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サーキットを“最速で走るPC”の実現に挑んだプロフェッショナルの記録。「セガ世界最速!?パソコンプレゼントキャンペーン」撮影現場レポート
時速100キロで走る“世界最速!?のゲーミングPC”をプレゼント。セガ Steamホリデイセール記念プレゼントキャンペーンが本日スタート
セガは本日(2021年12月27日),「セガ Steamホリデイセール」の開催を記念して,高性能PCとSteamタイトルを抽選でプレゼントする「セガSteamホリデイセール記念!『セガ世界最速!?パソコン』プレゼントキャンペーン supported by インテル&ASRock」を開始した。
このキャンペーンの実施にあたり,「100km/hで走行するPC」の映像が公開されている。今回,4Gamerでは千葉県茂原市で行われた撮影の現場にお邪魔したのだが,そこには「ゲーミングPCを100km/hの速度で走らせる」プロジェクトの実現に挑むプロフェッショナルの姿があった。
「セガSteamホリデイセール」特設サイト
「セガ世界最速!?パソコン」プレゼントキャンペーン特設サイト
今回実施された企画は,PCの処理速度における「最速」というキーワードにかけて,こともあろうにそれを物理的に走らせることでも「最速」を名乗れるマシンを製作しようというものだ。この突拍子もないプロジェクトにセガ,インテル,ASRock,そしてラジコン(RC)機器の製品企画・輸入販売を手がけるジーフォースがスクラムを組み,そして世界大会の優勝18連覇を誇るレジェンドRCカードライバーの広坂正美氏が操縦を担当する。
1/7スケールのシャーシの上に,コンパクトに構築されたハイスペックPCが載せられたRCカー。いざ目の当たりにしてみると,やはりPCと四輪タイヤの組み合わせは異様だ。これがPCであることが分からない人もいるだろう。RCカーに載せられるように,ただ小さくまとめただけでなく,ゲーマー向けPCとして「最速」を謳って差し支えない性能を持っている。
「セガ世界最速!?パソコン」スペック |
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最高時速 | 100km |
CPU | 第12世代 Intel Core i9-12900Kプロセッサー |
マザーボード | ASRock Z690M-ITX/ax |
グラフィックス | ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB |
メモリー | 32GB KIT(2×16GB) DDR4-3200 |
SSD | 2000GB |
CPUはインテルが第12世代 Intel Core i9-12900Kプロセッサーを提供。マザーボードはASRock提供のZ690M-ITX/axを採用し,同社はPCの製作アドバイザーとしても携わっている。一方,車体は広坂氏の父である廣坂正明氏がアドバイザーとなり,最高速度160km/hを出せる機種を海外から取り寄せ,ジーフォースのスタッフとともに調整を行っている。
さまざまな関係者の尽力により,重量約6kgのPCを搭載し,100km/h近い速度で走行可能な前代未聞の「セガ世界最速!?パソコン」が完成したという。ちなみに,PCとRCカーは電気的にはまったく接続されておらず,PCの性能はRCカーの走りに一切影響を与えていない。ここがある意味,ロマンを感じるところである。
なお,製作にかかった費用だが,セガ担当者によると「上に載せているPC,下で走らせるRC。それぞれ軽自動車1台が買えるぐらいです。その額を見た上司には,かなり怒られました(苦笑)」とのこと。ただ速いというだけではない,とんでもないモンスターマシンが完成したようだ。
当日は午前中から広坂氏によるテスト走行が行われていた。茂原ツインサーキット,西ショートコースのホームストレートを使用し,速度計測時には「セガ世界最速!?パソコン」と同じ重量/バランスの重しを搭載した状態で行われた。
最終コーナーからスタートして,コントロールライン付近で最高速に達するという段取りで速度を計測していく。端から見ると,車をまっすぐ走らせるだけでいい簡単な操縦に見えるのだが,「実は相当に難しかった」と広坂氏は語る。
念入りにチューニングをしているとはいえ,6kgのPCを載せた車体は重心が高く,そこにアクリル製のボックスが被せられているため,大きな空気抵抗が発生する。しかも,普段カートなどの走行に使われるコースなので,スケールの小さなRCカーにとっては激しいギャップとなる凹凸が無数に存在しており,イレギュラーすぎるマシンをまっすぐ走らせることはレジェンドにとってもかなり大変だったようだ。
操縦の難しさを裏付けるかのように,テスト走行時には派手なクラッシュも発生。バランスを崩した車体がストレートの壁にぶつかってしまったときは,ボックスが派手に壊れてしまった。その後も何度となく,転倒したり,コース沿いの芝生に突っ込んだりするアクシデントが発生していた。
