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印刷2023/06/30 18:47

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Web3市場の発展は大企業とスタートアップの協業がカギ。「IVS Crypto 2023 KYOTO」で語られた,博報堂,KDDI,ソニーの課題とは

 2023年6月28日,京都で開催されたイベント「IVS Crypto 2023 KYOTO」で,「大企業の視点から見たWeb3の可能性と課題点」という講演が行われた。

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 本講演は,ビットバンク 代表取締役社長 廣末紀之氏がモデレーターを担い,博報堂キースリー CEO 重松俊範氏,KDDI 事業創造本部 Web3推進部長 舘林俊平氏,ソニー銀行 DX事業企画部長 金森伽野氏によって,Web3事業を進めるうえでの課題が語られた。本稿では,三者三様の課題について紹介する。

 各氏の事項紹介後に廣末氏は,Web3事業を進めるにあたり,大企業ならではの問題があり,それは内部にも外部にも存在すると指摘した。Web3と一口に言っても,それはITでもあり,金融でもあり,法律も関わってくる。さまざまな要素がからみあったもので,大企業といえどもなかなか一社ではすべてを掌握するのは難しく,課題のオンパレードなのだという。

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左から博報堂キースリー CEO 重松俊範氏,KDDI 事業創造本部 Web3推進部長 舘林俊平氏,ソニー銀行 DX事業企画部長 金森伽野氏
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モデレーターを務めたビットバンク 代表取締役社長 廣末紀之氏

 最初に話を振られた重松氏は,ブロックチェーンの普及率というのはかなり低く,インターネット(IT)関連でいえば,1998年頃に近いと現状を分析した。1998年といえば,iモードも始まっておらず,iPhoneが登場する10年前にあたる。そんな普及率の中で重松氏の本業である広告事業を展開するのは,まだまだ難しい。だが,かつて街頭テレビで力道山の試合を見ていた多くの人達は,そのときに自分の家にテレビを置けるなんていうことは夢にも思っていなかっただろうが,それから時間が経ち,テレビは一家に一台どころかそれ以上に普及した。ブロックチェーンも同じようなもので,いまはまだ,そんなものがあるらしいぐらいしか認識していない人達も,あまり遠くない未来には,それと分からずにブロックチェーンに触れている時代がくると,重松氏は考えているそうだ。

 つまり広告に携わる会社としては,広告事業を展開できるほど普及していないというのが最大の課題とのこと。そういう理由もあり,今はハッカソンやキースリースタジオという企業のweb3オンボーディングを支援する事業を中心においているそうだ。

 この課題を解決するためには,たとえばゲームなどでヒット作を生み出すなど,ユースケースを数多く作り,Web3の市場自体を拡大させる必要があると,廣末氏は考えており,「たくさんユースケースを作りましょう」と,聴講者に呼びかけた。

 続いて舘林氏は,自身が2015年頃から携わっているVR事業を例にあげた。VR対応ヘッドマウントディスプレイは,コロナ禍の巣ごもり需要といった影響もあり,最近になってやっと普及しはじめたが,それでも2015年から8年近く経っている。Web3もVRの2015年頃の状況に似ており,ビジネスとして成立するぐらい普及するには数年単位でかかると予想した。そして,Web3が普及するまでの間にきちんとした事業環境を大企業が作れるかどうかが重要だと,舘林氏は考えている。

 そのためには,小さな予算規模で事業を試せる場を用意することが重要で,実際にWeb3が普及したときに大規模な事業を動かせるような環境作りをやっていきたいと語っていた。

 金森氏は,Web3が新しい領域のものであり,まだ制度やレギュレーションが定まっていないなか,大企業は安心安全に使ってもらうための対応をしっかりやっていくべきだと,自身の考えを述べた。

 またWeb3は進化のスピードが速く,大企業では対応が遅れがちになるが,社内プロセスなどで遅れてしまうことがないように気をつけているという。

 さらに,大企業は巨大なだけにさまざまな事業部があり,そこで似たようなプロジェクトが進行してしまい,カニバリゼーションが起きやすい環境にあるのも課題だと指摘した。だが,金森氏は自身がさまざまな部署を兼務するなどし,それぞれの部署の立場で物事を考え,総合的に判断するなどして,その課題の解決につとめているという。

 続いて廣末氏から「Web3において,大企業はどのようにスタートアップやVCと協業できるか」という質問が投げかけられ,重松氏が最初に返答した。

 重松氏は,自社の宣伝になるがと断りといれたうえで,クライアントとスタートアップ企業をマッチングする事業を手がけているという。そんな事業を手がける中で課題として挙がるのが,Web3という言葉の意味が広すぎ,一つの会社ですべてをまかなうのは難しい。大企業もどこか一つのスタートアップと協業するという形にするのではなく,NFTに強い会社,金融面で強い会社など,さまざまな会社と組み,業界全体でWeb3の市場を拡大していくことが重要だと指摘した。

 続いて話を振られた舘林氏は,KDDIの企業文化について言及した。KDDIは,通信以外の事業の成長戦略については基本的にオープンイノベーションでやっており,新規事業の立ち上げはスタートアップ企業との協業が多いのだという。それは,スタートアップ企業を立ち上げた起業家は,その一分野への情熱がすごく,理解も深い。サラリーマンのことを悪くいうわけではないが,部署異動もある人と,人生を懸けて会社を立ち上げた人とでは,知識量や覚悟なども異なる。そういったマインドを持った人達をいかに支援するのかがKDDIの役割ではないかと考えているという。

 金森氏も舘林氏に同意し,スタートアップ企業は一つのことに集中しており,事業展開のスピードも速く,大企業はそれをサポートしていくということでWeb3事業でも貢献できるのではないかと語った。

 それぞれの回答を受けた廣末氏は,大企業とスタートアップ企業が組むことで市場が一気に拡大し,成長していくとし,現在のWeb3事業はそういうフェーズに入っているという。改正資金決済法が施行されるなど日本の環境も整ってきていることから,今がチャンスだとし,一緒に産業を作っていきましょうと聴講者に呼びかけ,講演を締めた。

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博報堂キースリーのWeb3関連事業
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KDDIの会社紹介資料。オープンイノベーションをかがけている
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ソニーグループのWeb3取り組み事例

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