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ドワンゴ,文字商標「ゆっくり茶番劇」に関する見解を示す。実施するアクションについての記者会見は5月23日15時配信開始
なお同社は,この件で実施するアクションについての記者会見を,ニコニコ生放送(※外部リンク)にて5月23日15:00より配信するという。
今回の騒動は,YouTubeで動画投稿を行っている柚葉氏が5月15日,「東方Project」の二次創作であるゆっくり茶番劇の商標権を取得したと,自身のTwitterアカウント(※外部リンク)やYouTubeで発表したことに始まる。ゆっくり茶番劇は以前から多くのファンに親しまれてきたコンテンツジャンルであること,そして柚葉氏が当該商標を使用する場合の要網を発表したことから,ファンの間で波紋が広がっていた。
東方Projecの原作者・ZUN氏はこの件に関して「法律に詳しい方に確認しますね。」と5月15日の時点でツイート(※外部リンク)したほか,5月16日時点でニコニコに現存している中で一番最初に「ゆっくり茶番劇」タグがつけられたのは2010年8月のことだとツイート(※外部リンク)していたniconico代表・栗田穣崇氏も,「ニコニコとしての公式見解を出します」とツイート(※外部リンク)でファンに伝えていた。今回,その公式見解が明らかになったわけだ。
ドワンゴが法律事務所とも相談を行ったうえで示した見解は「『【ゆっくり茶番劇】<動画タイトル>』や『【ゆっくり劇場】<動画タイトル>』のような動画をニコニコ動画に投稿いただくことは、当該商標登録にかかる商標権を侵害することはなく、問題はないと考えております。」というもの。加えてドワンゴは,同社が“問題ないと考える例”と“当該商標の商標権者から商標権侵害と主張される可能性があると考える例”を具体的に明らかにしている(本稿末尾のリリース文に掲載)。
なお今回出されたのは,あくまでも,法律事務所との相談を経たうえでのドワンゴの見解となっている。「商標として認められるべきかどうか」「ある使用例が商標を侵害しているかどうか」は審査官や裁判官が個別具体的に判断する事柄であり,将来的に訴訟や審理が行われた時にどのような法的判断が下るかを保証するものではないと,ドワンゴは念を押している。
ニコニコ生放送の「『ゆっくり茶番劇』商標登録に関するドワンゴのアクション」ページ
弊社の見解について
株式会社ドワンゴ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:夏野剛)は、「ゆっくり茶番劇」という文字商標が登録(登録6518338号/登録日2022/02/24)され、ネット上で心配の声が多く寄せられている件について、事態を重く受け止めております。特に、投稿者の方が「自分の動画を削除しなくてはいけないのか」「ゆっくり関連の単語も使えなくなるのか」など様々な不安にかられている現状に、弊社としても心を痛めています。
このたび、5月23日(月)に実施する記者会見に先立ち、法律事務所とも相談を行った上での本件に関する弊社の見解を以下の通り発表させていただきます。当該商標権の効力が及ぶ範囲をご理解いただき、少しでも動画制作者の皆様に安心していただければ幸いです。
■見解
「【ゆっくり茶番劇】<動画タイトル>」や「【ゆっくり劇場】<動画タイトル>」のような動画をニコニコ動画に投稿いただくことは、当該商標登録にかかる商標権を侵害することはなく、問題はないと考えております。
<弊社が問題ないと考える例>
- 「【ゆっくり茶番劇】私のモーニングルーティーン」という動画タイトル
- 「【ゆっくり劇場】俺のオススメ商品TOP5」という動画タイトル
- タグや説明文中、セリフでの「ゆっくり茶番劇」という文字列の利用
- ゆっくりキャラクター等が登場する、各種の合成音声ソフトウェアを使った動画
- 東方Projectに関する動画
<当該商標の商標権者から商標権侵害と主張される可能性があると考える例>
- 「ゆっくり茶番劇 Part1」「ゆっくり茶番劇 Part2」や、「ゆっくり茶番劇 ①」「ゆっくり茶番劇 ②」等、「ゆっくり茶番劇」というタイトルの下に定期的に異なる内容の動画が投稿されている場合
- 「ゆっくり茶番劇」という文字列を、投稿者名やチャンネル名など動画の投稿元や提供元の表示として使用する場合
1.「ゆっくり茶番劇」は特許庁に登録された商標です。
特に「ゆっくり劇場」という文字列をタイトルに含む動画について、当該商標にかかる商標権を侵害するのではないかと心配している方がインターネット上に多く見受けられます。
弊社としては、「ゆっくり劇場」という文字列は「ゆっくり茶番劇」とは類似しない文字列であり、当該商標権の効力が及ばないものだと考えます。
※ 弊社では、「ゆっくり劇場」をはじめとした365種の文字列について検討を行い、「ゆっくり茶番」、「ゆっくり茶番?」及び「ゆっくり茶番劇場」という文字列を除き、いずれも「ゆっくり茶番劇」とは非類似であるとの見解に達しました。「ゆっくり茶番」、「ゆっくり茶番?」及び「ゆっくり茶番劇場」という文字列も「ゆっくり茶番劇」とは非類似であると考えますが、商標を構成する多くの文字列が共通することから、類似と主張される可能性は否定できません。
3.「ゆっくり茶番劇」をジャンルやカテゴリーの表示として使用する場合は、商標の侵害にならないと考えます。
「【ゆっくり茶番劇】<動画タイトル>」のように、「ゆっくり茶番劇」という文字列を動画のジャンル・カテゴリーの表示として使用しニコニコに動画を投稿することは、当該商標権の侵害ではないと考えます。
4.そもそも「ゆっくり茶番劇」は動画のジャンルやカテゴリー、動画の内容を示す表示として広く一般に使用されている文字列であるという認識であり、特定の企業や個人が独占すべき文字列ではない、と考えます。
商標が登録された2022年2月時点においても、「ゆっくり茶番劇」という文字列は、動画のジャンル・カテゴリーの表示として利用されるケースが大半だったと認識しています。その状況を鑑みるに、商標として登録され、特定の企業や個人が独占することが不適切な表示である、と考えています。
なお、本文章は、法律事務所との相談を経たうえでのドワンゴの見解です。「商標として認められるべきかどうか」「ある使用例が商標を侵害しているかどうか」は、審査官や裁判官が個別具体的に判断する事柄です。将来的に訴訟や審理が行われた際、どのような法的判断が下るかを保証するものではありません。
また、この件について、当社が実施するアクションについての記者会見を2022年5月23日(月)の15時より行います。会見の模様はニコニコ生放送でライブ配信します(視聴URL: https://live.nicovideo.jp/watch/lv336994652 )。
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