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eスポーツの数字の話 Round03:eスポーツの数字を見つけるためのWEBサイト
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印刷2019/08/27 12:00

連載

eスポーツの数字の話 Round03:eスポーツの数字を見つけるためのWEBサイト

画像集 No.007のサムネイル画像 / eスポーツの数字の話 Round03:eスポーツの数字を見つけるためのWEBサイト
 今回はeスポーツの数字を探す時に,私が閲覧しているWEBサイトをいくつか紹介します。

 最初に書いておくと,日本でこの数字を取り扱っているWEBサイトはほとんどありません。定量的に数字を出せるほど日本のeスポーツ産業は成熟していないという問題と,この領域に参入しようとするマーケティング会社が存在しないという二つの問題があるからです。

 ですから,日本でeスポーツに関わる何かをするためのプロセスとして,いまから紹介するWEBサイトを使って海外のデータを調査して,タイトルの人気度合いなどの大枠をつかみ,個別に日本でのアクティブユーザー数や人気YouTuber・ストリーマーの活動状況を調べて,国内におけるタイトルの人気を概算する,というのを推奨します。


Newzoo


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「Newzoo」


 言わずと知れたゲームマーケティング会社の最大手です。eスポーツはもちろん,PC・コンソール・モバイルといったゲーム全般のデータを広く取り扱っています。「Newzoo Global Games Market Report」に掲載されている数字は日本のメディアでも頻繁に引用されます。

 「Trend Reports」のページに飛ぶと,テーマごとのレポートを閲覧することができます。無料で簡易版を,有料で詳細なデータが入った完全版を入手できます。
 eスポーツを絡めた事業計画を立てているのであれば,内容に沿ったテーマのレポートがあるかどうか,まずはNewzooで確認してみるといいでしょう。例えば「フォートナイト」「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」といったバトルロイヤル系ソフトの採用を検討している際には「The Rise of the Battle Royale Genre」というドンピシャなテーマのレポートがあります。

 Newzooでは他にも「Most Popular Core PC Games(人気のコアPCゲーム)」といったランキングを毎月発表しています。全世界のユニークユーザー数を基にランキングを作成しており,人気ゲームのトレンドを把握するのに最適です。数字が記載されていないので,あくまで大枠を把握するために使用することになると思います。


Esports Earnings


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「Esports Earnings」


 ゲーミングチームや選手が獲得した賞金を集計しているWEBサイトです。こちらも日本のメディアで頻繁に引用されています。「Dota 2」の世界大会「The International」の賞金額もここに掲載されています。

 獲得賞金額はゲーミングチームの資本力・人気をはかるためのバロメーターです。「Teams」のページを参照すると,獲得賞金額を基にしたランキングが確認できます。
 掲載時点でのトップにはTeam Liquid,Evil Genius,OG,Fnaticといった有名チームがずらりと並びます。eスポーツ産業の動向を調べるためにチームを知ることはとても重要なので,このページをもとにしてチームの調査をすると良いでしょう。


Esports Database (The Esports Observer)


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「Esports Database (The Esports Observer)」


 eスポーツビジネス関連のニュースを取り扱うThe Esports Observerが運営するデータベースです。eスポーツ産業に関連する企業,チーム,ソフト,大会といった情報がリスト化されています。数字ではないのですが,状況を把握するのにとても便利なサイトです。

 企業名を検索して該当ページに飛ぶと,事業の概要,本社の場所,業種,その企業に関連するThe Esports Observerの記事が表示されます。ゲーミングチームや大会に対するスポンサーシップ状況(当該企業がどのようなコンテンツにスポンサーシップを行っているか)を確認する際に重宝します。

 「Games」のタブを開くとeスポーツの競技として採用されるソフトが大量に表示されます。各ソフトのページには開発した企業,パブリッシャといった情報に加えて,大会動画の同時接続者数や視聴時間,人気タイトルといったデータを閲覧することができます。


Esports Charts


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「Esports Charts」


 大会配信の視聴データを集計しているWEBサイトです。「Counter-Strike:Global Offensive」「リーグ・オブ・レジェンド」といった主要eスポーツタイトルの大会視聴データが,かなり網羅的に掲載されています。

 Esports Chartsの優れている点はYouTubeやTwitchといった欧米発の配信サービスのみならず,AfreecaTVやGarena LIVE,HUYAといった,アジア圏で利用されている配信サービスの視聴データを集計していることです。
 中国を含むアジア圏のeスポーツファンは人数が多く,大会動画を視聴する母数の多くを占めますが,YouTubeやTwitchではなく,各国で普及する配信サービスを利用する傾向があります。これらアジア圏のファンの視聴動向を最も反映しているのがEsports Chartsのデータです。


Twitch Stats


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「Twitch Stats」


 Twitch配信の視聴データを集計しているWEBサイトです。ソフト毎,配信者毎の視聴データを閲覧できます。Twitch全体の視聴者数と配信者数も表示されます。

 Twitchの配信者・ゲームの人気度は日々乱高下するものではありません。上位配信者やソフトのランキングの顔ぶれはほとんど変わらず,TfueさんやShroudさんはずっと人気がありますし,「フォートナイト」や「リーグ・オブ・レジェンド」の動画が視聴者数を伸ばす傾向にあります。

 しかし,新作タイトルがリリースされるタイミングでランキングが変動し,新しい配信者が登場することがあります。最近では「リーグ・オブ・レジェンド」の新モード「チームファイトタクティクス」が急速に視聴数を伸ばしてきました。新作ソフトの人気を把握するためにTwitch Statsのデータを参照すると良いでしょう。



 いくつかWEBサービスを紹介してきました。冒頭でも書いた通り,これらの海外データをもとに大枠をつかみ,日本の状況は個別に調査,というプロセスを踏んでみてください。今回は紹介しませんでしたが,「配信者勢いランキング」や「kamuitracker」といった国内の人気配信者・実況者を参照できるサイトもあるので,参考になると思います。

 “eスポーツの数字”はグーグルで検索しただけでは出てきません。データを集計しているWEBサイトをストックし,それらを巡回して数字を集めるという地道な作業が必要です。今回紹介したサイトだけでなく,ご自身でも活用できるサイトを探してみてください。

著者紹介:但木一真
1985年生まれ。ゲーム業界/eスポーツ業界のアナリスト。カドカワ株式会社にて,ゲーム業界のマーケティング分析業務に従事しているとき,総務省より公表されている「eスポーツ産業に関する調査研究報告書」を執筆したことをきっかけに,eスポーツ業界の専門家としてさまざまなレポートを発表。2019年4月よりフリーランスとして活動をはじめ,eスポーツ業界に関する記事執筆,コンサルティング,イベント・コンテンツのプロデュース業務を行っている。
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