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THQ Nordicの親会社Embracer Groupが,「メトロ エクソダス」の4A Gamesなど8つのスタジオの買収を発表
Embracer Group公式サイト
Embracer Groupは2008年にスウェーデン南部のカールスタードに設立された持ち株会社で,2018年2月にはDeep Silverを傘下に持つドイツ最大手のメディア企業Koch Mediaを買収している。その経緯については,本誌連載「奥谷海人のAccess Accepted」の第565回「THQ NordicがDeep Silverを買収して欧州最大級のパブリッシャに」で紹介したとおりだが,その後も業容の拡大を続けており,2018年11月には「Goat Simulator」で知られるCoffee Stain Studiosを,また2020年2月には「World War Z」のSaber Interactiveを買収した。最近は投資専門のAmplifier Game Investを立ち上げて,小規模ビジネスへの投資を続けている。
買収が発表された企業の中では,「メトロ エクソダス」で知られるウクライナ(本社はマルタ)の4A Gamesや,「Insurgency: Sandstorm」を開発し,アメリカやカナダに合わせて40人ほどのスタッフを抱えるNew World Interactiveが大きなメーカーとなり,この2社については傘下のSaber Interactiveに直属する独立スタジオとして新規タイトルの開発を行うことになるという。
さらに,現在ホラーアドベンチャー「Crisol: Theater of Idols」の開発を進めるスペイン・マドリードのVermilia Studiosと,スウェーデン・シュブデのPalindrome Interactive,そして,オーストリア・ウィーンのRare Earth Gamesの3社は,傘下のAmplifier Game Investの元に入る。また,ウィーンのPow Wow EntertainmentはTHQ Nordicのもとで2タイトルの開発を進め,モバイルやオンラインゲームの運営をサポートするドイツのDeca Gamesは,グループ全体に自社のノウハウを提供していくことになるようだ。ゲームとは関係ないが,映画やアニメの版権を扱うドイツのSola Mediaは,Koch Mediaの映画配給部門に帰属する。
「巣ごもり需要」を背景に「World War Z」や「Destroy All Humans!」などで2020年第1四半期は好調な実績を上げたというEmbracer Groupだが,現在グループ全体で125作品が開発中とのことで,ラインアップを減らして次世代向けのAAAタイトルに集中する他の多くのパブリッシャとは異なる,強気の姿勢で欧州ゲーム産業での存在感を発揮しつつある。
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