ニュース
5G時代のゲームはこうなる。「ChinaJoy 2019」の公式サイトに,次世代のゲーム業界の姿を予想する記事が掲載
Digital Entertainment: Change of Game in 5G Age
「第5世代移動通信システム」や「第5世代モバイルネットワーク」などとも呼ばれる5Gだが,記事では「広帯域」と「低遅延」がもたらすものとして,ゲームをプレイするためのハードウェアを選ばない「クラウドゲーム」が本格化すると予想している。ご存じのようにクラウドゲームとは,ゲームの演算やグラフィックス処理をサーバー側が行い,その結果を手元のデバイスにストリーミングするシステムで,使用するハードウェアの性能に関わらす,どのようなゲームでも楽しむことが可能になる。これにより,PC版の「World of Warcraft」や,コンシューマ機版の「Call of Duty」を,スマホでプレイできると記事には書かれている。
そして,クラウドゲームを制限する帯域幅のボトルネックが解消されることによって,今後,クラウドサービスを提供し,かつゲームの開発能力を持った中国の企業が国際的な競争で優位性を持ち得るとしている。例に挙げられているのが中国の大手IT企業Tencentが立ち上げた「Tencent Cloud」で,世界5か国に16のデータセンターを建設し,高水準なセキュリティを誇る世界的なクラウドサービスを提供する。北米ではGoogleやMicrosoftなどの大手企業がクラウドへの参入を表明しているが,これらの動きも5G時代を見すえてのものだろう。
また,クラウドゲーム以上に記事が注目しているのが,VRだ。環境全体をシミュレートし,高度な没入感を提供するVRゲームだが,より高速のグラフィックス伝送や高性能の音声認識,視線追跡,ジェスチャーの検出などが必要になる。5Gの広帯域はVRに必要な8Kを超える映像の伝送を容易にし,遅延によって発生するVR酔いを防ぐ効果もあるという。
さらに,クラウドゲームと組み合わせることによって,ハイスペックなPCを必要としない高性能なオールインワンタイプのVRデバイスが増えて,さまざまなVRやARのタイトルが楽しめるようになるという未来図も描く。
ゲーム市場全体には,さらに大きな影響を与えると記事は予想している。中国のChina Mobile(チャイナ・モバイル)が発表した5G建設計画によれば,2020年までに1万以上の5G基地局を作る予定だという。ライセンスは2019年末から2020年初めに発行される予定で,2022年までに5Gの普及率は60%に達すると見込まれている。また,北米のIntelは,2020年には500億台のスマートデバイスと,それを使用する77億人が高速ネットワークにつながると予想しており,こうした時代には,これまでになかったようなゲームの実現が可能になるはずだ。おそらく,VR/ARゲームのメーカーが最初の恩恵を受けるだろうと記事は述べている。
こうした「バラ色」の話を聞くとつい,4Gが始まるときもそんなこと言ってたなあ,と斜に構えてしまう筆者だが,ChinaJoy 2019では,第4回を迎えるGlobal Smart Entertainment Hardware Expo,通称「eSmart」が実施され,そこでは多数のハードウェアが展示されて5G時代を迎えるデジタルエンターテイメントの新たな姿を目にすることができるという。詳細は分からないものの,とりわけAR対応のヘッドマウントディスプレイが注目に値すると述べられているので,関連の展示が多いのだろう。
直近に迫った5G時代のゲームは,果たして記事が予想するようなものに変化するのか? ChinaJoy 2019取材班から送られてくるレポート記事を楽しみにしてほしい。
- この記事のURL:
キーワード