGDC 2024会場近くのコーヒーショップで,「The Triple-i Initiative」の発起人たちに話を聞く機会を得た。集まったのは,「Dead Cells」(2018年)のEvil EmpireでCOOを務めるベンジャミン・ローラン(Benjamin Laulan)氏と,マーケティングディレクターのべレンジャー・デュ―プレ(Bérenger Dupre)氏,大ヒットを記録した「Vampire Survivors」(2022年)のponcleでパートナーシップマネージャーを務めるジオ・モーガン(Geo Morgan)氏,デビュー作の「Slay the Spire」(2019年)が大きな話題となったMega Crit Gamesの創業者の1人,ケイシー・ヤノ(Casey Yano)氏で,これまた驚くようなメンバーだった。

左からEvil Empireのべレンジャー・デュ―プレ氏ベンジャミン・ローラン氏,poncleのジオ・モーガン氏,そしてMega Crit Gamesのケイシー・ヤノ氏。ヤノ氏は両親が日本生まれで,今回は雑談時にも普通に日本語を話していた
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「The Triple-i Initiative」公式サイト



我々のゲームを愛してくれる人たちに
しっかり情報を届けたい


4Gamer
 本日はよろしくお願いします。まず,「The Triple-i Initiative」がスタートすることになったきっかけを教えてもらえますか。

ベンジャミン・ローラン氏
 昨年8月の「gamescom 2023」のショーフロアを歩きながら,次の作品をどうやって効果的にファンに紹介しようかといったことを考えていました。それで,何人かのデベロッパと話しているうちに,自分たちのデジタルイベントを配信しようってアイデアが浮かんできたんです。

4Gamer
 声をかけられた相手というのが,モーガンさんとヤノさんですか。

ジオ・モーガン氏
 いや,我々にはあとからメールで連絡が来て,賛同したんです。我々はゲームイベントに積極的に参加するといったメーカーではないので,メンバーと顔を合わせたのはついさっき,このインタビューのために集まったのが初めてです。いつもは,チャットで話し込んでいるんですけどね。

ケイシー・ヤノ氏
 私もそうです。普段からシアトルを出ることもなく,ずっと自宅でゲーム作りをしていますので,メディアの人と顔を合わせてインタビューを受けるのも初めてです。

ローラン氏
 ほんとにね。ケイシーはどの時間帯に連絡しても,すぐにきっちりメッセージを返してくれますよ(笑)。

ヤノ氏
 一応,ゲームを作っている時間以外,朝の4時から9時までは規則正しく寝てますよ(笑)。まあ,携帯の音がすればすぐに反応するけど。

3月12日には,協賛デベロッパがロゴをあしらったティザーGIF動画を配信したりしていた
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4Gamer
 デジタルショーケースイベントはほかにも多くありますが,「The Triple-i Initiative」に求めているものはなんでしょうか。

ローラン氏
 (ほかのイベントは)インディーゲームにしっかりスポットライトが当てられていません。メジャーなパブリッシャの発表の間に組み込まれて,付け足しのような扱いになっていて,我々のゲームを愛してくれるゲーマーたちにきちんと情報を届けられていないと感じていたのです。

ヤノ氏
 そうそう。配信中のライブチャットが「こんなゲーム,つまんね……」といったメッセージで埋め尽くされたりして,逆にネガティブな印象さえ与えてしまうくらいですからね。

べレンジャー・デュ―プレ氏
 それに,せっかくインディーゲームを中心にしたショーケースがあっても,配信時期が悪くて注目されないことも多いと思います。もっと視聴者層を絞って,彼らに発信できるイベントが必要だと考えているのです。

4Gamer
 なるほど。ところで,今回のメンバーは,インディーデベロッパの中でもブロックバスター級のスタジオばかりといった印象です。

ローラン氏
 そう,それがネーミングの由来なんです! インディーは予算や人数でAAA(トリプルA)ではないけど,それくらいのゲームを作る能力はある。だから我々は「iii」(トリプルi)であるのだと。

モーガン氏
 でも,ちょっとダサいよね。ロゴも工夫が必要だ(笑)。

ヤノ氏
 そもそも,どう読めば良いのかも分からない。トリプル・アイ? アイアイアアイ?

