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Activision Blizzardのボビー・コティック氏が感謝のメッセージを公開。12月末までの退任が決定か
長いCEO在任期間中,必ずしも順風満帆とは言えず,2021年にはカリフォルニア州政府によって,社内のセクハラ疑惑をもみ消すなどの不平等な雇用が常態化していたことを指摘された。社内では,社員のデモや労働組合の設立に向けた動きが発生したり,社外では数々の訴訟を起こされたりし,その影響で株価は下落。これらのことをきっかけにコティック氏は,次世代テクノロジーに遅れを取っていたActivision Blizzardの身売りを考え始めたという。
このことについては,12月18日に掲載した連載記事「MicrosoftのActivision Blizzard買収は結局なんだったのか。これまでの流れをおさらい」でまとめたとおりだが,それが2022年1月のMicrosoftによる678億ドルの巨額買収につながり,コティック氏も60歳を機に要職から離れることになった。
ゲーム開発の経験も持つというコティック氏だが,メッセージでは,学生時代に出会った「Mystery House」について語っているところが興味深い。そのうえで,「おそらく私の仕事の最も重要な部分は,才能ある人材を集め,可能な限り最高のリソースを提供し,インスピレーション,創造性,卓越性への揺るぎない取り組みを奨励する環境を促進したことでしょう」と,これまでの経歴を自己評価している。
Microsoftの買収については「フィル・スペンサー(Xbox部門責任者)は何十年にもわたってActivision Blizzardの魔法を高く評価してきました。2年前に彼が買収を提案したとき,有能でリソース豊富な競合他社のリストが増加する中,私たちの事業を融合することで,当社がリードを続けれられることが明白になりました」とし,買収はMicrosoft側からアプローチされたことを窺わせている。
メッセージではさらに,「新しいチャプターへと移行するにあたって,これ以上のことはありません。私は,これまで精力的に貢献してくれた人々に,これからも深く感謝するつもりです。そして,皆さんが今後も遊びの力を通じて人々に喜びを与え,団結させることを確信しています」と結んでいるが,コティック氏自身の去就については触れられていない。
海外IT系メディアのThe Vergeは,このメッセージが公開された直後にMicrosoftの社内メールを入手したと伝えている(外部リンク)。それによれば,コティック氏は2023年最後の営業日である12月29日を以て退職し,代わって,ゲームコンテンツ/スタジオ担当社長という肩書を持つMicrosoftのマット・ブーティ(Matt Booty)氏が,2024年1月1日以降のActivision Blizzardを統括するという。2024年3月末までには,多くのActivision幹部も離職するとも報じられており,Activision Blizzardの体制は大きく変わることになりそうだ。
Bobby Kotick: With gratitude
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