企画記事
ネコ用おもちゃアプリ5作品を2匹のネコがガチレビュー。忖度なしの「ネコゲーグランプリ」を勝手に開催!
この世にはネコのキャラクターが登場するゲーム(広義のネコゲー)が多く存在し,その数は時とともに増え続けています。4Gamerにおいては,「猫」のワードで記事を検索すると8万件以上がヒットすることからも,ネコとゲームの関係の深さがうかがえます。
しかし,「ネコゲー」の多様さはそれだけに留まらないようです。ゲームメディアに携わっている身としてネコゲー情報にはアンテナを張りめぐらせているのですが,「ネコの遊び用に開発されたおもちゃアプリ」なるものがスマホやタブレットなどのモバイル端末向けに配信されているのを知り,人間以外の立場からプレイした際にどのような反応が現れるのか興味が湧きました。果たしてネコは本当にネコゲー(まさしくネコのためのゲーム)を楽しめるのでしょうか?
今回はわが家で暮らす2匹のキャットたちにそうしたネコゲーアプリを実際に遊んでもらい,その模様を比較しました。コンディションによる食いつきのムラを抑えるため,3日間にわたり観察した結果を「ネコゲーグランプリ」と題してお届けします。なお本グランプリではiOS向けのアプリに種類を絞り,画面サイズ10.2インチのiPad(第9世代)にて検証を行いました。
チロル(右)…3歳の雄キジシロ。先住ネコだが温厚な性格のため縄張り争いでは負けがち。好奇心が強い割に臆病で,もなかの前では遊びに関してやや引いた態度を見せている
今回ピックアップしたのは以下の5作品。App Storeのレビューを参考にしつつ,ゲーム性やビジュアルのデザインに幅を持たせたラインナップとなっております。
目次
(1)「にゃんことあそぼ!2 -ねこでも遊べるネズミタップゲーム-」
(2)「Games for Cats!」
(3)「Wa Kingyo - 和金魚 -」
(4)「Mouse for Cats」
(5)「Cat Fishing 3D」
それぞれのアプリの特徴に触れながら,キャットたちによる厳正な審査の様子を見ていきましょう。
ゲームらしさはあるけれど……
(1)「にゃんことあそぼ!2 -ねこでも遊べるネズミタップゲーム-」
※本稿執筆時にはダウンロードできたが, 記事公開時点でストアページにアクセス不可となっている。先陣を切ったのは,ポップな見た目とコミカルな音楽で楽しそうな雰囲気が漂うこちらの作品。「自分がネコだったら,こういうのに飛びついてしまいそうだな……」と本グランプリの最有力候補ではあったものの,まさかの2匹とも関心を示さないという波乱の幕明け。
いきなり未知の遊び体験を提示されて気持ちが乗り切らなかったのか,あるいは両者にとって「not for meow(自分向けではない)」なタイトルだったのかもしれません。2日目,3日目と時間を置いて試しても反応は変わらずじまいでした。
動くネズミと下を向くチロル |
「これなに?」と言いたげなもなか |
シンプルながらフックあり
(2)「Games for Cats!」
こちらはシンプルな印象でしたが,意外と食いつきがよくキャットたちもしだいにエキサイト。何にでも関心を示すもなかだけでなく,普段は冷めた態度のチロルまでもが画面に触り始めた時は,筆者も「おぉ〜!」と声を上げてしまったほど。2匹ともレーザーポインターのおもちゃで遊んだ経験があるので,仕組みが直感的に理解しやすかったのかも。
また一定の時間が過ぎると,光をタップした際に鳴る音が自動で流れる仕様も,動物的な本能に訴える効果があったのではないでしょうか。ネコの可聴域はヒトの約3倍以上と言われており,ちょっとした物音を察知して敏感に反応することなども多く,ネコの興味を惹くアプリにはサウンドデザインが重要なのではないか……という仮説も成り立ちそうです。
画面に興味を持ち始める |
もなかの前では無関心を貫くチロル |
Games for Cats! ダウンロードページ
眺めるのもまた一興
(3)「Wa Kingyo - 和金魚 -」
ネコ向けに作られたアプリではないらしいのですが,「ウチの子も遊んでます」とのコメントをSNSで見かけ,候補に加えてみました。これまでの2作とは異なり,タップしても金魚が消えないなどゲーム性は薄いものの,ゆらゆら揺れる金魚の描写や広がる波紋のリアルな動きに惹きつけられたようです。
金魚を激しく連打していたかと思えば,10分近くじっと観察している時間もあり,時と場合によって楽しみかたの違いが生まれていたのも本作ならではの特徴。テンション高めに遊ぶのもよし,チルなムードで眺めるもよしと,日常使いに適した汎用性の高さを秘めていそうだなと感じました。