ローラン氏
 まあ,いろんな意見はありますけど,アルファベットをうまく使うのが今のゲーム業界のトレンドなんだってば(笑)。

4Gamer
 「The Triple-i Initiative」に参加するには,例えば「100万本以上の販売実績」といった資格が必要ですか。

ローラン氏
 いやいや,それはないです。我々の趣旨に賛同くれるデベロッパなら,誰でも連絡してほしいですね。発表を同じ時期に合わせるのは,非常に難しい作業になりますが。

デュ―プレ氏
 我々も,ほかのデベロッパがどういう仕事をしているのかって情報はまったく知りません。我々自身,イベントでの皆さんが何を発表するか,楽しみにしているのです。

4Gamer
 参加メンバーが多いと,それぞれが1〜2分程度の発表になってしまいそうです。それはそれで,情報が埋もれてしまうようにも感じられますが。

ローラン氏
 このショーケースイベントをどのように利用するのかは,もちろん,それぞれのデベロッパに委ねられています。ティザー的にチラリと新作情報を公開するのもいいでしょうし,イベントのあとにプレイ動画を配信する人もいるでしょう。要は,インディーゲームに興味のある人たちをより多く集めたいというのが開催のコンセプトなのです。

少々ややこしいが,「Dead Cells」の開発チームであるMotion Twinは2019年から2020年にかけて分裂し,現在はそこから生まれたEvil Empireが開発をリードしている。70人規模の開発メンバーという,まさにトリプルiレベルのデベロッパに成長した。2022年末には,アニメ化も発表されている
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4Gamer
 それにしても,2023年にリリースされた,「Dead Cells: Return to Castlevania Edition」には驚かされました。インディー開発者がコナミと交渉して,「悪魔城ドラキュラ」とのコラボに成功したんですから。

デュ―プレ氏
 ありがとうございます。京都のBitSummitに参加したときに,コナミの人と会う機会があって……まあ,幸運だったとしか言いようがありません。そもそも「Dead Cells」は,「悪魔城ドラキュラ」にインスピレーションを受けたゲームですからね。声をお掛けして,後日,オフィスを訪ねるとトントン拍子で話が進んでいきました。

筆者も何時間プレイしたのか定かではないPoncleの「Vampire Survivors」。「The Triple-i Initiative」では何らかの新発表があるのだろうか
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4Gamer
 「Slay the Spire」や「Vampire Survivors」は,神話的な成功を収めました。派手なプロモーションやパブリッシャもなく,いつの間にか話題になり,やがて1つのジャンルを築くといった。

ヤノ氏
 そうなんです。私は自分の作りたいカードゲームを作っただけだったので,「Slay the Spire」の販売がリリース当初,あまり伸びなかったことも気にしていませんでした。あるとき,中国のストリーマーが「Slay the Spire」を取り上げて,それを起点として,多くの人が遊んでくれるようになりました。

モーガン氏
 「Vampire Survivors」も似たような感じです。Itch.loで公開された頃はまったく話題になっていなかったのに,Steamで販売を開始したとたん,大きな反響があったという。

4Gamer
 それだけに,「The Triple-i Initiative」のような,ゲーマーコミュニティに向けた活動に力を入れたいというわけなんですね。

ヤノ氏
 そういうことです。

Steamで圧倒的に好評を維持するMega Crit Gamesの「Slay the Spire」もリリースされたのは5年前。そろそろ次の何かが始動していても,おかしくはない
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ローラン氏
 日本での放送は深夜になりますが,「The Triple-i Initiative」にはぜひ注目してください。きっと皆さんが遊びたいと思うステキなゲームがいくつも見つかると思いますよ。

4Gamer
 本日はどうもありがとうございました。


 上記のとおり,「The Triple-i Initiative」は,日本時間4月11日2:00から45分間にわたって配信される予定だ。話題になりそうな新作情報が次々に飛び出してきそうなだけに,時間を合わせて視聴してほしい。

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「The Triple-i Initiative」公式サイト

「The Triple-i Initiative」参加・協賛スタジオ一覧
A44
Assemble Entertainment
Awaceb
Blobfish
ColePowered Games
Digital Sun
Drop Bear Bytes
Evil Empire
Extremely OK Games
Fireshine Games
Focus Entertainment
Fumi Games
Gamera Games
Gearbox Software
Gearbox Publishing
Gentlymad Studios
Ghost Ship Publishing
Heart Machine
Hooded Horse
Humble Games
Ishtar Games
Kepler Interactive
Mega Crit
Northplay
Passtech Games
Pathea Games
PlaySide Studios
PlaySide Publishing
PM Studios
poncle
Quite OK Games
Realm Archive
Red Hook Studios
Re-Logic
Stunlock Studios
The Arcade Crew
The Gentlebros
Thorium
Thunder Lotus Games
tinyBuild
TRIBAND
Youthcat Studio

「GDC 2024」公式サイト

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