いよいよ速度計測の本番。序盤は慣らしをしながら70km/h前後を記録すると,そこから90km/h前後まで伸びたものの,目標の大台(100km/h)にはまだ遠い。ここで意外な人物がコースに顔を見せる。プロレーシングドライバー,谷口信輝氏である。
当日,隣接するサーキットで撮影を行っており,その帰りに立ち寄ったそうだ。谷口氏と広坂氏は旧知の間柄であり,走行のライン取りについてのアドバイスをもらったとのこと。ここから広坂氏の記録はさらに伸び,太陽がだいぶ傾いてきた頃,ついに100km/hの記録を達成! スタッフからは大きな歓声と拍手が上がった。
前述のとおり,速度の計測は「セガ世界最速!?パソコン」と同じ重量/バランスの重しを搭載した状態で行われたが,“実物のPC”の走行も披露された。精密機械なので転倒したときのことを考えたら……。プロポを握る広坂氏も慎重になっていたようだ。
なお,プレゼントとなるマシンはPCとRCカーのセットとなるが,「広坂さんの腕でも相当に難しい。実際に走らせるのは絶対にオススメしません」(セガ担当者)とのことだ。
撮影現場では,マシンの操縦を担当した広坂氏と,PC製作を手がけたASRockの原口有司氏に話を伺うことができた。
当初,広坂氏のもとには「2kg程度のノートPCを載せたRCカーを100km/hで走らせる」という依頼が届き,「それならば」と判断して請け負ったとのこと。それが企画の話を詰めていくにつれて,いつの間にかノートPCではなく,より重量のあるデスクトップPCを載せたいということになったいったそうで,広坂氏は「ちょっと困りましたが,請けた以上は断れないですから」と苦笑いしつつ振り返る。引き受けたからにはちゃんと実現させるべく,かつてパートナーとしてRCレースに出ていた父を招き,海外からマシンを取り寄せて一緒に作り上げたという。
一方,原口氏へのオーダーは「最も軽くて,PCの性能もできるだけ最速なものに」というものだったそうだ。さっそくスケジュールを押さえて,秋葉原のショップに協力を求め,セガのスタッフとともに1日かけて希望のスペックに合うパーツを(予算度外視で)揃えていったとのこと。とくにマザーボードに関しては,1/7スケールのRCカーに載せるため,できるだけ小さいものという条件を満たす,発売直後のZ690M-ITX/axを調達している。
PCは性能が高くなるほどたくさんのパーツが積まれ,発熱を拡散するために重く大きくなるのが基本だ。しかし,今回は軽量化がオーダーだったため,レイアウトを自由に変更できる簡易水冷型のクーラーを載せるといった工夫を凝らし,重量を約6kg程度に抑えられた。実用的なハイエンドPCとなると,20〜30kg程度の重量が当たり前なので,今回のPCは「変態的だ」とセガのスタッフに誉められたのだとか。
広坂氏によると,完成したPCをRCカーに載せてみると,重量はあるものの,全体の重量バランスは考えられていて,ちゃんと走るようになっていたことに感心したという。とはいえ,素人が実際に走らせようとすると「大型バスを超高速で走らせるようなもの」とのことで,「決してマネをしないでください(笑)」と念を押していた。
撮影を見守っていた原口氏は「『こういう企画をやれるのは,ウチしかないだろう』と思いながら,PCの調整をさせていただきました。それがこのように完成して,しかも100km/hのスピードで走る。想像を絶する体験を味わうことができて,本当によかったです」と感想を述べた。また,広坂氏は記録がちょうど100km/hだったことに言及し,「ちょっとでもバランスが悪かったりすると,あの記録は出ていません。製作に携わった皆さんの努力の賜物ですね。最高の性能のものを作ってくれました」と,プロジェクトを実現に導いたスタッフを称えた。
この日,撮影現場には立ち会えなかったものの,CPUを提供したインテルの工学博士 安生健一朗氏からのコメントもいただいたので紹介したい。
セガ様よりこの話を伺った際,自作ユーザー向けに高性能を追求した製品を提供してきているオーバークロック対応のデスクトップ製品との親和性がある,是非ご一緒させて頂きたい企画だ,と即座に賛同致しました。
今回搭載しているCPU,第12世代 インテル Core i9-12900Kデスクトップ・プロセッサーは,世界最高レベルのゲーミング向けCPUとして11月より発売を開始しており,非常にご好評いただいております。まさに今回の「最速PC」に相応しいCPUだと自信を持ってお勧めできます。
各分野のプロフェッショナルが集結して,前代未聞の記録に挑んだ今回のプロジェクト。セガのプレゼントキャンペーンでは,実際にコースを走行したPCとRCカー,Steam配信タイトルのコードが当選者に届けられる。同社の公式Twitterアカウントのフォロー&リツイートで応募可能なので,本当の意味で「最速」の名にふさわしいマシンをぜひ手に入れてほしい。
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