金魚を食べようと顔を近づけている |
2匹とも思わず見入ってしまう |
Wa Kingyo - 和金魚 - ダウンロードページ
怖いぐらいにドハマり
(4)「Mouse for Cats」
このグランプリで圧倒的な関心を集めたダークホース(筆者目線ではあまりそそられなかった)。アプリを立ち上げた瞬間2匹の顔つきが変わり,画面を猛タップするほど夢中に。起動するたびに音を聞きつけ,「え? いまネズミいなかった?」と目をキョロキョロさせながら駆け寄ってきます。
その理由を考えてみると,突然走り出しては急停止するネズミの移動パターンの不規則性や,細く長いしっぽのダイナミックな動きが狩猟本能を刺激している点が挙げられそうです。ネズミは時おり画面からフェードアウトして姿を隠すこともあり,「気を抜くと見失ってしまう」もどかしさが没入度の高いプレイ体験を生んでいるのではないか,そんな推測もできるかもしれません。
さらに本作はサウンドデザインの面でも,プレイヤーであるネコのツボを見事に押さえていると言えるでしょう。まるで本物のネズミを捕まえた際に出るような甲高い音は,キャットたちにとっては抗えない魅惑的な響きにも聴こえます。
ネズミが消えた…? |
もなかの食いつきぶりに引きぎみのチロル |
Mouse for Cats ダウンロードページ
情報量は多いが関心集まらず
(5)「Cat Fishing 3D」
こちらも楽しげな雰囲気で盛り上がりを期待していたのですが,キャットたちの反応はいまひとつ。生き物の数や種類を変えたり,移動スピードを調整したりといろいろ試しても結果は変わらず。
他のアプリと比べると動きが少し単調だった点や,BGMが鳴っていたことで効果音が目立ちにくくなっていた点などが,関心を集めづらかった要因かと思われます。情報量が多ければ必ず惹きつけられるというわけでもないことが分かり,ネコの世界におけるゲームデザインの適切なバランスを探ってみるのも奥が深そうだと感じました。
Cat Fishing 3D ダウンロードページ
栄えある「No.1ネコゲー」は……!?
以上5作品を試したところで,今回のネコゲーグランプリは終了です。ネコの遊び用に開発されたおもちゃアプリ自体,わが家のキャットたちにとっては初めての出会いだったものの,それぞれ異なるゲーム性から引き出された反応を通じて2匹の新たな一面に触れられた気がしています。
本グランプリの総括として,最もキャットたちの遊び心を満たしていた「Mouse for Cats」に「No.1ネコゲー」の称号を贈りたいと思います。緩急をつけて蛇行する予測しづらい動きに加え, ネズミがたまに立ち止まることで集中して狙ったり待ち伏せたりする駆け引きが生まれるのも, ネコを惹きつける本作独自の魅力に映りました。こうしたアプリを用いるうえでは各キャットの気分や性格,どんな遊びをしてきたかといった経験も絡んでくるため,あくまでわが家の例となりますが,参考にしていただければ幸いです。この企画から得た知見を以下にまとめてみました。
・BGMはないほうが効果音に反応する傾向がある。画面に触れない時も自動で音が鳴ると関心が持続しそう(聴覚面)。
・刺激で興奮させるだけでなく,まったり画面を眺めて楽しむ遊びかたもあり。
これらの条件を踏まえると,ネコが遊んで楽しめるポテンシャルを備えたアプリは他にもまだまだ見つかりそうです。忙しさに追われ, 一緒に遊んであげられる時間がなかなか取れない状況は飼い主の多くに共通する悩みかもしれません。今回紹介したようなアプリは便利なツールとして遊びを代行してくれる一方, ネコの狩猟本能を満たしてストレスを解消するためには獲物を捕まえる手応えが必要だという説もあります。時にはアプリも使いながら, ネコじゃらしなどのおもちゃを振って個々のキャットの遊び欲と向き合う機会をなるべく作れたらと改めて思いました。
毎日一緒に遊ぼうね! |
最後にアプリで遊ぶ際の注意点を2つほど。ネコは遊んでいるうちに興奮して画面に爪を立ててしまう場合もあるので,事前に液晶保護シートを貼っておくと破損の心配が少なく安全です。また画面を無作為にタップした結果,「ネコがうっかり課金をしてしまった……!」というレビューも見られたため,広告や課金要素の有無についてもあらかじめ確認しておくとよさそうです。
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