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アメコミのカリスマとして半世紀以上にわたって活躍してきた,スタン・リー氏死去
1950年代には不振に陥ったマーベル・コミックスだが,リー氏らはライバルであるDCコミックスの「ジャスティス・リーグ」を追って,「ファンタスティック・フォー」を創刊。現実社会の要素を多く取り入れた「ファンタスティック・フォー」は人気になり,のちに“ゴールデンエイジ”と呼ばれる黄金期を迎える。リー氏は原作者として「ハルク」「ソー」「アイアンマン」「X-メン」「デアデビル」などを次々に生み出し,とりわけ,「スパイダーマン」は彼のキャリアで最大の成功を収めた。
また,コミックスの中でマーベル・コミックスの裏話などを書く「Stan’s Soapbox」というコラムを開始し,ファンと制作者の距離を縮めてコミュニティの育成を促進した。
1968年には,ファンタスティック・フォーの登場キャラクターだった「シルバーサーファー」を一人立ちさせるが,それを最後に現場を離れる。一時的に経営に携わったものの,リー氏の性格に合わなかったのか,1972年には発行責任者を辞任し,その後はスポークスマン的な役どころでアメリカ各地のイベントに参加するようになる。1977年には「スパイダーマン」の新聞連載を手がけ,新聞史上,最も成功したアクションコミックスとなった。
1980年代から90年代にかけてはテレビ向けのコンテンツを多数手がけるようになり,この頃に映画やアニメへのカメオ出演を果たしている。アメコミ新時代の幕開けとなった2002年の映画,「スパイダーマン」以降,ほとんどのマーベル作品にカメオ出演しているだけでなく,2018年9月にリリースされたPlayStation 4向けアクション,「Marvel’s Spider-Man」では,3Dモデル化されたリー氏がメリー・ジェーンに,「君達は,いつでも私のお気に入りだよ」と声をかけている。
最近までイベントや映画の発表会などで精力的に活動していたリー氏。北米ゲーム業界にもリー氏のコミックスで育った人が多く,彼の死を悼む声があちこちから聞こえてくる。筆者も謹んで哀悼の意を表したい。
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